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『スポーツ栄養ガイドブック』 ナンシー・クラーク

『スポーツ栄養ガイドブック』ナンシー・クラーク

著者のナンシー・クラークさんはアメリカ合州国における「Registered dietitian」である。略称「R.D.」。「dietitian」は日本語に翻訳するなら「栄養士」が近い。「ダイエットの専門家」ではちょっと違うと思う。

「Registered」はちょっと翻訳しにくいけれど、「Registered nurse」が「正看護婦」となることから判断すると、「dietitian」は「正栄養士」と表現するのが妥当かもしれない。

ボストンの有名なスポーツ専門病院で栄養部長として勤務し、多くのアスリート(プロ選手・オリンピック出場選手・一般のスポーツ愛好家を含む)をクライアントに持つ。精力的にスポーツ・栄養関係の各種雑誌に寄稿。近年はインターネットでの執筆活動も盛んに行なっている。

スポーツ栄養ガイドブック (原題:Nancy Clark's Sports Nutrition Guidebook)』は、初版(1989)、第2版(1996)、第3版(2003)と版を重ね、通算35万部のベストセラーである。ここで紹介するのは第2版の邦訳。ちなみに原書の第3版は今年の8月に出たばかりだ。

もしあなたがダイエットを始めようと思っているのなら、考え直したほうがいいでしょう。DIET(ダイエット)の綴りは、DIE(死ぬ)という3文字で始まっているのです(『スポーツ栄養ガイドブック』より引用)。

ダイエッティシャン(dietitian)だからといって、いわゆる「ダイエット」を勧めるわけではない。正しい栄養はスーパーに行くことから始まるとし、健康的な食べ方を身につけるの重要性を説く。

本書では、炭水化物(糖質)の重要性がたびたび強調される。炭水化物はグリコーゲンとなって筋肉中に蓄えられ、運動中のエネルギー源になるからである。そのためウエイトトレーニーにとってもランナーにとってもきわめて重要な栄養素となる。

多くのウエイトトレーニーが注目するたんぱく質(プロテイン)に関しては以下のような記述がある。

回復のためには、食事からたんぱく質を除いてはいけません。たんぱく質の中には、激しい運動後の初期の段階に、グリコーゲンの回復を促進させるものがあるのです(同書より引用)。
多くの人が考えているのとは逆に、たんぱく質のとりすぎは健康と競技能力に深刻な問題を与えます(同書より引用)。

たんぱく質は少なすぎても摂りすぎてもいけない。「体重1kgあたり2g」が吸収の限界で、それ以上の摂取はむしろ弊害が多い。またサプリメントにむやみに頼るのではなく、できるだけ普通の食品から摂るほうがいい。これが著者の主張である。

つまるところ運動することと食べることは人間にとってどのような意味をもつのだろうか?

運動は、単にエネルギー消費のためだけでなく、健康と娯楽のためにある、と考えなければいけません。まず、運動を楽しむことがたいせつなのです(同書より引用)。

ナンシー・クラークさんは普段の生活においては自転車で通勤し、ときにはアメリカ大陸横断などの自転車競技に参加する。マラソン大会(フルマラソンを含む)に出場したり、ヒマラヤ・トレッキングに赴いたりもする。そこに見出せるのは LIFE(生活・人生・生命)を楽しむ人の姿だ。

最後に本書の中で私(喜八)がもっとも感銘を受けた文章を引用する。とても短い文章だが、摂食障害治療の専門家でもある著者ナンシー・クラークのもっとも基本的な信条が現れていると思う。

ありのままの自分自身を受け入れて、今を生きなさい(同書より引用)。

(『スポーツ栄養ガイドブック』ナンシー・クラーク、女子栄養大学出版部、1998)

(喜八 2003-11-29、改訂2006-10-13)

参考ページ


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喜八 e-mail: admin@kihachin.net