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2005年05月04日

『ターザン三つの挑戦』

ターザン三つの挑戦

映画『ターザン三つの挑戦(原題:Tarzan's Three Challenges)』ロバート・デイ監督(1963)について(1964年、映画館にて鑑賞)。

ストーリー》東洋のとある国が舞台。密林の王者ターザン(ジョック・マホニー)は王子カシの保護を依頼される。精神的指導者でもある王が危篤状態にあり、王の邪悪な兄弟カーンウディ・ストロード)が正統な後継者であるカシの相続を妨害しようと企んでいたからだ。

ターザンを排除するため、カーンは3つの難問をつきつけた。最後の難問は、大釜で油を煮立てた上に網を張り、カーン自身と剣をもって戦うというものだった・・・。

感想》これは私(喜八)が生まれて初めて観た映画です。後に親に訊いてみたところでは、川崎市「東急溝口駅」前の映画館ではなかったろうかということでした。当時、私は4歳または5歳でした。

とはいえ映画の内容はほとんど覚えていません。ターザン映画であったことと、ラスト近くの奇抜な決闘場面が記憶に刻みこまれているのみです。40年を経た現在では、その記憶もおぼろげになってきました・・・。

上の画像はターザン(右)とカーン(左)が最後の決闘を行なっている場面です。複数の大釜で油を煮立て、その上に網を張る。網の上で両者は剣(マチェット)をもって戦う。網から足を踏み外すと煮えたぎった油の中に落ちてしまう。他の映画では観たことのないような決闘です。

決闘では、どうみても黒人のカーンのほうが強そうなのに負けてしまいます。これが子供心にも不満でした(もっともターザン映画で主役のターザンが最後に負けて終わるということは考えにくい)。

ずっと後になって、カーンを演じていたのはウディ・ストロードWoody Strode)であったことが判明しました。『バファロー大隊(原題:Sergeant Rutledge)』ジョン・フォード監督(1960)、『スパルタカス(原題:Spartacus)』スタンリー・キューブリック監督(1960)などに出演している容貌魁偉な黒人俳優です。

当時はまだ沢山あった「名画座」でウディ・ストロードが出演している映画を(たまたま)観ているうちにファンとなりました。そこで映画関連の本を調べたところ見覚えのある写真が見つかったのです。それが上の写真でした(ただし本に掲載されていたのはモノクロ写真でした)。

学生時代のウディ・ストロードは陸上十種競技選手・フットボール選手として一流でした。大学卒業後に黒人として初めてメジャーのプロ・フットボール・リーグ入りを果たし、後にハリウッド俳優となりました。演技者としては名匠ジョン・フォード監督作品の常連メンバーでもありました。

遺作は『クイック&デッド(原題:The Quick and the Dead)』サム・ライミ監督(1995)。主役シャロン・ストーンのほか、ジーン・ハックマン、ラッセル・クロウ、レオナルド・ディカプリオなど今となっては信じられないような豪華キャストの中で、異彩を放つ棺桶屋「チャーリー・ムーンライト」を淡々と演じています。

ターザン三つの挑戦』に話を戻します。主役のターザンを演じるジョック・マホニーJock Mahoney)のことは最近までまったく知りませんでした。が、インターネットで調べてみるとウディ・ストロードに負けず劣らず興味深い人物であったことが分かります。

学生時代は水泳、バスケットボール、フットボールとスポーツ万能。
第2次大戦では海兵隊の戦闘機パイロット、教官として活躍。
スタントマンとして映画界入りし、エロール・フリン、ジョン・ウエイン、グレゴリー・ペック、ランドルフ・スコットなど大スターたちのスタントを務めました。
史上最高齢のターザン俳優(44歳)ですが、主役を演じたターザン映画ではすべてのスタントを自分で行なっています。
また、女優・監督・プロデューサーとして活躍するサリー・フィールドSally Field)の義父でもあります。

ウディ・ストロードとジョック・マホニーはともに身長が「6フィート4インチ(193cm)」といいますから、40年前では雲をつくような大男でしょう。その2人が対決するのはそれだけで「スペクタクル!」といえそうですが、写真でも分かるようにジョック・マホニーは精彩を欠いています。

が、それも仕方のないことでした。なにしろマホニーは『ターザン三つの挑戦』撮影中に大病を経験していたのです。相次いでアメーバ赤痢とデング熱に罹り、100kg 近かった体重が80kg を割ってしまうまでにやせ衰えてしまっていたのでした。マホニーがコンディションが良いときの写真は以下のファンサイトで見ることができます(英語のサイトです)。

この映画『ターザン三つの挑戦』はビデオや DVD にもなっていないようですから、今後再鑑賞するのは難しいかもしれません。また映画としての評価もけっして高くはないようです。が、生きているうちにもう一度観てみたいものだと思っています。


投稿者 kihachin : 2005年05月04日 14:00

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トラックバック時刻: 2005年05月07日 14:25

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トラックバック時刻: 2005年05月12日 08:22

コメント

うわああ、ターザンだ!!
私が幼い頃、テレビでは何度もターザン映画をやっていたような気がします。
でも、タイトルとかは、憶えていないのです。
もちろん、俳優なども。
でも、「ターザン」というキャラクターの凄さは、それらの映画におそわりました。

ところで、この決闘シーン。なんだか、少年漫画の世界みたいですね。特に、往年の週刊少年ジャンプ。
映画では、『フラッシュ・ゴードン』で、あれは針の山だったかなあ、やはり危険なものの上にもうけられた、傾く円盤の上でフェンシングの決闘をする、というシーンが出てきました。
ですが、いずれも、後年のもの。
この映画が原点だとしたら、面白いですね。

投稿者 とら : 2005年05月05日 20:34

とらさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
「このエントリーにはコメントもトラックバックもないだろう・・・」と最初から諦めていましたので、嬉しい驚きです(笑)。

> ところで、この決闘シーン。なんだか、少年漫画の世界みたいですね。

たしかに演ずる2人が常識外れの人たちですからね。
記事には書いていませんが、ウディ・ストロードの奥さんはなんとハワイ王朝の末裔、つまりプリンセスです。
さらにストロードは俳優と同時にプロレスラーもしており、筋力トレーニングの本なども書いています。
ウディ・ストロードもジョック・マホニーも、本人がまるで少年漫画の主人公のような人たちだったのです。

> 映画では、『フラッシュ・ゴードン』で、あれは針の山だったかなあ、やはり危険なものの上にもうけられた、傾く円盤の上でフェンシングの決闘をする、というシーンが出てきました。

『フラッシュ・ゴードン』は映画館で観たことがあるのですが、その決闘シーンの記憶は失われています。(^_^;)
最後に悪役の皇帝ミン(マックス・フォン・シドー!)が宇宙船のとがった舳先で刺されて死ぬのは覚えているのですが・・・。
そういえば『フラッシュ・ゴードン』でも悪役側はモロに東洋人のイメージでしたね。

投稿者 喜八 : 2005年05月06日 20:18

うわーすごいなあ。ハワイのプリンセスが奥さん。
ほんとに少年漫画の世界ですね。
『フラッシュ・ゴードン』の敵役、ミンは、モンゴリアンをイメージしていると聞いた事があります。もろに、東洋人のイメージです(笑)。
ところで、私は、火星シリーズを取り上げた時に、喜八さんにはばればれだと思うのですが、ERBの大ファンなのです。ターザンも、おおむね全巻持っているのではないか、と思います。映画は、ほんと、遠い記憶の彼方なのが残念です。今見ると、また違った感想になるんだろうなあ。

投稿者 とら : 2005年05月06日 22:12

とらさん、こんにちは。
そういえば『フラッシュ・ゴードン』の「悪の帝国」の名前は「モンゴ(Mong)」でした(さっき調べてみたのです)。まさにそのままです(笑)。

> ところで、私は、火星シリーズを取り上げた時に、喜八さんにはばればれだと思うのですが、ERBの大ファンなのです。ターザンも、おおむね全巻持っているのではないか、と思います。

ターザンを全巻もっているとは羨ましい・・・。
私は4冊しか持っていません。最初の3冊とペルシダー・シリーズの中の1冊です。
いまから全部揃えたくなってきました!

ふと思ったのですが、バローズ作品には人種差別的な雰囲気がわりと少ないような気がします。あの時代のアメリカのエンターテインメントとしては。なにしろ火星シリーズでもっとも高潔な人物として描かれているのは緑色人のタルス・タルカスですからね。

投稿者 喜八 : 2005年05月08日 10:09

たしか、バロウズは、太平洋戦争の時、従軍記者として飛行機にも乗り、日本相手に大いに気炎をあげた、と読んだ記憶があります。
ですが、これはきっと、彼の愛国心のなせる技だったのでしょう。戦争に参加したからといって、格別人種差別的な意識を持たないというのはスゴイですね。
実際、火星シリーズでは、黄色人が敵として登場しますけれども、赤色人の敵国となんら変わりませんし、立派でかっこいい黄色人戦士も登場してますし。
バロウズ自身が、立派なアメリカ紳士だったという事ですね。
そして、タルス・タルカス……。
子供の時も今も、ジョン・カーター以上に私のヒーローなのです(笑)。かっこいいですよね。

投稿者 とら : 2005年05月08日 14:00

> 実際、火星シリーズでは、黄色人が敵として登場しますけれども、赤色人の敵国となんら変わりませんし、立派でかっこいい黄色人戦士も登場してますし。

そうなのです。火星シリーズでは赤色人・黒色人・黄色人は格好よく描かれています。
「火星一の美女」デジャー・ソリスは赤色人ですし。
それに反して白色人というのはパッとしません。

> そして、タルス・タルカス……。

冷静に考えるとタルス・タルカスが一番好意的に描かれているとさえ言えるかもしれません。
主人公のジョン・カーターは意外に無責任で軽率なところがありますからね。「戦士版ピーターパン」という印象もあります(笑)。

投稿者 喜八 : 2005年05月09日 12:01

戦士版ピーター・パン!
それ、すごくいいたとえですね(笑)。
確かに、ジョン・カーターは過剰なほどオプティミストなところがあって、それが後に読者を飽きさせる(または、大人になってから読めないと言われる理由)になっていると思うのですが、むしろ現代では、そういうプラス思考なところが、うけるんじゃないかという気もします。
ところで、白色人種がイマイチ火星でウケないのは、バロウズの中で、白色人種がヨーロッパ人に比較されていたんじゃないかなあ、という気も、少しするのです。
これに対する、(さまざまな種族が混血した結果の)赤色人が、アメリカ人です。
そして、当然ながら、緑色人がアメリカン・ネイティヴですね。とはいっても、やはり、どの種族もおおむね公平に描かれているのは、時代背景などを考えると、素晴らしい事だと思うんです。

投稿者 とら : 2005年05月09日 22:45

「白色人種=ヨーロッパ人」
「赤色人=アメリカ人」
「緑色人=アメリカン・ネイティヴ」
ですか?
なるほど! その通りだと思います。
となると緑色人が一番由緒ある民族なんですね(笑)。

ところで、『指輪物語』『ナルニア国ものがたり』のように、かつては映像化が不可能といわれてきた作品が続々と映画になっていますね。
この勢い(?)でバロウズの火星シリーズも映画化されないものか、と密かに期待しています。
アメリカあたりには熱狂的なバルスーム・ファンが沢山いそうなのですが・・・。

投稿者 喜八 : 2005年05月10日 12:03