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2005年01月29日

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』

映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(原題:Night of the Living Dead)』ジョージ・A・ロメロ(George A. Romero)監督(1968)について(2005-01-22 DVD「最終版コレクターズ・エディション」 鑑賞)。

ストーリー》人工衛星の落下事故により漏出した放射能の影響で死者たちが甦り、生きている者を襲い始めた。死者たちに追われた主人公たち4組7人は一軒の田舎家に避難する。彼ら彼女らはバリケードを築き、生き残るための方策を計る。家のまわりには死者たちが群がってきた。食料、つまり生きている人間を求めて・・・。

感想》この『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は現在のゾンビ映画のスタンダード(死から甦り生者をむさぼり喰う。頭部を銃で撃ち抜くか殴りつけるかより倒すことができる)を築いた作品とされているようです。

ただし映画の中で「ゾンビ」という言葉は一度も使われていません。テレビのニュースキャスターは死者たちのことを「グール(ghoul、人食い鬼)」と呼んでいます。

全体状況をマスメディアの報道を通じて描き出すという手法は後の『ゾンビ(原題:Dawn of the Dead)』ジョージ・A・ロメロ監督(1978)や『ドーン・オブ・ザ・デッド』ザック・スナイダー監督(2004)と共通しています。ただし、この1968年版『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』では前半はラジオ、後半はテレビとなっているところに時代を感じさせます。

主人公のアフリカ系アメリカ人ベンが白人のバーバラやハリー・クーパーに威張り散らすというのは1960年代後半という時代を反映しているのでしょうか。公民権運動により発言力を増した黒人市民のエネルギーが暗示されているのかもしれません。バーバラやクーパーはゾンビに対してだけでなく、ベンと同じ部屋に閉じ込められていることにも恐怖を感じていたのではないか、という気がします。

1970年代以降にスプラッタ映画群の洗礼を受けた者には、残酷描写はあっさりとしたものに思えるでしょう。とはいえトムとジュディの焼死体を無数のゾンビがむさぼり喰う場面は酸鼻をきわめます。ちなみに「グール=ゾンビ」たちが食べているのはチョコレート・ソースをかけたロースト・ハムだそうです。

DVD 鑑賞した夜、久しぶりにゾンビの悪夢を見ました。地下迷宮や廃工場のような場所で死者の群れに追われ必死に逃げ回るというものです。この手の悪夢は1979年に『ゾンビ』を初めて観た後、たびたび見てきました。

数年前テレビゲーム『バイオハザード』の中で大量のゾンビを撃ち倒した後はトラウマが消えたのかゾンビの悪夢はさっぱり見なくなっていたのです(笑)。久しぶりに夢の中でゾンビに追いかけられたのは、それこそ『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』という映画のもつ力なのでしょう。


(付記1)
なお今回鑑賞した DVD「最終版コレクターズ・エディション」 はマニアのあいだでは至って不評なようです。
詳しくは「映画がワタシをダメにする」さんの以下のページ「感想3」を参照ください。

(付記2)
以下のようなページを発見しました。
なんと『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の動画ファイルを無料で入手できるようです。


投稿者 kihachin : 2005年01月29日 08:46

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コメント

伝説のゾンビ映画ですね!
タイトルもおおまかなストーリーも知ってるんだけど、見た事がありません。
ホラー好きとしてはやっぱ一度は見ておくべきなのかなあ。
(えい。バイオハザードでトラバしちゃえ~)

投稿者 とら : 2005年01月29日 14:15

ゾンビつながりということでゾンビネタを一つ。
今ゲーム研究の論文読んでて知ったのですが、
99年にプレイステーション用ソフトとして
「シネマ英会話 ゾンビ」なんてものがリリースされてる
そうです。
オリジナルのゾンビが英会話教材としてフル収録されてるの
ですが、CD-ROMなので画質と音質が酷いらしいです。
ちょっと欲しいかなと思います。
何よりゾンビで英語の勉強って点に惹かれました。

喜八さんはご存知でしたか?

投稿者 Seliker : 2005年01月29日 16:19

あれはハムだったのですか(笑)
でも、チョコ+ハムは・・う・・。
旨そうに食ってらっしゃいましたが(汗
なにしろ大好きなゾンビ映画です。

投稿者 ルー : 2005年01月29日 21:16

とらさん、トラックバックありがとうございます。
じつは近いうちに『バイオハザード』の記事を書く予定で、その際は、素早く記事のトラックバックを送らせてもらおうと狙っていました(笑)。
とらさんの記事を読んで「主人公がなぜアリスなんだろう?」という謎が解けました。

投稿者 喜八 : 2005年01月30日 09:23

> Seliker さん

> 99年にプレイステーション用ソフトとして
> 「シネマ英会話 ゾンビ」なんてものがリリースされてる
> そうです。

まったく知りませんでした。(^_^;)
貴重な情報をありがとうございます。
うろ覚えですが「シネマ英会話 ゾンビ」というのは PC ソフトであったような気がします。
プレイステーション版は多分その移植版ですね。
中古で探してみます~。

投稿者 喜八 : 2005年01月30日 09:26

> ルーさん

ルーさんの記事は詳しいですね。
勉強になります。
今後もトラックバックを送らせていただきますね~。

チョコ+ハムに関しては「IMDb」で調べました。
記事中の(原題:Night of the Living Dead)の部分をクリックしてみてください。左のメニューのうち「trivia」に記事があります(すでにご存知かとは思いますが、念のために・・・)。

投稿者 喜八 : 2005年01月30日 09:30

こんにちは!あのカップルの内臓はチョコソースのかかったハムだったんですね!\(◎o◎)/!
石でガラスを割るゾンビに衝撃を受け、そんなのずるーーい!と叫んでしまいました(=_=;)
ゾンビの中に田中邦衛そっくりさんをみつけて、ウハウハしていたんですが、お気づきになりました?(笑)

投稿者 chibisaru : 2005年09月02日 12:37

chibisaru さん、はじめまして。
田中邦衛そっくりさんのゾンビですか!
ぜんぜん気づきませんでした。(^_^;)
今度鑑賞するときにしっかり確認します!

投稿者 喜八 : 2005年09月02日 20:42

チョコレート・ハムはなんかキショい。どうせだったらソース&ローストチキンの方がいいと思うのに。

投稿者 Anonymous : 2005年09月23日 17:47

> バブさん

「ソース&ローストチキン」だと美味しくて、ゾンビ役のエキストラがホクホクした顔になってしまうからではないでしょうか?
不味いものを食べさせられて「ゲーッ!」という雰囲気がでて、ゾンビっぽくなるのではないかと思います(笑)。

投稿者 喜八 : 2005年09月23日 20:35

最近、最終版のDVDをレンタルしました。ファンからは結構辛口コメントがありまが、自分は別にこれはこれで面白いとおもいます。特になによりもナイトの吹き替え版が見れただけでも一見の価値じゃないですか!それに追加シーンもモノクロだからオリジナルと違和感なくマッチしてます。ところで吹き替え版の声優人の方々はだれがやってますか?聞き覚えのある方がやってるのは確かですが今ひとつ名前が浮かびません。一つ判るといえばベン(大塚芳忠)なのはたしかです。それと序盤と終盤のあのスキンヘッドの牧師てどっかで見た記憶があるんですが、もしかして先日放送されたハムナプトラのイムホテップの人が演じてるんですか?顔がすごく似てるので。

投稿者 バブ : 2006年02月28日 21:01

> ところで吹き替え版の声優人の方々はだれがやってますか?

う~ん、これはちょっと分からないですね。(^_^;)
私もレンタルで鑑賞したものですから・・・。

> それと序盤と終盤のあのスキンヘッドの牧師てどっかで見た記憶があるんですが、もしかして先日放送されたハムナプトラのイムホテップの人が演じてるんですか?

これは別人です。
「スキンヘッドの牧師」はスコット・ウラジミール・リシナ(Scott Vladimir Licina)、本業は作曲家のようです。
「イムホテップ」はアーノルド・ボズルー(Arnold Vosloo)という役者です。

投稿者 喜八 : 2006年03月01日 12:08

だよね~~(笑)やっぱそんなハリウッドスターがこんなB級インディーズ・ムービーなんかに出るはずがないよねぇ~!!(爆)

投稿者 バブ : 2006年03月01日 20:06

「インディーズ」ではあるけれど「B級」ではないでしょう。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は後世にまで残る傑作だと思います。

投稿者 喜八 : 2006年03月02日 13:42