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2005年07月12日

竹槍蓆旗

むしろ織機

わびすけさん(注:女性です)からむしろ織機の写真を送っていただきました。
これは初めて見る画像です!
ありがとうございます~。

以下はわびすけさんの文章です。

写真は「むしろ織機」です。
「むしろ」の分からない人が増えていますが、昔田舎で祖母や祖父が玄関先で夜なべ仕事に折る姿を見た事があります。
今年のカラ梅雨に水不足で困っている人が沢山います。
我が家も畑がカラカラですが、それでも今朝今年初めて「ゴウヤ」を収穫しました。
暑い夏は「ゴウヤ」で元気元気の私です。

(以下ふたたび喜八)
竹槍蓆旗(ちくそうせっき)」という言葉をご存知でしょうか?
「竹槍」は読んで字の如く「たけやり」で、「蓆旗」は「むしろばた」のこと。百姓一揆を意味する言葉です。しばらく前に読んだ『百姓一揆とその作法』保坂智、吉川弘文館(2002)という本で知りました。

ところで、実際の百姓一揆では「むしろばた」が立てられたことは少なかったのだそうです。むしろ例外的少数例であって、普通は布や紙の旗が使用されたそうです。「むしろばた」といえば、現在でもデモなどで使われることの多い定番アイテムですが、これは何時の時代に定着した「常識」なのでしょうか?

また、竹槍が実際の戦闘に使用されたという例も極めて少数だそうです。しかも明治維新以降のケースがほとんどなのだとか。江戸期の百姓一揆は政府の転覆を狙う「戦争」ではなくて、一種のデモのようなものですから(ただし首謀者は命がけ)、武器を実際に使用するということはあまりなかったのです。

竹槍というのも不思議なアイテムですね。太平洋戦争末期、本土決戦が声高く叫ばれていたころ、女性や未成年者を含む一般の国民が竹槍をもたされて、軍事教練を受けさせられたという事実があります。当時最新鋭の装備を誇るアメリカ軍に対して、女性や子供が竹槍で攻撃を試みたら・・・。想像するだけでも恐ろしいことですが、幸いなことに本土決戦は実行されませんでした。

日本ではどうも竹槍が過大に評価されているのではないかと思うのです。一種の呪術的アイテムにさえなっているのかもしれません。冷静に考えれば、竹槍などは石器時代以前のテクノロジーなのです。竹槍よりは、出刃包丁の刃でも先につけた手製槍のほうがまだマシだろうと、子供のころから思っていました(もちろん、そんな槍で米軍と戦うのは自殺行為でしかありませんが)。

竹槍やむしろ旗は日本人の血を騒がせ、ときには理性を失わせる、ある種の「おどろおどろしさ」を持つ道具なのかもしれません。


参考ページ

  • 「むしろ織」(農林水産省農林水産研究情報センターのデータベースより)


投稿者 kihachin : 2005年07月12日 20:03

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» 『竹の民族誌』 日本のいたるところにある、竹 from 手当たり次第の本棚
『竹の民族誌』。 この本を、喜八さん のブログで紹介 されているのを見た時に、なんだか面白そうだ、と思ったわけだ。 それにしても、竹か。 どう... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年07月30日 22:43

コメント

竹の切り口はかなり鋭く、竹槍も一回限りの武器としては、けっこう侮れないんじゃないかと思います。
金属をつけた槍より、軽くて扱いやすいという事もありそうです。しかも、材料の調達が容易です。
実際、ベトナム戦争では、ゲリラが竹を使ったトラップを多用したとか。もっとも、これもトラップとして1回限り役に立てば良いというポイントはあったかもしれませんね。
とはいえ、日本が本土決戦を行わずに降伏したのは、良い事だったと私も思っています。もし、泥沼のゲリラ戦になっていたら……。
島国の日本、立ち直れないほど全土が荒れ果ててしまったのではないでしょうか。

投稿者 とら : 2005年07月12日 23:18

とらさん、こんにちは~。
コメントありがとうございます。

じつは「竹槍」には以前から興味がありまして、ちょっと調べてみたことがあります。
竹槍が実戦に使われた場合としては、山城の上から「投げやり」として使用したとか、味方の数を多く見せるために非戦闘員に竹槍を持たせる「擬兵」などがありました。
それと、上の記事にもちょっと書きましたように明治維新以降の農民争議ですね。
竹のもつ呪術性は『竹の民族誌』沖浦和光、岩波新書でちょっと読んだだけです。これは興味深い本ですが、いまは版元品切れかもしれませんね。

投稿者 喜八 : 2005年07月13日 09:04

いちいち竹槍を戦前の話に結び付けないでください、あの化け物の国を相手に皆一生懸命戦ったんです。

投稿者 日本 : 2005年07月14日 17:19

日本さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
今後の参考にさせていただきますね~。

投稿者 喜八 : 2005年07月14日 17:25

『竹の民族誌』、これは読んでみたいですね。
絶版になっていないといいのですが。
竹槍というと、どうも悲壮感が伴ってしまいますが、竹は、楽器にも多用されるので、そういう点からも興味深い素材です。

投稿者 とら : 2005年07月14日 19:26

とらさん、こんばんは~。
『竹の民族誌』は絶対的にお勧めですよ!
岩波書店のサイトで調べてみたら在庫があるようです。

「竹の民族誌」
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/43/4/4301870.html

沖浦和光さんの著書では、他にも『幻の漂泊民・サンカ』(文藝春秋)も読み応えがありました。

投稿者 喜八 : 2005年07月14日 20:14

あっ。著者名になんか聞き覚えがあると思ったら、『幻の漂泊民・サンカ』。
こちらは大学時代に図書館で読んだ記憶が……。
もう一度読み直したいな。
これはますます、『竹の民族誌』、興味深いですね。

投稿者 とら : 2005年07月16日 14:48

とらさんも『幻の漂泊民・サンカ』を読んだことがありましたか!
なんとなくそのような気がしていました(笑)。
沖浦和光さんの本は、この2冊しか読んだことがないのですが、他の本も読んでみたくなってきました・・・。

投稿者 喜八 : 2005年07月17日 17:37

『竹の民族誌』が新書。
そして、なんと『サンカ』は、文庫になっていたんですね!<私が読んだ図書館の本は、たしかハードカヴァーだったはず
そこで、実書店に見あたらないので注文することにしました。
手元に来るのが、いまから楽しみです。

投稿者 とら : 2005年07月19日 22:33

『幻の漂泊民・サンカ』は文庫になっていましたか!
まったく知りませんでした。
私も図書館で読んだクチなので、文庫版を入手しておこうかと思います。

投稿者 喜八 : 2005年07月20日 05:04