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2005年10月26日

木村剛さん

木村剛さん(企業経営者、エコノミスト)の人気ブログ「週間!木村剛」に幣記事『優しい経済学』のトラックバックを何気なく送信してみました。
すると木村さんがブログ記事の中で幣記事を取り上げてくれたのです! 正直なところ大変に驚きました(笑)。

木村剛さん、ありがとうございます。感謝しております。

木村剛さんとはポジション(立ち位置)が異なるため、”小泉改革” に対する姿勢など経済観も大きく異なる私(喜八)です。けれども、木村さんの著書は以前より愛読させていただいていますし、その言論活動には深い敬意を抱いております。

たとえば私が運営する筋力トレーニングのサイト内「頑張らないトレーニング」というコーナーでは "Grow Big Slowly" という目標を掲げています。これは木村さんの著書『投資戦略の発想法』講談社(2001)にある "Grow rich slowly" の一部を変更しただけのものです。また『日本資本主義の哲学』PHP(2002)の「成功する秘訣は「成功するまでやりつづけること」に尽きる」という一節は座右の銘のひとつとなっています。

さて、木村剛さんのブログ記事「「優しい経済学」は本当に優しいのか?」への感想を(少しだけ)書かせていただきます。

まず高橋伸彰教授の『優しい経済学』から私が引用した文章は、「粗雑な私の頭脳でも分かりやすかった」部分であります。さらには「経済の本なんて生まれてから一冊も読んだことがない!」という方にも理解していただけるのではないか、と判断しての引用です。したがって、ここだけを取り上げて論を進めるのはそれこそミスリーディングになるのではないかと恐れます。

たとえば、木村剛さんの『戦略経営の発想法』ダイヤモンド社(2004)から「はらわたの思い」「健全な狂気」などの「極めて情緒的かつ扇情的」な表現のみを取り上げて全体を論じるなら、相当に奇妙なバッシング論をでっち上げることも可能だと思うのです。「木村剛は前近代的根性至上主義者だ!」なんて決めつけることさえできるでしょう(なお、これはあくまで「悪い方の例え」であって、私自身がそう思っているわけでは毛頭ありません。念のために)。

どうも私がボンクラな引用をしたがゆえに高橋伸彰教授にご迷惑をおかけしてしまったようです。
高橋先生、大変に失礼いたしました・・・。

ところで、私は現在進められている ”小泉改革” には懐疑的なポジションをとっています。それは「正義」や「真理」というような高邁な信念に基づくものではありません。きわめて個人的な動機によるものです。「政府による規制をなるべく減らして市場(マーケット)にまかせよう」という新自由主義的な経済政策の下では、私自身・家族・友人・知人の多くが「ソンをする」ことが予想できるからです(身も蓋もない表現で失礼します)。おそらく日本列島に住む人の大多数にとっても「ソンをする」のは同様でしょう。

経済(学)は「絶対に正しい」ということの成立しにくい世界だと考えています。たとえば「円安(円高)」という事態ひとつを取っても、それによってソンをする人、トクをする人が同時に存在します。誰かのソンは一方では他の誰かのトクです。だから総ての構成員にとって「正しい」経済政策などはありえません。でも、何らかの政策は行なわなければならない。

”小泉改革” によってトクをする人たちも確実に存在するでしょう。けれどもきわめて少数なのではないでしょうか。少数者のトクと多数者のソンが社会的に拮抗するかどうか? きわめて疑問です。しかも市場の勝者による「トリックル・ダウン」が充分に行なわれるかどうかも大いに怪しいと思うのです。大金持ちになればなるほどケイマン諸島などのタックス・ヘブンに心(とお金)が飛ぶのは洋の東西を問わない一般的な「人情」と思われるからです。

なお、私は「なにがなんでもソンをしたくない」とインゴーなことを言っているのではありません(笑)。

木村剛さんが『日本資本主義の哲学』で書かれているような「ムラヲサ」的リーダーが「自分は給料を半分、いやゼロにしてでも再建事業をやり抜く。だから皆さんも痛みを分かち合ってください」というのなら、粛々と痛みを引き受けもするでしょう(ナニワブシ的人間ですから)。

けれども多くのリーダーが部下には痛みを押し付ける一方、自分自身は「焼け太り」しているような現状を見る限りでは、「冗談じゃない。そんなリーダーに従うことはできない」というのが、ごくごく正直な気持ちなのです。


投稿者 kihachin : 2005年10月26日 05:23

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 ちょっと仕事に身が入っていなくて(反省!)、ブログなんか書いていて何になるんだ!と注意をうけたので、短く書きます。  喜八ログさんの佐藤優さん講演会(1... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年10月27日 02:09

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 「週刊!木村剛」さんのエントリー「[ゴーログ] 「優しい経済学」は本当に優しいのか?」を拝読して、経済の仕組みの前に、人間性があるというのは肯けます。  その... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年10月27日 06:53

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トラックバック時刻: 2005年10月28日 21:48

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テレビで「救急救命士が注射の技術を高めるために、同僚どうしで注射をして訓練していて、厳重注意となった」と言っていた。普通は人形で訓練するという。まじめに訓練した... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年11月29日 21:51

コメント

(゜-゜*)(。。*)ウンウン
リーダーに必要なのは率先垂範ですよね!
(サービス接遇検定の勉強をしていて覚えたので、早速使うヤツ…)

投稿者 ぞう : 2005年10月26日 15:28

ぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
「サービス接遇検定」ですか!
ぞうさんの「資格コレクション」の数が増えますね。
一発合格をお祈り申し上げます~! (^_^)v

投稿者 喜八 : 2005年10月26日 20:17

喜八さん、こんにちは。たびたび失礼します。

木村剛さんについては、いろいろと思うところがありまして、別途、記事を投稿しようと思っています。
かつて、木村さんは自らのブログで以下のようなことを述べられました。(「週刊!木村剛」2004.02.05;URL下記)
http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2004/02/post.html
『ついこの間まで、多くの識者と呼ばれる人々が、日本経済に対する過度な悲観論をあおりたてていました。しかし、最近、景気回復を示す明るい材料が目に見えて増えており、こんな日本悲観論は大嘘だったことがはっきりしてきました。机上の空論しか語らない無責任な評論家エコノミストは、ビジネスの世界では何の役にも立たないということです。』(『』内引用)

「机上の空論しか語らない無責任な評論家エコノミストは、ビジネスの世界では何の役にも立たない」と言う点、私はまさに同感です。机上の空論、煽動的ペシミズムは私の忌み嫌うところでもあるからです。

ただ、木村さんも『キャピタルフライト』であるとか『円が日本を見棄てる』であるとか、かつて、随分と悲観的・煽動的言説を流されていたと記憶していますが…。上記記事は2004年のものですから、当時から状況は変わっています。木村さんの説く言説も変化を見せていると感じています。その辺を、いずれ書いてみたいと思っています。

T.D.

投稿者 tropical_dandy : 2005年10月28日 17:02

tropical_dandy さん、こちらにもコメントをいただきまして、ありがとうございます。
スカスカの幣記事が補強される結果となりますので、大いに感謝しております。

> 机上の空論しか語らない無責任な評論家エコノミストは、ビジネスの世界では何の役にも立たない

確かにそうなのですが「実務家でなければ意見を述べる権利はない」というようにも聞こえてしまいますね(笑)。
以前、木村剛さんは金子勝慶応大学教授にも「アカデミズムの場にお帰りなさい」という意味の言葉を投げかけたことがあったと記憶しています。「ちょっと酷な言い方ではないかな」と感じました。
もっとも、これも金子教授と木村さんのあいだで「カタをつける」べき問題だと思いますが・・・。

> ただ、木村さんも『キャピタルフライト』であるとか『円が日本を見棄てる』であるとか、かつて、随分と悲観的・煽動的言説を流されていたと記憶していますが…。

たしかにそうですね。
当時の木村剛さんは政策に対する批判的意見も多かったと記憶しています。

投稿者 喜八 : 2005年10月28日 21:18

こんばんわ。ご無沙汰しています。
強者の側についたら意見が変わる人だと思います
このコーナーの返答に対する木村氏は悪い意味での
アングロサクソン経済そのものの意見でした
昔年金問題で佐藤さんと言う評論家が朝生で痛烈に批判して
いてスゴイなと思っていましたら少し経つと国民年金基金の
CMに堂々と出ていました。えっ国の年金信用するなと涙ながらに言っていたのに・・・
このような方と同じ人だと思いますし又いろいろな醜聞も答えていません。
竹中氏と同じ人種と思います。

投稿者 のり : 2005年11月04日 18:09

のりさん、こんにちは~。

> 強者の側についたら意見が変わる人だと思います

大抵の人は「強者の側についたら意見が変わる」と思います。
現在は「新自由主義反対!」の側にいる私も、もし大会社のオーナー社長で個人資産300億円というような立場だったら、「やっぱり弱肉強食だよ。それが自然の法則だ」なんて言い出すのかもしれません(笑)。そうはなりたくないものですが・・・。

> 竹中氏と同じ人種と思います。

竹中さん、小泉さん、木村さん、堀江さんたちが「気が合う」のは間違いないでしょう。それが悪いとは思いませんが、新自由主義イデオロギーを野放図に世に広めようというのでは(私個人は)困ります。この点に関してはあくまで「ノー!」と言いたいですね。

投稿者 喜八 : 2005年11月05日 12:59