【お勧めの本】深尾葉子『魂の脱植民地化とは何か』青灯社(2012) 更新!

« おっさんを恫喝する | メイン | 01-21~01-27の運動 »


2006年01月26日

ライブドア・ショック2

今回のライブドア事件は「よく分からない」というのが正直なところです。報道されているようにライブドアが行なってきたとされる粉飾決算が単純きわまるものだったのなら、何故いままで検挙も勧告もされずに放置されてきたのか? ライブドアを担当していた監査法人は何をしていたのか? 昨年秋の衆院選挙に際して自民党は候補者の身辺調査を行なわなかったのか? 元幹部N氏はなぜ命を落としたのか? 不可思議きわまることばかりです。

とはいえ明確にいえることもあります。「堀江貴文氏は新自由主義陣営の『戦力』ではなくなった」ということです。かつて堀江氏は「新自由主義の旗手」のように見えた時期もありました。「9・11選挙」で亀井静香氏の地元に「刺客」として送り込まれたころのことです。まだ半年も経たない過去がずいぶん昔のことのように感じられます。

今後、堀江氏がどう生きるかは予想がつきませんが、怜悧な人のようですから再び新自由主義陣営に担ぎ出されるようなことはなさそうです。それどころか新自由主義者たちは強力な敵を新たにつくってしまったのかもしれない、と私(喜八)は考えています(本来堀江氏は彼ら彼女らの味方であったはずなのに)。

現在多くの方がされているような「水に落ちた犬は叩け」とばかりに堀江氏をボロクソにいうのも考え物です。彼の本質は「根性と気合」のプラグマティストでしょう。その言動から判断すると非常に執念深い人でもありそうです。しかもまだ若い。今後何らかの形で復活してくる可能性は高いのです。世の趨勢に安易に乗ってホリエモン攻撃を行なうと、今後数十年にわたる敵を抱えてしまうことにもなりかねません。

こんなことを言うと「そんなの考えすぎ。ホリエモンはもう終わりさ」なんて反論されそうです。だが果たしてそうでしょうか。

こんな例もあります。2002年のいわゆる「ムネオ騒動」を経て逮捕・拘留・起訴され有罪判決を受けた鈴木宗男さんと佐藤優さん(ともに控訴中)はその後完全復活を遂げ、「仇敵」外務省を相手に凄まじいばかりの攻撃を敢行しています。マスメディアでは「ムネオ氏が外務省に意趣返し」というように面白おかしく取り扱われていますが、その実はいつ死人がでてもおかしくないような激烈な戦闘が続いているのでしょう。「ムネオ・ラスプーチン・コンビが敵側でなくて本当によかった」 私はつくづく感じています。

私にとっての「正面の敵」はこのブログで何度も書いてきたように新自由主義です。経済をできるだけ「市場原理」にまかせ国家による介入を最小にする。金持ちは能力の高い人材だから優遇する。貧乏人は努力もしないダメな奴らだから福祉で守るようなことはしない。社会は能力の高い人たち(金持ち)が引っ張っていってくれる。金持ちが潤えば水が滴(したた)り落ちるように貧乏人にもおこぼれがまわるだろう。きわめて大雑把にいえばこれが新自由主義です。

「こんなもの(新自由主義)は真っ平御免だ!」 私の素朴な気持ちです。

新自由主義はアメリカ合州国から全世界に向けて発信される経済思想です。必ずしも合理的なものだとはいえず、非常にイデオロギー色の強いのが特徴です。膨大な人数の先住民(いわゆるインディアン)を虐殺し土地を奪い、アフリカから「輸入」した黒人奴隷を酷使して新国家を建設したアメリカ合州国。そんなアメリカの主流派市民にとって「弱肉強食・適者生存」を正当化してくれる新自由主義は「自然な」イデオロギーではあるのでしょう。

アメリカの側から見れば日本がアメリカにとって都合のいい国であって欲しい。日本に新自由主義を広めよう。そうすればやりたい放題だ。アメリカの「国益」を考えればこれは当然の帰結ではあります。さらには「とにかく覇権国アメリカに従っておけば安泰」なんてお人好しな方が日本には少なくない。中には自らの栄達のために「日本をアメリカに売っている」としか思えないような人さえいます(それも政権の中枢に)。

新自由主義を信奉する(あるいは利益のために信奉するかのごとく振舞う)人たちの間でかつて堀江貴文氏は「エース的存在」でした。が、今回の事件で彼はその地位を追われることになりました。これは新自由主義陣営崩壊の一歩なのでしょうか? そう考えることが私にはできません。これはあくまで勘に過ぎないのですが、ホリエモンが倒れた後には「もっと悪いもの」がやってくるような気がしてならないのです。


関連ページ


投稿者 kihachin : 2006年01月26日 20:35

« おっさんを恫喝する | メイン | 01-21~01-27の運動 »



トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://kihachin.net/klog/mt-tb.cgi/625

このリストは、次のエントリーを参照しています: ライブドア・ショック2:

» 武部・小泉・竹中のこのせりふを僕たちは決して忘れない。 from 雑談日記(徒然なるままに、。)
 このTV映像は決して忘れてはならない映像です。(クリックすると拡大して動きま [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月27日 07:04

» 仕組まれたライブドアショック from 破天荒人生シアター
昨日から引き続きライブドアの話なんです。今から話す話はまったくの私見ですが、今回 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月27日 19:37

» ライブドア事件分析参考卓見 from 日暮れて途遠し
新聞、ネット上での卓見を記録しておきたいと思います。 1、朝日新聞1/25夕刊 松原隆一郎(東京大学教授、社会経済学) 犠牲容認する利益社会、「純粋な資本主義... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月27日 23:02

» 何を隠したいのか? from be in its flower別館
 最近、大きなニュースが立て続けに発生していますよね。これって、何かを隠したい為って思いませんか? ・耐震偽装問題 ・ホリエモンの逮捕 ・アメリカ産牛肉の輸入停... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月27日 23:27

» 続 過疎を克服し地方が生き延びる道 from 晴耕雨読
我が国では、従来の企業誘致政策に見られたような外来型・他力本願型の地域開発の限界と弊害が認識されるようになり、それに代わる政策として、地域住民自らが主体的に地域... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月28日 09:27

» 武部と言う、この最悪の放言ブタ、どうにかならないのか。 from 雑談日記(徒然なるままに、。)
2001年12月4日(国内3頭目のBSE感染牛発見後、国会内で民主党議員に)「ま [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月28日 21:21

» ホリエモンは本当に勝ち組だったか from Make Your Peace
堀江元社長逮捕をめぐるマスコミのすさまじい報道ぶりを見ていて、私がずっと感じていた違和感の正体がわかりました。それは、「ホリエモンは果たして勝ち組だったか」とい... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月28日 21:36

» 乙部綾子、元美人広報への視線 from 読んだもん勝ちBLOG
ホリエモン逮捕で、乙部綾子・元広報担当への風当たりも強まっているようです。「何が [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月29日 14:06

» お金 ― I from Make Your Peace
紙に山勘で1万円札とできるだけ大きさが近い長方形を書こうと試みた。我ながら、ほぼぴったりで驚いている。 長方形が実際の1万円札よりも大きければ大きいほど、... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年01月29日 17:06

» 渡辺淳一「知はあるが知性がない」(週刊新潮) from 乳頭おじさんのニュース解説
 週刊新潮2月9日号P62〜63の渡辺淳一氏のコラム。  誰のことを言っているのかというと、今話題のホリエモン。  察するところ、ホリエモンはこの知性の... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年02月13日 14:54

コメント

なかなか深い洞察です。裏に誰がいるのかアメリカ?もしくは、財務省?外資?かも知れません。
もしかしたら誤発注した株を買い取った証券会社に大臣が返すように言われて返さなかったのはこの会社だけですからね。外資ですら返したのだが・・・{したたか?}
ただ、宗男氏の時はやはり弁護する人がたくさんいました。
松山氏や野中氏等非難されても応援弁護していました。
国家の罠にもありましたがやはりいい意味で日本人的だったのかもしれません。当然非難もありますが・・・{微笑}けれども、今ホリエモン非難している人ももしかしたら我慢が爆発したのかもしれません。なぜなら喜八さんがおしゃる様に勝っていく人が少ないのですから…
少し話しそれますがマスコミがよく倫理とか人の道という前に衣食足りて礼節を知るという言葉があるようにその点に目を向けなければと思うのですが。。。その点彼には不利かもしれません。そしてそのこと棚に上げている政治家の人々のほうがホント呆れますが。。。マスコミも含めて。。。前から分かっていたと思いますが。。。長くなりすみません

投稿者 のり : 2006年01月26日 22:03

今晩は、私のブログにTBありがとうございました。
 
 お説拝見しました。いまをときめく「新自由主義」一言で言えば喜八さんのおっしゃるとおりかもしれませんが、この説を唱えたハイエクさんのおしゃりたかったことは、そう単純ではないように私は受け止めています。
 もっとも1冊としてまともにその著作を読了した訳ではないので確かなことは申せません。簡単な解説にちょっと目を通しただけですので。
 ただ、長いこと今悪評高い公務員の端くれとして過ごしてきた身には、ついこの間までの世の中は、お互い少しもたれ合い、甘えあいのけじめがなくなりすぎたのではと思うのです。
 今、なあなあで垂れ流してきた結果、1000兆円もの赤字となってしまった以上、ここら辺で何らかの手を打たなければというのは喫緊の急務と思います。
 ただ、それだからといって弱者切捨ては困ります。ニートの人はともかく、フリーター等と都合よく称して若いひとを短期、低賃金
で雇用するようなことを社会として許すべきではないと考えます。
 派遣もそうです。派遣で儲けるなんてやってる人は人助けと嘯くでしょうが、これこそ官で責任もってやることだとおもいます。
 まあ、ちょっと長くなってしまいましたが意のあるところをお汲みとりいただければと思います。

投稿者 蛾遊庵徒然草 : 2006年01月27日 00:12

蛾遊庵さん、こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

> 今、なあなあで垂れ流してきた結果、1000兆円もの赤字となってしまった以上、ここら辺で何らかの手を打たなければというのは喫緊の急務と思います。

日本とおなじくアメリカ合州国も財政破綻状態なのですね。
あるいは日本より悪いかもしれません。
アフガニスタンやイラクで戦争を行なうなどの「贅沢な愚行」を繰り返していますから。
新自由主義的な考え方が跋扈するのも国家財政の悪化が背景にあると考えられます。
民間企業にダウンサイジングが流行るように、政府も小さくしろという意見が流行るのですね。
が、企業の場合と違って国家においては「不要な人はわが国からでていってください」というわけにはいきません。
それこそ犯罪者・麻薬中毒者などの人も含めて全体としてどうにかこうにかやっていかねばなりません。
新自由主義的な「弱肉強食」政策は結局のところ国内に「難民」をつくりだし、「南北問題」を生じさせ、社会を徹底的に荒廃させてしまう危険が高いと考えます。

財政再建に関してはアメリカではなくてヨーロッパから学べという声もあるようです。
この辺は勉強中なので、いずれまたそのうちに・・・(笑)。

投稿者 喜八 : 2006年01月27日 15:50

のりさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

> ただ、宗男氏の時はやはり弁護する人がたくさんいました。
> 松山氏や野中氏等非難されても応援弁護していました。

松山千春という人にはあまりいいイメージがありませんでした。
「なんとなく横柄そうだ」と思っていたのです。
けれども「ムネオ騒動」の中で徹底的に鈴木宗男氏を援護する姿を見て、松山千春氏のイメージもガラッと変わりました。
「世間の非難にめげず信念をつらぬくとはスゴイ奴だ!」となったのです。

世間が何といっても鈴木宗男さんを支持する人は、松山千春さん以外にもかなりいました。
単に支持者であるというだけで検察に呼び出されてイヤガラセめいた取調べを受けるというケースもあったようです(これは辻元清美さんの場合にも共通しています)。
それでも鈴木・辻元支持を変えない人が多いというのは、やはり鈴木さん・辻元さんに強烈な人間的魅力があるということなのでしょうね。

堀江氏にそういった支持者・友人がいるかどうか?
これはよく分からないのですが、もしいるとしたらその人たちは堀江氏にとって「真の友人」ということになるでしょう。
「金だけでつながった人間関係はもろい」ということを痛感して、今後のホリエモン氏はまったく別の人間になっていくかもしれませんね。

投稿者 喜八 : 2006年01月27日 15:52

御無沙汰です。
ライブドア事件に関して特捜部は
約一年位前から動いていたようですが
ライブドアと政治家の繋がり等の関係を
入念に調べていたと思われます。

投稿者 ホームレス : 2006年01月29日 14:14

Mさん、こんにちは。
ご無沙汰しています。

「特捜事案」というのは必ず起訴されるので拘留期間は長くなるようです。
ホリエモン氏は罪状を否認しているようですから、保釈もつかないでしょう。
今後、彼がどのように生きるのか?
注目しています(けっして冷やかし的な意味ではなく)。

投稿者 喜八 : 2006年01月29日 16:02