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2005年09月01日

1票の格差

選挙についてあれこれ考えてみました。
今日は「1票の格差」についてです。

1票の格差

昨日(08-31)の朝刊各紙に「1票の格差2.18倍」という記事が掲載されました。総務省が発表した衆院選公示前日(08-29)の有権者数を基にした記事です。これによると小選挙区ごとの有権者数の最大・最小は以下のようになります。

  • 最大東京6区 46万7422人
  • 最小徳島1区 21万4763人

この結果、「1票の格差」は最大で「2.18倍」となります。つまり両区における議員1人当たりの有権者数は「2.18倍」の差があるということです。別の言い方をすれば「東京6区の有権者の権利は徳島1区の人の半分以下!」となります。

「ふ~ん、そんなものかね」と思う方も少なくないでしょう。じつは私(喜八)もごく最近までそうでした。が、これはトンデモナイ数値なのです。

ほかの先進諸国では「1票の格差」には厳しい目が注がれています。以下にアメリカ合州国・イギリス・ドイツ・フランスの「1票の格差の許容限度」を挙げます。これ以上の格差は法の正義の下では認められない、という限度です。

  • アメリカ 10%
  • イギリス 4%
  • ドイツ 15%
  • フランス 10%

それでもって日本の衆院選挙では 218%・・・。
参院はさらに酷くて516% の格差が・・・(トホホ)。
これでも日本は「先進国」「法治国家」といえるのか~!

これはもう「選挙制度の不備」を通り越して「不正」の領域に入っていませんか? それに「1票の格差」の是正なんて総理大臣が命じれば、すぐにできそうな気がするのですけれどね~。

選挙制度は民主主義の根幹です(たぶん)。その根幹の部分に不正があれば、後は推して知るべしでしょう。味方からも敵からも「強いリーダー」と目されている(らしい)小泉首相には、まず選挙制度改革に手をつけて欲しかった!

(次回は「どぶ板選挙」について)


参考ページ


投稿者 kihachin : 2005年09月01日 20:47

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コメント

喜八さん、たびたび失礼します…。

この問題、私にも解がある訳ではないのですが…。確かに選挙制度の理念からすれば一票の格差は僅少である方が望ましいと思います。

ただ、これは結局「過疎地問題」「都市対地方」の問題を内包しているのではないか?と思います。つまり、郵政のユニバーサル・サービスをめぐる議論でもそうなのですが、都市の利害と地方の利害とが異なる場合(それは結局のところ国民全てが負うものではありますが)多数議員を輩出している都市部の意向が結果的には強くなります。そうなると、地方切捨てがより明確な形になるのではないかと思うのです。

一票の格差が存在するのは、端的に政権党に有利であるからでしょう。自民党は、やはり地方では強いですから。それが、公共事業・補助金行政に結びつく、という負の部分もあると思います。ただ、一票の格差を是正する方向に舵を切ると、多数の有権者を抱える都市部の意向がこれまで以上に反映され、地方切捨ては進むのではないかと思います。それが「正確な民意の反映」であれば当然なのかもしれないのですが、どうもそれは釈然としないものを感じます。

むしろ、都市部に人口流入が加速すればするほど、一票の格差は増大させる位の方向が「各地方の声を吸い上げる」という意味ではよいのではないか、と思ったりもします。(面積比対応にする、という考え方もあるようなのですが、国際的にオーソライズされた議論かどうかは分かりません…。)

立法によってこの格差を是正しない以上は、司法の場に判断を求めるという手段もありますが、衆院で3倍、参院で6倍までは許容範囲、というのが判例だったと記憶しています。(法令上は、2倍以内を目安とする、となっていたかと。)

最高裁判所裁判官の審査もありますので、裁判官毎の判断を見て判断する、という手段もありそうです。煮え切らないコメントで済みません…。

T.D.

投稿者 tropical_dandy : 2005年09月02日 23:40

たびたび済みません。早朝から仕事なのですが雑事処理してしまい逆に目が醒めてしまいましたので、少しだけ追加を。

解の一つとして二院制の機能を明確に分ける運用をする、ということが挙げられます。喜八さんが挙げられた合衆国の10%という数字は下院議会の数字ですね。確かにUSでは下院では「一票の格差」を僅少化させる方向にあります。

他方、上院は-喜八さんもご存知のことと思いますが-州代表2名と割り当てられるため、一票の格差は大きく異なります。(最大で70倍近くの差があります!)合衆国議会では、上院と下院をはっきり色分けしているので、上院構成により「過疎地問題」にもケアできます。本来は、この点について触れないと、先進国との比較という意味ではインバランスかなと思います。

但し、連邦制のUSと日本の選挙区割りは違う、という議論もあるかと思います。しかし、日本も二院制であることには代わりはなく、House毎の出身議員も機能も違っておかしくはないと思います。また、参院選挙区は都道府県単位ですから、各地域代表と言う見方も可能です。また、その「一票の格差」は日本の参議院よりもUSの上院の方が大きい点はポイントだと思います。

纏めますと、
(1)都市部人口が多いから都市部の見方で日本の全国土を考えてよいのか(地方切捨て)という疑問
(2)合衆国二院制が(1)の問題について一定の解を出していると言う事実
でしょうか。

やはり、一票の格差を無条件で非とするのは無理があるように思います。二院で機能を分け、参院では一票の格差がある程度拡大する方向で考える方が(1)に対する解答としては相応しいかと思えてしまいます。

T.D.

投稿者 tropical_dandy : 2005年09月03日 03:03

tropical_dandy さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
スカスカの私のブログ記事がコメント欄で補強されることになり、感謝しております~。

> 他方、上院は-喜八さんもご存知のことと思いますが-州代表2名と割り当てられるため、一票の格差は大きく異なります。(最大で70倍近くの差があります!)合衆国議会では、上院と下院をはっきり色分けしているので、上院構成により「過疎地問題」にもケアできます。

正直なところ、この点はまったく考えていませんでした。(^_^;)
ドロナワ式に「Wikipedia」で調べてみると・・・。

「アメリカ合衆国の政治」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%94%BF%E6%B2%BB

「連邦議会(Congress)」の項目の「上院」のところに以下のような記述があります。

> 選出定員は人口や面積などの州の規模に関係なく各州2名に決まっており、下院が人口比例であるのと対照的であるが、これは建国当初に人口の多い州と少ない州で対立する利害を調整するためにコネチカット州の提案により生み出された策で、「大妥協」(Great Compromise)と呼ばれる。

「大妥協」(Great Compromise)ですから、真似はしないほうがいいかもしれませんね(笑)。

また、アメリカの場合は各州の権限が非常に強くて、いわば「準独立国」と考えることもできるでしょう。そのため上院議員は各州の権益のために存在すると考えると「1票の格差」もそれほど問題にならないかもしれません。たとえば州知事は各州1人が定員ですが、州知事選挙の際に「1票の格差」を問題にする人はいないでしょうから(日本の県知事、あるいは市町村首長選挙の場合も同じです)。

やはり選挙というデモクラシーの「入り口」において「一票の格差」があるのは問題です。入り口が歪められたシステムは結局全体が歪んでしまうからです。これはプロ野球のドラフト制度を考えてみれば理解していただけるでしょう。「逆指名」という条項を追加したためにドラフト制度全体が死にました。

また次のような意見はどう思われるでしょうか?

普通選挙とは「年収が100億円の人」も「10万円の人」もおなじく1票を行使できるシステム。しかし、社会はどうしても金持ちの都合のいいようにされてしまいがち。だから低収入の有権者には2票を与えて社会のバランスをとりましょう。

ひとことで言えば「ナンセンス」となるでしょう。
各選挙区の「1票の格差」によって社会正義を実現しようというアイデアも同じだと思うのです。

> ただ、一票の格差を是正する方向に舵を切ると、多数の有権者を抱える都市部の意向がこれまで以上に反映され、地方切捨ては進むのではないかと思います。

小泉さん・竹中さんが実施しているような新自由主義的な経済政策においては「地方切捨て」は必然の結果となります。でも、これでは日本という国民国家はもたないでしょう。国内に「南北問題」を抱えることになりますし、新自由主義的政策が続く限り南北問題は深刻化してゆくでしょうから。

私も「地方切捨て」には断固反対です。いまは素朴な(臆面もない?)地方切捨て論者があふれていますが、そういう人たちを見ると「人体で大事なのは脳・心臓・肝臓・腎臓だから、手足の指や体毛なんていらない」と言っている人と一緒だな~という印象を抱きます(笑)。

投稿者 喜八 : 2005年09月04日 13:09

喜八さん、何とも不躾な長文コメント(お恥ずかしい…)にコメント有難うございます。

確かに、ご指摘の通り、民主政体においては一票の格差は可能な範囲で僅少化されることが望ましい。また、一票の格差を以って社会正義の実現を図ることは筋の良くない議論である…という点は私も大賛成です。

>普通選挙とは「年収が100億円の人」も「10万円の人」もおなじく1票を行使できるシステム。しかし、社会はどうしても金持ちの都合のいいようにされてしまいがち。だから低収入の有権者には2票を与えて社会のバランスをとりましょう。

もちろん、それはナンセンスです。原則論としてはあり得ない話です。私が一つの考え方と思っているのは二院制の一方議会(この場合、参議院)においては「一票の格差」が存在するかもしれない地方問題に対するケアを担える機構にしてはどうかということです。

喜八さんの言われる通り、合衆国は各州が法的地位においても独立性が高い、ゆえに上院議員も州代表としての色彩を持ちます。ですが、日本の途方自治体の首長で「一票の格差」を問題にする人がいない、という議論には結びつかないかな…と思います。

日本の地方自治体の首長は、USの上院議員とは異なり、連邦議会の構成メンバーではない訳で、国政に直接影響を及ぼすことは難しい。この点で「地域代表」に関しては「一票の格差」を度外視しても国会に送り込むのは不合理ではないと思います。事実、日本の首長は国会議員としての議決権はありませんから、この二つを一種にするのはちょっと質の違う話かと思います。

もちろん、上記は二院制を前提とした話です。ドイツも地方院ともいうべき二院制の一翼を担うHouseもありますし、二院制を採用するなら、異なった選出基準(「一票の格差」と地方の発言権との均衡を企図するシステム)があっても良いと思っています。

原則論として喜八さんの言われていることに何ら異論はないのです。ただ、地方の問題をどうするのか?は地方議会に権限委譲してその地方で解決するだけでなく、国政の場でグランドデザインを持って論じられなければならない(都市であれ地方であれ、国の構成要素ですから)と思います。その場合、都市部選出の議員が多数を占めた場合、それができるのか?私には疑問に感じられましたので、何らかの形でこれをケアする必要があるだろうと思います。

またまた長文で申し訳ありません…。何かとんでもなくピントが外れたお話をしてしまったかと…恐らく喜八さんの指摘されることと大きく違うことではないと考えておりますが、どうかお気を悪くされることなく…とお願い申し上げます。

T.D.

投稿者 tropical_dandy : 2005年09月05日 01:37

> tropical_dandy さん

tropical_dandy さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
気を悪くする、なんてトンデモナイですよ~。
おかげさまで(もともと浅い)私の思考をいくらかでも深めさせていただきまして感謝しています!

> 私が一つの考え方と思っているのは二院制の一方議会(この場合、参議院)においては「一票の格差」が存在するかもしれない地方問題に対するケアを担える機構にしてはどうかということです。

それはいいアイデアです。日本の参議院は「衆議院のコピー」なんて揶揄されることも多いですし、そのわりには権限が大きいですからね(その結果「郵政民営化法案」を止めることができたのですが)。参議院議員の「各都道府県を代表する者」という性格を強めて、地方自治を強化する方向に持っていければ面白いと思います。

> ただ、地方の問題をどうするのか?は地方議会に権限委譲してその地方で解決するだけでなく、国政の場でグランドデザインを持って論じられなければならない(都市であれ地方であれ、国の構成要素ですから)と思います。

先にも書きましたように新自由主義的な経済イデオロギーが支配的な現状では「地方切捨て」が必然の結果となってしまうでしょう。当面の問題は「このまま小泉・竹中 ”構造改革”を進行させていいのか?」ということになります。今回の衆議院選挙は日本の未来を占う重要な分岐点となりそうです。

ただ、従来型のいわゆる「バラマキ型土建政治」とでもいうような手法の弊害が大きいのは明らかになってきましたから、古い自民党的なやり方に戻ることもできないでしょう。「行くも地獄、戻るも地獄」とでもいうような厳しい状況です。私はときどき思うのですが、もし日本国が「民営」だったら、とっくの昔につぶれています(笑)。

話題は少しずれますが、都市型の有権者が増えた結果(ほかにも理由はありますが)「排外的ナショナリズム」が勢力を増やしている、という事実も見逃せません。自民党の古いタイプの政治家には意外にハト派的な「国際協調志向」の人も多いのですね。たとえば野中広務さんや鈴木宗男さん。私はこの方たちの主張を一から十まで支持するわけではありませんが、小泉さんや竹中さんのような酷薄な新自由主義者よりはずっといいと思っています。

投稿者 喜八 : 2005年09月06日 13:04