【お勧めの本】深尾葉子『魂の脱植民地化とは何か』青灯社(2012) 更新!

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2005年02月06日

『自由を耐え忍ぶ』

もし私が私のために行動しないのなら、誰が私のために行動するのか? もし私が私のためだけに行動するのなら、私は何者か? そして今行動しないなら、いつするのか?

自由を耐え忍ぶ』テッサ・モーリス-スズキ、辛島理人訳、岩波書店(2004)からの引用です。本書(200頁)では「ラビ・ラヒルが書いた言葉」とされていますが、「ラヒル」ではなく「ヒレルHillel the Elder)」が正しいでしょう(岩波書店に連絡済み)。

テッサ・モーリス-スズキTessa Morris-Suzuki)さんは1951年イギリス生まれ。オーストラリア国立大学教授(太平洋アジア研究学院 ANU・RSPAS)。専門は日本経済史・思想史。

『自由を耐え忍ぶ(Enduring Freedom)』というタイトルの意味するものは何でしょうか?

米英がイラク侵略を準備していた2003年02月15日、世界中でおよそ1100万人もの人々が無法な侵略戦争に対して抗議の声をあげました。これだけの人数が平和のための直接行動にでたのは史上初のことでした。しかし戦争が中止されることはありませんでした。私たちは政治指導者たちに「ノー」をいう「自由」があります。が、指導者の側にも多数者の声を無視して侵略を実行する自由があるようです。

個人と国家が極めて決定的な遭遇をなす」選挙投票所で、私たちは自分の好きな候補に投票する「自由」があります。しかし多くの場合、その選択範囲は非常に狭いものとなっており、また投票の結果が現実の政策に反映される可能性は急速に低下しつつあります。その結果「どの候補に投票しても同じ」「何も変わらない」という人たちの声は概ね事実となってしまっています。

これらの「不自由な自由」「静かに耐え忍ぶ」自由の源を探求することで、世界をより良いものに変革していくためのオルタナティブを提示する、というのが著者の狙いであると私は読みました。


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投稿者 kihachin : 2005年02月06日 19:52

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『自由を耐え忍ぶ』概要と簡単な感想 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年02月12日 11:15

コメント

喜八さん、こんばんは!

記事、興味深く読ませて頂きました。
私はなるべく事態をオプティミスティックに考えたいと「希望」に目を向けるようにしたいと思っています。
確かに、数多くの反戦運動に拘わらず、イラク戦争は
開始されてしまったのですが、これだけ多くの反戦活動
が行われるようになったのも、20世紀半過ぎのことでは
ないかと思っています。

特にインターネットにより多角的な情報の共有が
可能になったこと、例えば、「アル・ジャジーラ」の
ようなアラブ諸国サイドの報道を目にする機会が
増えたことで、現実について「CNN」の報道だけを
鵜呑みにすることなく判断する材料が提供されるように
なったことも大きな変化だと思っています。

人々の意識は確実に「平和」に向かっていると、
私は思っています。結局、戦争が行われる動機となる
のは「利権」であって、「金持ち喧嘩せず」というのは
大嘘だと思っているのですが、一方で、平和運動の
高まりが、確実に為政者の虚飾を剥ぐことにも成功
していることは確かなようにも思います。

何だか「平和ボケ」な感想になってしまいましたが、
私は将来に希望は大いに持てると思っています。

T.D.

投稿者 tropical_dandy : 2005年02月06日 21:03

T.D. さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

じつは私も世界はよりよいものになるつつあるのではないか? と考えています。60年前の日本で「戦争反対」と言えば命が危なかったわけですが、現在はそういうこともありません。
一晩で10万人以上が命を落とす大空襲というのも行なわれることはなくなりました。

とはいえ現在も実際にミサイルや爆弾で命を落としたり怪我をしたりしている人が存在している事実は変わりませんが・・・。

インターネットが平和のために貢献する可能性というのは、普通に考えられているよりは大きいでしょうね。私たちは大きなエポックの中に生きているのだと思っています。

投稿者 喜八 : 2005年02月07日 20:17

喜八さま

スケルティア@Skeltia_vergber on the Webです。
トラックバックにコメントありがとうございます。お返事とお礼が遅くなり申し訳ありませんm(__)m

確かに彼女が著書で提示するのは、グローバリゼーションの進行する中において全く見えない部分でした(刑務所の民営化だったり、経済と市場と国家の関係だったり)。
たしかにオルタナティブをどのように提示していくのか、そしてそれを机上の空論にするのではなく、どのように実践につなげていくか課題ですね。
LivedoorのPJニュースがいくら洗練されていないと批判されようが、市民メディアや2ちゃんねるが伝えっぱなしだと言われようが、萌芽があると信じたいと思います。

これからもよろしくお願いします。
また読書日記交換ができたらと思います。

それでは失礼します。

投稿者 Skeltia_vergber : 2005年03月28日 23:46

Skeltia_vergber さん、こんにちは。
コメントありがとうございました。m(__)m

> LivedoorのPJニュースがいくら洗練されていないと批判されようが、市民メディアや2ちゃんねるが伝えっぱなしだと言われようが、萌芽があると信じたいと思います。

世情にうとい私は数日前まで気づかずにいましたが、「PJニュース」というのは各所で批判の対象になっているようですね。
おもな批判者は既成のメディアに属する、いわゆる「プロ」を自認する方が多いとも聞きます。

始まって間もない試みですから、経験のあるプロの目から見たら至らぬ点は多いのでしょうけれど、その辺りは大らかな気持ちで見守るくらいでいればいいと思うのですが・・・。

いずれにせよ公開の場でのやり取りでは感情的になったら「負け」ということはいえると思います。

またトラックバック、コメントを送らせていただくと思います。
以後よろしくお願いします。

投稿者 喜八 : 2005年03月30日 12:28

喜八さま

ご無沙汰しています。Skeltia_vergber on the Webです。
昨日(4/5)の報道ステーションで「財政難に悩む地方自治体、刑務所を誘致」というニュースがありました。そのことについて、上記のエントリーを参照し、またテッサ・モーリス=スズキの著作やら『監視社会』とかのはなしも加味しながら書いてみました。
 できる限り時事ネタ的なことは控えて行きますが、ご一読頂けて、ご批判、ご指摘頂けたらと思います。
 よろしくお願いしますm(_ _)m

投稿者 Skeltia_vergber : 2005年04月06日 00:39

Skeltia_vergber さん、こんにちは。
コメントありがとうございました。

記事を拝読させていただきました。
日本でも刑務所人気(?)が高まっていると言うのは、以前ニュースで聞いたことがあります(原発人気も高まっている?)。

地方自治体の財政は「お先真っ暗」というところが多いでしょうから「背に腹は変えられぬ」という声も大きくなるし、またそういう意見が「現実的」に見えてしまうという部分があるのだと思います。

郵政民営化の議論が一段落したら、刑務所民営化論もでるのでしょうか? 直感的には「その道には先がないよ~」という気がします。

投稿者 喜八 : 2005年04月06日 12:37