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世界的ベストセラーであるハリー・ポッター・シリーズの第5巻『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(Harry Potter and the Order of the Phoenix)』(J・K・ローリング)の日本語翻訳版が2004年9月1日に発売されます(注:この記事は日本語翻訳版が発売される前に書かれました)。
以前買い込んでおいてそのままになっていたイギリス語版を「日本語訳がでる前に」ということで読んでみました。776ページもある分厚い本を夜寝る前に少しずつ読み進みましたので、そのぶん楽しみが長く続いて経済的だったかもしれません。
読後感。ずっしりと読み応えがありました。 それもそのはずで第4巻の『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より34パーセントも長くなっています(イギリス語版での比較)。 もちろん長さだけでなく面白さも相変わらずです。
ハリー・ポッター・シリーズの面白さは一言では説明しにくいのですが、登場人物たちが「生きている」ことにもあるように思います。ここでは第5巻で活躍した登場人物を3人だけ紹介します。
第5巻で初登場するルーナ・ラブグッド(Luna Lovegood)という女子生徒の存在が妙に気になります。彼女はレイブンクロー寮の4年生で、容貌も言動も相当に風変わり。ほかの生徒たちからは敬遠され、ときには嫌がらせも受けているようです。
そんなルーナですが、ハリーとロンを気に入ったようで彼らのまわりに頻繁に出没するようになります。ハリーたちはいささか迷惑に感じているみたいです。ハリーとロンがルーナ(Luna)のことを「Loony」と表現する場面もあります(loony は英俗語で「気の狂った(人)、ばか」の意味)。
けれどもルーナはぼんやりしているようでいて「いざ」というときには別人のような判断力と行動力を見せてくれる少女です。またルーナ・ラブグッドの名前はそのまま第10章のタイトルにもなっているので、どうでもいいような端役ではないでしょう。
ホグワーツ校では劣等生代表のようなネビル・ロングボトムですが、巻を追うにしたがって存在感が増してきました。第5巻では、魔法界のマジョリティから白い目で見られるハリーに対して、ひとり敢然と支持を表明したりします。「ネビルってずいぶんしっかりした子だったんだ」と思いました。
ネビルの両親の「現在」も語られます。ネビルの両親はかつては大変な勇気をもった有能な魔法使いでした。それがいまは見る影もなく・・・。とある場所における母親とネビルのやりとりには思わず泣かされてしまいました。
第1巻から毎回登場している、ジニー・ウィーズリー。ウィーズリー7人兄妹の末っ子で、子供っぽい女の子として描かれてきたジニーも、確固としたパーソナリティをもつ若い女性へと成長を遂げつつあるようです。
第5巻では意外なスポーツの才能があることが明らかになり、さらにクライマックスの魔法省での戦闘場面ではハリー、ハーマイオニー、ロン、ルーナ、ネビルとともに大活躍します。
ジニーはウィーズリー家共通の特徴である燃えるような赤毛の持ち主。
ちなみに英語圏では「赤毛の女性は気性が激しい」という俗説があるそうです。
第5巻の後半ではルーナ・ラブグッド、ネビル・ロングボトム、ジニー・ウィーズリーが大活躍しました。 今後出版予定の第6巻・第7巻でも3人は重要人物として描かれてゆくだろう、と予想しておきます。
そのほかにも語りたいことはたくさんあります。たとえば作者のローリングさんが以前から予告していた通り、第5巻ではある重要な登場人物が死亡します。さらにはハリーとチョウの恋の行方、新たに登場する悪役ドロレス・アンブリッジ、その後のギルデロイ・ロックハート、ハグリッドの弟・・・。
けれども魔法界(およびマグル界)では「ネタバレ」は重大なマナー違反とされているようですので、それらのことをここに書くのはやめておきます。
(『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
』J・K・ローリング、静山社、2004)
(喜八 2004-07-10、改訂2007-11-28)
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