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2005年12月28日

『国家の自縛』

『国家の自縛』佐藤優

休職中の外務省職員佐藤優さんの社会復帰第2作です。

佐藤優氏は2002年05月に背任・偽計業務妨害の容疑で逮捕され、512日間にわたり拘留されました。2005年02月執行猶予付き有罪判決を受けましたが即時控訴。保釈後に出版された『国家の罠』新潮社(2005)が一躍ベストセラーとなりました。続く本書『国家の自縄』産経新聞出版(2005)では産経新聞斉藤勉記者との対談が収録されています。

話題は外交・靖国問題・ネオコン・『神皇正統記』・女帝論など多岐にわたります。正直なところ一般教養・基礎知識が徹底的に不足している私(喜八)には「ついていくのが難しい」内容です(汗)。それでも「なるほど」と思わされる部分はいくつもありました。

たとえばロシア人の政治観を語っている箇所(16頁)。佐藤氏によると「ロシア人の政治に関する感覚、選挙に関する感覚は日本人と違う」。ロシアでは「候補者っていうのは自分たちと関係ないところから二人か三人降ってくる」。そして候補者たちは「悪い奴と、うんと悪い奴と、とんでもない奴」であり「その三人の中で悪い奴を選ぶっていうのが選挙」だというのです。

佐藤氏のいわれる通りであるなら、ロシア人はきわめて健全な政治観を持っています(笑)。それに比べて我が日本の同胞には「有権者が黙っていても政治家はそこそこやってくれるだろう。だから誰が当選しても同じ」なんていう意識の方が多いように思われます。これではお人好しに過ぎますし、きわめて危険でもあります。どこの国でも政治家というのは勝手にやらせておくと急速に悪くなるからです。これは世界的な常識ではないでしょうか。

近年、日本では国政選挙・地方選挙ともに投票率が低いのが当たり前のようになってきました。これも危険な兆候です。棄権は「悪い奴と、うんと悪い奴と、とんでもない奴」らに白紙状態の手形を譲渡するのと同じくらい馬鹿げた行為でしょう。ここはロシア人に習って「とんでもない奴とうんと悪い奴をはずすために投票に行く」というプラグマティックな意識を広めたいものです。

お人好し」といえば『国家の自縄』には「イスラエル随一のロシア専門家、ゴロデツキー・テルアビブ大教授から聞いた話」として次のような記述もあります(120頁)。

かつてスターリンは「ロシア人はお人好しである。ただし、そのお人好しは、子供と動物に対してしか発揮されない」と述べたと言います。

独裁者ヨシフ・スターリンは大嫌いです。けれども上の言葉には大いに同意します。日本人もかくありたいものだ、と私は思います。過酷な国際政治の場において「お人好し」であり続けるのは、犯罪的といえるほど愚かしいことなのですから・・・。

個人的には「佐藤優氏は大変に興味深い人物である」と感じています。
佐藤さんに関しては今後もボチボチと記事をアップしてゆく予定です。

(『国家の自縄』佐藤優、産経新聞出版、2005)


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投稿者 kihachin : 2005年12月28日 20:32

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» 今の日本人に求められるナショナリズムとは・・・ from 田舎の神主の学び舎
先日、拙ブログでも取り上げた「国家の罠」(新潮社2005年)。 その後、発刊され [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月20日 23:20

» 政治はギャグなのでしょうか? from とくらBlog
 年末にあった佐藤優さんのトークセッションは、予約の権利を譲ってもらって参加したのに、譲ってくださった方にも何も報告できていなくて申し訳ありません。ちょっとだけ... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月30日 10:04

コメント

 12月29日(木)

 お久しぶりです。私も国家の自縛読みました。自分では直ぐ感想をブログアップしておいたつもりですが、今、自分の記事一覧を見たら見当たらないので我ながら唖然としているところです。

 これもやはり年のせいでしょうか。消しておいたつもりの電灯がともったままになっていたり。

 その内、消したつもりのトイレの電気ストーブから発火して焼死なんてことにならないようにしなけらばと自戒する今日この頃です。

 話を戻して「国家の自縛」、前著「国家の罠」の補完というか裏話のような印象でこれはこれで興味深く読みました。

 ご教示のありました「正論」誌上の「神皇正統記」も本屋で立ち読みしましたが、これについてはちょっとついていきかねるという感想を持ちました。

 今の時代古典を尊重することはそれはそれでいいですが、やはり何人の読者がついていけるでしょうか。
 
 私は、何もそこまで昔の人の考え方に依拠せず現時点での環境というか状況において佐藤氏自身の見方、考え方を提示してもらいたいと思いました。

 その続編に「陸軍中野学校」の教育方法も取り上げられていましたが、こちらに対してもやはり違和感を感じました。

 いずれにしても「国家の罠」があまりにも衝撃的ですばらしかったため、その後のものについては少々辛口な印象になってしまいました。

 さて、せっかくの機会ですので一寸お尋ねしたいのですが現在大問題となっている「姉歯耐震偽装事件」についてはどう見てられますか。

 私は、先の国会証人喚問での馬渕議員の質問ぶりに脱帽し目下こちらに多大の関心を払って注目しております。

 その過程で、立花隆氏の「メディヤポリティクス」で「きっこの日記」というブログの存在を示唆され、早速、とんでみたらそのすごさにメクラメク思いをしているところです。

 この日記の著者、女性で「ヘアメイカー」となっているのですが、どうもそれは仮の姿で、本当の姿は別にあるような感じを受けます。

 このブログ現在、2000年1月から検索できるようになっているのですが、私がざっと目を通したところ、2004年頃までは何の変哲も無くちょっとコケティッシュな三十台後半の女性の身辺日記といったかんじなんですが、ある日、突然ある問題、政治性のある事件について突如として、男性口調で激しく詳細な調査の背景を感じさせるものに変身するのです。

 そこで連想したのは「佐藤 優」氏のことでした。これだけの社会の裏情報を集められるのは相当のエイジェンシーを操作できる人物ではないかと。しかも人がそこに情報を託すにはその人物に相当の信頼感を置けるひとでなくてはならないと。

 こう考えて見ると佐藤氏が出獄して外での文筆活動を再開した時期と重なるのではないかと連想したのです。

 まあ。「きっこ」さんは何方であっても別にかまわないのいですがそれほど「きっこの日記」の内容の迫真性に衝撃を受けたのです。

 喜八さんはブログの先輩のようですのでとっくにご存知かと思いますが、喜八さんの感想をお聞かせ願えればと思った次第です。

 ながながとなってしまいましたがよろしくお願いいたします。

 

 

投稿者 蛾遊庵徒然草 : 2005年12月30日 00:16

蛾遊庵徒然草さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

> 自分では直ぐ感想をブログアップしておいたつもりですが、今、自分の記事一覧を見たら見当たらないので我ながら唖然としているところです。

↓ちゃんとあるようですよ。

「「国家の自縛」佐藤 優 著 (産経新聞社刊)を読む。」
http://blog.goo.ne.jp/gayuuan239/e/bcfe223bcb9f205df4986bde544a47a2

ブログ記事を探すのは大変ですからね。(^_^;)
たとえそれが自分の記事であっても。
のちほどトラックバックを送らせていただきます~。

> ご教示のありました「正論」誌上の「神皇正統記」も本屋で立ち読みしましたが、これについてはちょっとついていきかねるという感想を持ちました。

『神皇正統記』は中央公論社の「日本の名著」第9巻で現代語訳が読めます。私はこちらをざっと斜め読みしました。
正直なところ佐藤さんが『神皇正統記』を強く推す理由はまだよく分かりません。ただ『神皇正統記』はある意味では「過激」な皇統論なのですね。もし君主に「徳」が備わっていなかったら、君主としての資格はないと主張するのですから・・・。

> そこで連想したのは「佐藤 優」氏のことでした。これだけの社会の裏情報を集められるのは相当のエイジェンシーを操作できる人物ではないかと。

それは考えていませんでした。可能性はゼロではないと思います。
けれども「きっこ」さんは民主党の馬淵議員と連携されていますね。
佐藤優氏は新党大地の鈴木宗男議員とおそらく「生死をともにする」ような同志的関係であると推測できます。
その佐藤氏が民主党の議員と連携する可能性は低いように思われます。

とはいえ情報工作の道は「一寸先は闇」でしょうから、「きっこ=佐藤優」説がまったく成立しないとはいえないでしょうね~。


投稿者 喜八 : 2005年12月31日 13:40

喜八さん、こんばんは。
かなりこちらの記事に目を通すのが遅くなってしまいまして今更ながらのコメントをさせて頂いております・・・。(恐縮)
それと古い記事ですがTBさせて頂きました。

私も今作はとても難しく感じましたね。前作が面白すぎたというのも手伝って理解するのは少々、疑問符という感じです・・・。
「神皇正統記」はちょっと行き過ぎな感も否めないですね・・・。でも、宗教的寛容性や日本人の民族性についてはなんとなくですが解る気がします。
まぁ、読み物としては面白いですし、共感できる部分も多々ありましたので個人的には満足な本でした。
また「佐藤優さん関連」で何かありましたら、アップしてくださいね!

投稿者 田舎の神主 : 2006年01月20日 23:36

田舎の神主さん、こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

> 「神皇正統記」はちょっと行き過ぎな感も否めないですね・・・。

私も最初はそう思いました。
が、上でもコメントしたように『神皇正統記』は中央公論社の「日本の名著」第9巻で現代語訳が読めます。
ざっと読んだ限りでは意外に現代人にも役立つことが書いてあるな、という印象がありました。
「日本の名著」第9巻は田舎の神主さんにも一読をお勧めします!
お仕事のためにも参考になると思います。
図書館には所蔵されていることが多いようですよ。

投稿者 喜八 : 2006年01月22日 09:29