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2006年01月15日

2005読んだ本ベスト10

日常&読んだ本log」のつなさんからバトンをいただきました。
その名も「2005年 読んだ本 ベスト10」。
設問は以下の通りです。

【Q1】 2005年に読了した本の中で印象に残ったものを教えてください。本の刊行年度は問いません。
【Q2】 これらの作品について簡単に解説してください。
【Q3】 2006年一発目に読みたいものは?(読んでいる、読んだものでも可)
【Q4】 このバトンを回したい人を2人まであげてください。

優柔不断な私(喜八)はその10冊を選ぶのにさえ随分時間がかかってしまいました。
そして順位をつけるとなると・・・、あれこれ悩みましたが結局「不可能である」という結論に達しました。
そこで順位はなしで本のタイトルを思い出すままに挙げてゆくこととします。


【Q1】 2005年に読了した本の中で印象に残ったものを教えてください。本の刊行年度は問いません。
【Q2】 これらの作品について簡単に解説してください。

自由を耐え忍ぶテッサ・モーリス-スズキ、岩波書店(2004)

テッサ・モーリス-スズキさんは1951年イギリス生まれ。オーストラリア国立大学教授(太平洋アジア研究学院 ANU・RSPAS)。専門は日本経済史・思想史。英語圏ではその名を知られた日本研究者です。個人的には「テッサさんは現在地球上にいる総ての者の中で、もっとも智慧のある人たちのひとりではないか?」と感じています。
この本の(ごく簡単な)感想は弊ブログにもあります。

国家の罠佐藤優、新潮社(2005)

佐藤優さんは1960年埼玉県生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、1986年に外務省入省、三等書記官を経て国際情報局分析第一課主任分析官(現在休職中)。衆議院議員鈴木宗男さん関連の事件で2002年5月背任・偽計業務妨害容疑で逮捕され512日にわたり起訴拘留。2005年2月「懲役2年6ヵ月執行猶予4年」の有罪判決を受け現在控訴中。
佐藤優さんの著作の数々は新自由主義に抵抗するための「きわめて実用的なマニュアル」だと私(喜八)は考えています。
佐藤さんに関しては以下の記事が弊ブログ内にあります。

ツ、イ、ラ、ク姫野カオルコ、角川書店(2003)

長編恋愛小説です。
著者の姫野カオルコさんは1958年滋賀県生まれ。青山学院大学文学部(昼間部)在学中に団鬼六賞を受賞して著述業を開始。他の誰にも書けないような境地の小説・エッセイを書き続けられています。
『ツ、イ、ラ、ク』は中学生のとき始まった恋が長い時間を経て成就するという物語です。この1000枚近い小説を読了するのには体力がいりました。それだけ高いレベルの力作なのです。
姫野カオルコさんに関しては以下の記事があります。

職業欄はエスパー森達也、角川文庫(2002)

森達也さんは1956年広島県生まれ。オウム真理教を内部から描いたドキュメンタリー映画『』『A2』の監督です。近年は著作活動も活発にされています。
『職業欄はエスパー』は清田益章・秋山眞人・堤祐司の3人の「超能力者」たちとの係わり合いを淡々と描いていますが、そのじつ濃密な友情の物語といってよいでしょう。世間からは「うさんくさく」思われることが多いかもしれない3人の超能力者たちが森達也さんを信頼するのも分かるような気がします。
森達也さんに関しては以下の記事があります。

蜂起森巣博、金曜日(2005)

雑誌『週刊金曜日』に連載された長編小説です。近未来の日本で民衆が一斉に蜂起する状況をスラップスティック調に描いています。
森巣博さんは1948年石川県生まれ。先に挙げたテッサ・モーリス-スズキ家の「主夫」兼「博奕打ち」兼「小説家」。日本の権力者・エスタブリッシュメントを舌鋒鋭く批判され続けています。そのお陰で公開メールアドレスには罵詈讒謗が大量に届くのだとか。私(喜八)が以下の記事を書いたとき、作者森巣博さんにメールでお知らせしたら、丁寧な返信をいただきました。

反乱鈴木宗男、ぶんか社(2004)

鈴木宗男さんは1948年北海道生まれ。衆議院議員。2002年のいわゆる「ムネオ疑惑」騒動を経て同年6月斡旋収賄の容疑で逮捕されました。国会議員では戦後最長となる437日間にわたり拘留され続け2003年8月保釈。2004年11月に懲役2年の実刑判決(現在上告中)。2005年9月の衆議院選挙で議員復活をなし遂げました。
現在私(喜八)は政治家鈴木宗男を強く支持しています。まさかこうなるとは1年前には自分でも予想できませんでした。
鈴木さんに関しては以下の記事があります。

魔術師ジェフリー・ディーヴァー、文藝春秋(2004)

アメリカのベストセラー作家ジェフリー・ディーヴァー(1950-)による長編ミステリ小説です。車椅子の名探偵リンカーン・ライムと恋人兼助手のアメリア・サックスが活躍する「ライム & サックス・シリーズ」の第5巻。有名なマジック演目に見立てた連続殺人がニューヨークで発生するという「ジェットコースター・サスペンス」。読み応えがありました。
『魔術師』およびライム & サックス・シリーズに関しては以下の記事があります。

風の谷のナウシカ(全7巻)』宮崎駿、徳間書店(1995)

宮崎駿さんは1941年東京生まれ。映画監督・漫画家。ここで紹介するのは同タイトルの有名なアニメーション映画の原作漫画です。漫画版は全7巻にもおよぶ大長編作品です。映画版とはまた違った重厚な物語となっています。
経済学者の野口悠紀雄氏も指摘しているように(「『風の谷のナウシカ』に関する主観的一考察」)漫画版の実質的な主人公はトルメキア皇女クシャナであるかもしれません。
本書に関連する以下の記事があります。

梶原一騎伝斎藤貴男、文春文庫(2005)

かつて一世を風靡した漫画原作者梶原一騎(1936-1987)の伝記です。『巨人の星』や『あしたのジョー』のテレビ放送にリアルタイムで熱狂した世代としては興味深々な一冊でした。
作者の斎藤貴男さんは1958年東京生まれ。ノンフィクション作家として数多くの著作を発表されています。私(喜八)はテッサ・モーリス-スズキ・斎藤貴男・森巣博・森達也の各氏を言論人として深く信頼しています。
『梶原一騎伝』と斎藤貴男さんに関しては以下の記事があります。

ルイス・サッカー、講談社(1999)

アメリカの児童文学者ルイス・サッカー(1954-)の代表作。
この本だけは初読ではありません。1999年の日本語翻訳版がでた直後に知り合いの図書司書さんに勧められて読んだことがあります。2005年に映画版を鑑賞した後、原作本を再読しました。
きわめて感動的な一冊だと思います。
『穴』に関しては以下の記事があります。

【Q3】 2006年一発目に読みたいものは?(読んでいる、読んだものでも可)

ギョ うごめく不気味(全2巻)』伊藤潤二、小学館(2002)

2006年の最初に読んだのは漫画でした。
伊藤潤二さんの漫画を読みたい」と常々広言していたら、知人が貸してくれたのです(ありがとうございます!)。
海に棲息する魚類にメカニカルな足が生えて、陸上に氾濫するという荒唐無稽なホラーSF漫画です。
非常によくできていると思いました。傑作だといえるでしょう。

【Q4】 このバトンを回したい人を2人まであげてください。

どなたか奇特な方がいらっしゃいましたら、バトンを持っていってください~(よろしくお願いします)。


投稿者 kihachin : 2006年01月15日 16:20

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トラックバック時刻: 2006年01月15日 17:29

» 「2005年度 読んだ本ベスト10」バトン from 辻斬り書評 
バトンものは苦手と公言しているにもかかわらず、バトンを発信してみます。 企画を考えるのは、実は嫌いではないのです(笑)。 このバトンが書評ブログ界を席巻... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月15日 21:07

» 「2005年 読んだ本ベスト10」バトン from 日々是げんじつ
そう。ペトロニウスさんから頂いたこのバトン。 記事にまとめるのが、すっかり遅くなってしまいました。申す訳ありません! ってゆうか、他のみなさんの記事に比... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月15日 22:26

» 「2005年 読んだ本ベスト10」バトン from 手当たり次第の本棚
草木も眠る丑三つ時……しかしブロガーは時に暗夜もひそやかに徘徊する。(ずざっ) 「なにものっ」 「(ゆら??り)辻斬り書評 のtujigiriでござる」... [続きを読む]

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トラックバック時刻: 2007年04月02日 01:51

コメント

喜八さん、こんにちは。
バトンを受け取ってくださり、ありがとうございました。
「ツ、イ、ラ、ク」が入っていて、何となく嬉しいです。
そして、伊藤潤二さんの漫画を読まれたのですね。
私は「渦巻き」を読んだのですが、やっぱりこれも荒唐無稽のホラーSF漫画でした。
綺麗な絵なのに、怖いですよね~。

投稿者 つな : 2006年01月15日 17:36

どもー。
こちらでは初めまして、になると思います。

「国家の罠」は読んでみたい本ですね。あと「反乱」も。
あのへんの政変には、何かあるに違いないですから。

話は変わって、bk1で鉄人になられていましたね。
おめでとうございます。
いろいろと参考にさせていただきますね。

ではでは。

投稿者 tujigiri : 2006年01月15日 21:12

こんにちは!喜八さん。
おお、『ナウシカ』がベストに入ってるんですねー(^▽^)
あれはイイです。映画も好きでしたが、やはりマンガ版の方がイイですよね!

あとは、、、仰る通り、まったく重なってないですよね(笑)
でも、好きなジャンルが異なる人たちとも交流できるのって、いいなあ!
アニメファンな私としては、『梶原一騎伝』など、ぜひ読んでみたいですねえ!

投稿者 主婦いちみ : 2006年01月15日 22:47

喜八さんのセレクトは、なんだか硬派な本が多いなあ、と思いつつ、
「ナウシカ入ってる!」(笑)
そういえば、これは、通して読もうと思っていて、まだ達成していません。今年達成できると良いな。

投稿者 とら : 2006年01月15日 23:59

♪⌒ヽ(*'-^*)こんばんわぁ~

うわああ このブログ
時間かかったでしょうね ただただ感心!!

2005年踊った曲の解説ならまかせてください!
⌒(=∵=)⌒ん?
およびでないって??(笑)

投稿者 MACO : 2006年01月16日 20:42

つなさん、こんにちは~。
バトンを有難うございました。
伊藤潤二さんの『うずまき』を読もうと思ったら、版元品切れになっているのです。古本屋で探してみたのですが、コレクターズ・アイテムになっているらしく、なかなか見つかりません。
『ギョ うごめく不気味』も私は「面白い」と思いましたが、相当に気持ち悪い話なので、万人向けではないと思います・・・。

投稿者 喜八 : 2006年01月17日 12:17

tujigiri さん、こんにちは。
ご訪問ありがとうございました。
重厚なバトンをありがとうございました。
おかげでタップリ楽しめました。
『国家の罠』と『反乱』の他には『闇権力の執行人』鈴木宗男、講談社(2005)もお勧めですよ~。ボチボチとブログ記事にしているところです。

投稿者 喜八 : 2006年01月17日 12:18

いちみさん、こんにちは~。
コメントありがとうございます。m(__)m
『ナウシカ』は去年のいまごろ7巻をセットで購入して一気に読んだんですよ。
これはもう「堪能」しました。
またそのうちに読み返してみたいと思っています。
最近は望月峯太郎さんの『ドラゴンヘッド(全10巻)』を人から借りて読みました。
妙に漫画づいています(笑)。

投稿者 喜八 : 2006年01月17日 12:18

とらさん、こんにちは!
『ナウシカ』は上の10冊の中でもっとも「硬派」かもしれません(笑)。
宮崎駿さんにはぜひとも続編をお願いしたいところですが・・・。難しいでしょうね。

> そういえば、これは、通して読もうと思っていて、まだ達成していません。今年達成できると良いな。

ぜひとも! 凄い「読書体験」になりますよ。

投稿者 喜八 : 2006年01月17日 12:19

MACO さん、こんにちは。(^_^)/
ご訪問ありがとうございます。
MACO さんも「ベスト10」バトンに参加しませんか?
私のほうが「2005年踊った曲の解説」バトンに参加してもいいのですが・・・。
昨年は一度も踊っていなかったのでした! (^_^;)

投稿者 喜八 : 2006年01月17日 12:19

はじめてお邪魔しております。
佐藤優さんでは新しく刊行された「 国家の自縛 」
を近々入手する機会がありそうですので、まずはそちらから攻めてみようと思っています。
また、当ブログで順位に挙げた「ハルカ・エイティ」は
「ツ、イ、ラ、ク」とはまったく違った姫野カオルコ氏お馴染みの新ジャンルへのあくなき挑戦への評価を強く感じました。

「週刊金曜日」は左派の道を突き進む雑誌として、多勢である世論にコビ売るマスコミの標的となっていますが
あらゆる意見のバランスで成り立つのが民主主義であり、第四権力のマスコミの姿であると考えているため、
興味ある雑誌の1つです。
その連載小説となるとやはり興味が沸いてきます。
ただいまブログ休養中のため、訪問ならびにコメントが遅れましたことをお詫びいたします。
また、つなさんのところでは素っ頓狂なコメントを出すことでお馴染みになっているtakam16ですが、お目にかかってもそれはあくまでもお遊びの類でして、
意外に(?)コメントは普通にできたりもしますので、
自己紹介ついでに人隣りの一部を語っておきます。
TB、どうもありがとうございました。

投稿者 takam16 : 2006年01月20日 12:32

takam16 さん、こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

> また、当ブログで順位に挙げた「ハルカ・エイティ」は
「ツ、イ、ラ、ク」とはまったく違った姫野カオルコ氏お馴染みの新ジャンルへのあくなき挑戦への評価を強く感じました。

そうですか!
それでは近いうちに読むことにします。
姫野カオルコさんの小説を読むのは体力がいるので、規則正しい生活をしてまず体調を整えることとします(笑)。

森巣博さんの『蜂起』は「金曜日」連載中、賛否両論があったようです。
即物的な性描写などがあったせいか、真面目な「金曜日」読者からは批判が多かったと聞きます。
私は不真面目な読者ですから「大いに結構」と森巣さんを応援していたのですが・・・。

takam16 さんとは読書傾向が近そうですので、また近いうちにコメント&トラックバックをさせていただきたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。

投稿者 喜八 : 2006年01月20日 12:49