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2005年04月12日

今の若者は・・・

今の若者はなっとらん!
というようなことを言い始めたら、その人はそろそろ耄碌(もうろく)が始まっていると思っていいのだとか(笑)。ずっと以前、私がまだまだ若いころに聞いた至言であります。

一説によると大人世代による「今の若者は・・・」という批判(愚痴?)は数千年前から存在するということです。人間社会は何時の時代も若者の出来の悪さを嘆き続けてきた形跡があります。

けれども各時代において若者が真に劣っているものなら、人類は一世代ごとに劣化してゆくことになり、その結果とっくの昔に絶滅していたのではないでしょうか?(素朴な疑問)

あるとき紛れもない「今の若者」の1人である大学生の青年と話していると、彼は次のような感想を述べました。

ただ、おれ含め、いったん軍隊で訓練受けたほうがいいんじゃないか? というダメな若者だらけなので、兵役復活もありか? なんて思うこともあります・・・。

これは明らかに(しかも多くの点で!)彼が間違っています。まず第一にその青年はけっして「ダメな若者」ではありません(私が保証します)。さらに今の若者全般が特にダメだという客観的事実はありません。

世代によって「良い」と「ダメ」がはっきりと分かれるような幻想を撒き散らす世代論はナンセンスでしょう。が、敢えてその世代論を行なうなら、私自身を含めたオジサン世代にダメな人が少なくないのでは? という実感があります。

また軍隊というものに過剰な期待、あるいはロマンチックな憧れを抱くのも間違っている! と断言しておきます。若者にとっては大変に危険な誤解でもあります。

自衛隊員などを別にすると日本人で実際に兵役を経験したことがあるのは昭和6年(1931)生まれより上の世代です。これは(志願制だった)少年兵や少年軍属を含めてのことです。

兵役を経験した人たちから聞く日本の旧軍隊というのはじつに酷いところだったようです。

徹底的に学歴とコネがモノをいう官僚制社会。新兵は奴隷のような扱いを受け、理由も何もなしに毎日殴られる。軍需物資の横領・横流し・・・等々。戦争や軍隊をヒロイックなものとして期待していたかつての軍国少年・青年たちは、軍の真の姿に接して失望することが少なくなかったのです。

現在、若者全般を「ダメ」と決めつけ、さらに「国のために命を捧げるのは尊い」というような煽りを行なう大人たちがいるようですが、彼らは自分は兵役を経験したこともなく安全地帯にいながら勇ましげなことを言っている場合がほとんどでしょう。

こんな人たちの無責任な放言を真に受けていたら、とことん馬鹿を見ますよ(笑)。


投稿者 kihachin : 2005年04月12日 12:03

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コメント

喜八さま

skeltia_vergberです。
いつも有益なコメントありがとうございます。

上記のエントリーに思いつくままコメントします。
書かれていることは、正論であり、同感です。

なんか、権威主義や権力を振りかざして人びとを支配するって、よくよく考えたらすごい家父長制的な父親像を作ろうとしているのがよくわかります。というかそうしたのは某知事に、県知事選に落選した某元議員ですが。それは法律や条令、条文による愛国的な文物に対する強制に近い話だと思いますが、あたっていますか?

まあ自分たちは戦場に行くこともなく、法律作って、人口減少させたいのかな?健康増進法もその布石なのかもしれませんが。
『今時の若者は!』という発言は、いろいろな文脈で出てきますが、個人的にはそういう人たちの思い描く『若者像』が極端に美化されているのかな、と思ったりします。
個人的にはそういう発言を簡単に言わないように自戒せねばと思いました。
それでは

投稿者 Skeltia_vergber : 2005年04月14日 23:53

Skeltia_vergber さん、こんにちは~。
コメントありがとうございます。

> 権威主義や権力を振りかざして人びとを支配するって、よくよく考えたらすごい家父長制的な父親像を作ろうとしているのがよくわかります。

以下に亡くなった網野善彦先生(日本中世史)の言葉を引用します。

> 本当に実質があれば威張る必要はないわけで、実質がないから威張るのです(『神と資本と女性』網野善彦・宮田登対談集、新書館(1999)より引用)。

昔の威張っていた家父長というのは、やはり実質がなかったのでしょうね。だから威張る。
小熊英二さんも、戦前戦中の家父長は専制国家の中間管理職だった、という意味のことを書いていたと記憶しています。

> それは法律や条令、条文による愛国的な文物に対する強制に近い話だと思いますが、あたっていますか?

彼ら彼女らは「怖がっている」のではないかと思っています。
もろもろの差別がなくなり本当の実力主義になってしまったら、家柄・ジェンダー・国籍などで得ている既得権益が損なわれるのを。
私はぜんぜん怖くありません(笑)。

> 『今時の若者は!』という発言は、いろいろな文脈で出てきますが、個人的にはそういう人たちの思い描く『若者像』が極端に美化されているのかな、と思ったりします。

それ自体はきわめて人間的なことでしょうね。自分たちの青春は美しいものであった。いや美しくあらねばならない(笑)。
が、存在しなかった古きよき時代を捏造することが、今の若者を貶めることに直結するとなると大いに「???」です。

投稿者 喜八 : 2005年04月15日 12:35

喜八さん、こんにちはー。

深く同感しました。軍隊に関してヒロイックな幻想を持つべきではないというご意見、まさに同感です。現に徴兵制が布かれている国の友人たちから話を聞きますが「避けられるに越したことはない」というのが多くの認識でした。日本で徴兵制復活を叫ぶ人は自らが兵役経験がなく、今後も徴兵される可能性がない世代の人に多いという点で、かなり怪しいものだと思います。

特攻隊員の死を美化する保守系の論者もいますが、あのような傷ましいことは起こらない方が良かったのだと思われてなりません。

また、私自身が若造ですが、若者がお客様の商売をしていることもあって、若い感覚と常に向き合っているものですから、「今の若者」が一部の論者が大袈裟に嘆いてみせるほど退廃していないことは実感として知っています。(逆に「ちょっと保守的過ぎるかな」と思うくらいです。)

網野先生の話も同感です。そもそも「威張る」という態度自体が、端的にみっともない印象です。家父長制的権威を傘にきたような人は、これからの時代、生き難いんじゃないでしょうか。若者も変な論調に惑わされないでもらいたいものだと思います。

T.D.

投稿者 tropical_dandy : 2005年04月15日 14:47

tropical_dandy さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

> 日本で徴兵制復活を叫ぶ人は自らが兵役経験がなく、今後も徴兵される可能性がない世代の人に多いという点で、かなり怪しいものだと思います。

それと二世・三世の世襲国会議員ですね。彼らはけっして命の危険にされされるようなことはない。仮に軍隊に入ったとしても親のコネで安全で「美味しい」ポジションが約束されている(笑)。

自らは安全地帯にいながら、好戦的な言動をとるというのは、理屈も何もなく単純に「格好悪いな~」という印象です。

> 「今の若者」が一部の論者が大袈裟に嘆いてみせるほど退廃していないことは実感として知っています。(逆に「ちょっと保守的過ぎるかな」と思うくらいです。)

同じような印象をもっています。以前、30代の頃に高校生・大学生・専門学校生・フリーターなどアルバイトの労務管理をしていたことがありました。彼らはどういう意味でも普通の若者でした。特に劣っているということなどありません。実際のところ私自身が若かったころより素直で礼儀正しい青年が多かったように思います(私自身は非常に態度がデカイ若者でした(笑))。

「ちょっと保守的過ぎる」というのも同様に感じましたが、これは「仕方ないかな~」と思っています。

> そもそも「威張る」という態度自体が、端的にみっともない印象です。

いままで色々な人に接してきましたが、真に実力がある人は「威張らない人」が圧倒的に多いのですね。まわりの人間は彼(彼女)が実力者であることを知っているわけだから、その上にあえて威張ってみせる必要はないわけです。
組織内の政治力学によって、あるいは世襲で現在の地位を得たような人が傍若無人に威張る場合が多いのではないかと思っています。

投稿者 喜八 : 2005年04月15日 17:12

こんにちは!ブログには初めてお邪魔します。 私が日本に帰ったとき、よくtvで「今の若者は・・・」というのを耳にしました。年配の方だけではなく、私と同年代の人もよく街頭インタビュー等で言ってました。私の反応は、「こいつら、ほんとに人のこと言えるのかな?」でした。 禁煙のはずの駅で煙草を吸ったり、マナー違反のはずの電車内での携帯の通話(これについては、私は特にマナー違反とは思ってないんですが。だって携帯に話すのがマナー違反なら、他の人と話すのだってマナー違反のはずです。もっとも、ある種の医療機器に悪影響を及ぼすそうですが、それなら他人が周りに人がいるときはいつでもマナー違反のはず。)をしているのは、若者より年配の特に男性が多かったと思います。 山火事の危険があるから喫煙禁止だった県立公園で煙草を吸いながら(恐らくは健康のために)歩いていたのは100%、年配の男性でした。

もう一ついえるのは、時代が変われば常識も変わる、という事で、過去の常識に反していることでも、現在の常識では何も問題はない事もありますね。 「常識」ですので一概にどちらが正しいとは言えないでしょう。 この辺で、「今の若い者は・・」と言い出したら歳だ、と言うことになるのかもしれないですね。

投稿者 zigy : 2005年04月20日 01:05

zigy さん、ちょっとだけご無沙汰です。
コメントありがとうございました。

他者を批判すると、その言葉はそのまま自分に跳ね返ってきますからね。
人のことを言っているヒマがあったら、Mind your own business! でしょう(笑)。
zigy さんと以前メールで意見を交換した juvenile delinquency の問題でもおなじことが言えると思います。

> もう一ついえるのは、時代が変われば常識も変わる、という事で、過去の常識に反していることでも、現在の常識では何も問題はない事もありますね。 「常識」ですので一概にどちらが正しいとは言えないでしょう。

「常識とは何か?」と考え始めると、これは難しい問題だということに気づきます。
zigy さんのいわれるように時代によって常識が変化して行くのは当然ですが、同時代に生きる人のあいだでも「常識」はひとつではないですから。

私自身はよく「非常識だ」と批判されます(笑)。そのたびに「あなたの常識と私の常識は違う」とか「勝手に常識をつくるなよ」と内心で思っています(言葉にだすことは滅多にありませんが)。

投稿者 喜八 : 2005年04月21日 12:09