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2005年09月26日

佐藤優さん講演会(2)

前回大男を連想していたので、ちょっと意外でした」と書いたように、佐藤優氏のことを「大男」だと思っていたのには「ラスプーチン」という仇名以外にも理由があったことに気づきました。いわゆる「ムネオ疑惑」の嚆矢ともいうべき『鈴木宗男研究』加藤昭、新潮社(2002)に以下のような描写があったからです。

平成十三年、私が鈴木(総務局長=当時)にインタビューを行った時のこと。広い総務局長室には当時の鈴木のほかにもうひとり、黒いスーツに身を固めた大柄な男がいた。佐藤自身である(『鈴木宗男研究』より引用)。

上の文中「」は『鈴木宗男研究』著者の加藤昭氏、「鈴木」は鈴木宗男氏、「佐藤」は佐藤優氏です。先にも書いたように佐藤氏は常識的には「大柄な男」とは言い難いので、加藤昭氏が上のように書いたのには心理的な要因があるに違いありません。その要因を想像してみるのも興味深いものがあります・・・。

さらに『鈴木宗男研究』には「密かにアンチ鈴木の立場を取るさる若手外務官僚」の発言として、佐藤優氏のことを次のように描いている部分もあります。

佐藤は外務省に絶大な影響力を持つ鈴木代議士に取り入り、日露外交を駄目にした戦犯ともいうべき男です(同書より引用)。

佐藤優さんの講演会の話題に戻ります。

講演にはつきものの質疑応答の時間が今回も設けられていました。まず最初に質問用紙が入場者に配られ、各人は質問を書いて提出します。講演終了後、講師(佐藤氏)はそれらの質問を自ら読み上げ矢継ぎ早に回答。さらには口頭で質問する時間も追加されました。私(喜八)は書面と口頭各1つずつ計2つの質問をさせてもらいました。以下は私の質問と講師回答および解説です。

■ 小泉総理
書面による質問)佐藤さんの著書『国家の罠』新潮社(2005)には小泉総理と面談したという描写がまったくありません。これは実際に接触することがなかったのでしょうか? それとも接触はあったのだけれども本には書かなかったのでしょうか?

佐藤氏の回答)小泉総理と個人的にお会いすることはありませんでした。

喜八の解説)佐藤優氏は「私は橋本龍太郎氏、小渕恵三氏、森喜朗氏の三総理が展開した地政学外交を間近で見る機会に恵まれた」と書いています(月刊誌『世界』2005年7月号「民族の罠(第一回)」)。単行本『国家の罠』にも小渕総理・森総理との個人的なやりとりの描写が何箇所かあります。特に小渕総理が佐藤優主任分析官に外交情報を何度も何度も繰り返し説明させる部分は感動的でさえあります。「凡人宰相」「真空総理」ともいわれた小渕氏の総理大臣職務に対するきわめて厳しい姿勢が伺えるからです。

が、小泉純一郎総理との個人的やりとりが『国家の罠』にはない。「これはどうしたわけか?」と思って質問をだしてみたのです。小渕総理・森総理とは個別に面談する機会が多かった佐藤主任分析官が小泉総理とは会うことがなかった。その理由も興味深いものがありますが、私の考えをここに書くのは自粛しておきます(憶測でしかないので)。

■ 漫画について
口頭による質問)佐藤さんは大変な読書家として知られていますが、漫画などは読まれるのでしょうか? もし読まれるのでしたら、面白かった作品を教えてください。

佐藤氏の回答)漫画は好きですがあまり読まないようにしています。小説に関しても同じです。
いままで感銘を受けた漫画には以下のような作品・作者があります。

 『うずまき』伊藤潤二。
 高橋留美子さん、山上たつひこさんの作品。

喜八の解説)我ながら突拍子もない質問でした。熱弁する佐藤優氏の様子を見ているうちに漫画に関する質問をしてみたくなったのです。最近の私(喜八)はほとんど漫画を読みませんし、なぜこのようなことを訊きたくなったのか自分でもよく分かりません。講演会場においても完全に浮いていたと思います。とはいえ佐藤氏の本質を探るという意味では悪い質問ではなかったのかもしれません。

『うずまき』はホラー作品のようです。これは知りませんでした。近いうちに読んでみます。
高橋留美子さんの『うる星やつら』や『めぞん一刻』は私も大学生のころ愛読しました。年齢の近い佐藤氏が高橋留美子作品を愛する気持ちはよく分かります。
山上たつひこはおそらく『光る風』でしょう。近未来の日本がファシズムへ移行するという大変に怖い話です。今回の佐藤優さんの講演の内容とぴったり合っています。

「佐藤優さん講演会(3)」へ続く)


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投稿者 kihachin : 2005年09月26日 20:42

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コメント

喜八さん、こんばんは。
個人的に非常に興味深く読ませていただきました。
鈴木宗男氏のことについては少し調べましたが佐藤優氏については恥ずかしながらあまり興味を持って無かったせいか、ほとんど存じ上げておりませんでした。
今日、書店で「国家の罠」を購入してまいりましたので早速、熟読したいと思います。

>小渕総理・森総理とは個別に面談する機会が多かった佐藤主任分析官が小泉総理とは会うことがなかった。その理由も興味深いものがありますが、私の考えをここに書くのは自粛しておきます(憶測でしかないので)。

うーん。非常に興味深いお話ですね。私も憶測で色々・・・。

>山上たつひこはおそらく『光る風』でしょう。近未来の日本がファシズムへ移行するという大変に怖い話です。今回の佐藤優さんの講演の内容とぴったり合っています。

私、あまり漫画を読まないもので残念ながら拝読したことがありません・・・。内容は興味深いので今度読む機会を作ってみます。
ただ、先々この国がファシズムへと進んでしまう危険性は充分に孕んでいるということは否定の出来ない事実ですね・・・。

投稿者 田舎の神主 : 2005年09月26日 22:20

田舎の神主さん、こんにちは。
コメントありがとうございます!

鈴木宗男氏、佐藤優氏、鈴木事務所の政策秘書A氏は起訴拘留中も立派な態度を貫き通したと聞きます。当時、新聞などのメディアではこの3人を指して「鉄の三角形」という報道がされていたと記憶しています。

また鈴木宗男氏は自らが拘留されているのに、秘書の逮捕を聞くと「Aが可哀想だ」と述べたと言われています。何事かあると総てを秘書の責任として自分はほっかぶりをする政治家が多い中、鈴木氏の姿勢はきわめて人間味がありますね。

山上たつひこさんは『がきデカ』というギャグ漫画が有名ですが、それ以前に『光る風』というシリアスな漫画を描いています。『光る風』は1970年代に「少年マガジン」で連載され、現在でもカルト的な人気を誇る異色作です。インターネットで「光る風 山上たつひこ」と検索をかけると断片的な情報は得られるようです。公立図書館などにおいてある可能性もありますので、機会がありましたら、ぜひ読んでみてください・・・。

投稿者 喜八 : 2005年09月27日 12:19

喜八さん、こんにちは!
伊藤潤二さんの『うずまき』、連載で読んでいました。
怖いです。これ読んでから、何だか「うずまき」が邪悪に見えます・・・。
山上たつひこさんって、『がきデカ』しか知らなかったのですが、
シリアスな漫画も描かれているのですね。

漫画へのコメントのみで、すみませーん。汗

投稿者 つな : 2005年09月27日 18:20

つなさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!

『うずまき』は「ビッグコミック・スピリッツ」に連載されていたようですね。
私が同誌を最後に購入したのは20年ほど前だと思います。
『うずまき』もまったく知りませんでした。
近いうちに全3巻をまとめて読んでみたいと思っています。

> 漫画へのコメントのみで、すみませーん。汗

いえいえ、漫画へのコメントは大歓迎です(笑)。
この頃このブログもちょっとカタイ記事に偏っていますから・・・。(^_^;)

投稿者 喜八 : 2005年09月28日 12:07

佐藤君は同志社大学でも有名でしたよ!女子に凄く優しくて、優秀で・・・浦和から京大に来てた人からも、高校時代から蛍雪に載ったり有名だったと聞きました。TVでみた時は驚きました。あんなに純粋で真直ぐで繊細な彼が・・・きっと陥れられたのだと思いました。この本すぐに読んでみたいです。

投稿者 angel : 2005年11月20日 21:38

angel さん、はじめまして。
幣ブログに足を運んでいただきまして有難うございます。

angel さんは佐藤優さんを直接ご存知なのですね!
私は講演会場の前から2番目の席でお姿を拝見しただけですが、たしかに「繊細な」印象がありました。経歴を考慮すると大変に「強い」人物でもあるのでしょうけれど。

日本の将来を考える際、佐藤優氏はキーパーソンの1人となるのではないでしょうか。今後も注目していきたいと思っています。

投稿者 喜八 : 2005年11月21日 15:25

パソコン初心者です。投稿なんて初めてで・・・私の友人が佐藤君の下宿の近くで仲良くしていたので、私もよくお話をさせて頂きました。同志社大の内進生以外の受験組は、京大、阪大落ちが多いのに、彼は東大落ちとの事で印象に残っていました
佐藤君とも男女何人かで、一度だけ飲みに行った事があります。その時は、すぐ誰かと議論してましたね・・・懐かしい思い出です。今よりずっとやせてて、とっても真面目な紳士?でしたよ!

投稿者 angel : 2005年11月21日 17:34

angel さん、こんにちは。
やはり佐藤優さんと直接面識のある方だったのですね。

> 今よりずっとやせてて、とっても真面目な紳士?でしたよ!

「とっても真面目な紳士」というのは現在でも変わらないのではないかと思います。体型に関しては2002年に逮捕される直前は痩せていたようです。やはり心労があったのでしょう。当時の写真は以下のページで見ることができます(よそ様のサイトの記事です)。

《「佐藤優元主任分析官逮捕!」に関連して、三宅善信代表がマスコミで発言!》
http://www.relnet.co.jp/relnet/brief/news13.htm

学生時代の佐藤さんはこんな感じだったのでしょうか。

投稿者 喜八 : 2005年11月22日 12:48