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2004年08月11日

『裸足の1500マイル』

『裸足の1500マイル』

映画『裸足の1500マイル(原題:Rabbit-Proof Fence)』フィリップ・ノイス監督(2002)について(2004-07-30、DVD 鑑賞)。

ストーリー》1931年のオーストラリアでは、先住民のアボリジニと白人とのあいだに生まれた混血児たちを家族から隔離して、白人文化に同化させる政策が実施されていた。
再教育施設に強制収容された3人の少女(14歳・10歳・8歳)が、1500マイル(約2400km)の原野を90日間かけて歩いて故郷へ帰ったという実話を映画化。

感想》オーディションによって選ばれた3人の少女が非常に魅力的でした。
とくに最年長でリーダー格のモリーを演じるエヴァーリン・サンピは「この子だったら幼い妹と従姉妹を率いて灼熱の砂漠を含む2400km を踏破できるだろう」と観るものに感じさせる立派な面構えです。
デイジー(モリーの妹)役のティアナ・サンズベリーグレイシー(従姉妹)役のローラ・モナガンもそれぞれ素晴らしい。

3人のうち従姉妹のグレイシーだけは途中で官憲に捕まってしまいます。
逃げるグレイシーはあとの2人の仲間が隠れている場所へと向かいますが、捕まる直前になってにわかに踵を返して反対側に駆け出します。つまり仲間をかばっているのです。
この映画の中でもっとも感動的な場面のひとつでした。

アボリジニ保護局長ネヴィルを演ずるのはシェイクスピア役者出身のケネス・ブラナー
ハリー・ポッターと秘密の部屋(原題:Harry Potter and the Chamber of Secrets)』クリス・コロンバス監督(2002)での軽薄なハンサム男ギルデロイ・ロックハートを演じたときとは別人となって重厚な演技をみせてくれます。

ネヴィルは自分の中にある差別心にはまったく気づかず、あくまで「善意」で行動しています(おそらくはキリスト教的な「慈悲」の心をもって)。ネヴィルは悪人ではなく普通の人なのです。そのような人間の愚かしさと恐ろしさをブラナーはみごとに表現しています。

裸足の1500マイル』によって描かれる「差別」という主題は、70数年前のアボリジニと白人のあいだにおいて特有のものではなく、現代に生きる我々にも無関係なことではないでしょう。もちろん私も自分を例外としているわけではありません。

ところで映画を観ているうちに気づいたのですが、モリーとデイジーは父親が違う「異父姉妹」のようです。英語サイトで確認してみたら「half-sister」となっていました。


投稿者 kihachin : 2004年08月11日 21:17

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コメント

さきほどは、TB送りっぱなしで失礼いたしました。
別サイトのTBをたどってこちらにたどり着き、ご感想に共感するものがありました。
グレイシーの逃亡シーンは、淡々としたストーリー展開の中では非常に印象に残る場面でしたね。ラストのナレーションとあわせて、あとからさらに胸に迫るエピソードでした。
「差別」の問題も含めて、自分にはとても語り尽くせない大きなテーマの作品ですが、人間の生きる力、前向きに進む強さに、素直に感動しました。それだけでも見る価値はありますね。

投稿者 くるり : 2005年05月11日 00:27

くるりさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
トラックバックに関しては気になさらないでください。m(__)m
ラストの本人たちが出演する場面については、ブログ記事の中では触れませんでしたが、やはり映画の中でもっとも感動的でした。やはり「事実」の重みなのだと思います。

ところで「THE YELLOW MONKEY」のことは、じつはあまりよく知りません。ライブに接したのも偶然のただ一度だけ。彼らのヒット曲の名前のひとつも知らない私でした・・・。お粗末です。

投稿者 喜八 : 2005年05月11日 17:04