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2006年02月27日

『「アメリカ抜き」で世界を考える』

『「アメリカ抜き」で世界を考える』堀武昭

「畜生には畜生に応じた懲らしめが必要なのです」

広島・長崎への原爆投下の最終責任者であるハリー・S・トルーマン第33代アメリカ合州国大統領(1884-1972)が、当時ローマ教皇であったピウス12世に宛てたメッセージです。日本ペンクラブ会長井上ひさし氏が講演会でよく口に言葉でもあるそうです。

蛇足かと思いますが解説しておきます。上の引用文中の「畜生」は「日本人」、「懲らしめ」は「原爆(による無差別虐殺)」を指します。誤解の余地はありません。恥ずかしながら、私(喜八)は『「アメリカ抜き」で世界を考える』堀武昭、新潮選書(2006)の29ページを読むまでは、この言葉を知りませんでした。

「アメリカ抜き」で世界を考える』の著者堀武昭さんは1940年横浜市生まれ。慶応義塾大学大学院博士課程修了(経済人類学、国際関係論専攻)。1966年日本貿易振興会(ジェトロ)入社。ジェトロを退社後、米日財団副理事長、フォーラム2000財団理事、国際ペンクラブ理事などを歴任。著書に『愛と差別と嫉妬で鍛える英語』日経BP社(2003)、『反面教師アメリカ』新潮選書(1999)、『世界マグロ摩擦!』新潮文庫(2003)などがあります。

9・11テロを口実に武力行使による世界制覇のシナリオを描き始めたアメリカ合州国の指導者たち。アメリカの価値観を全世界に押しつけようとする「パックス・アメリカーナ思想」。グローバリゼーションという名目で進行する世界のアメリカ化・商品化。露(あら)わになりつつある世界最終戦争の野望。

このようなアメリカの「覇権主義」に対して「ノー」をつきつけ、オルタナティブとしての「非覇権主義」を提案するのが『「アメリカ抜き」で世界を考える』です。

本書ではチェコヴァーツラフ・ハヴェル前大統領、ヨルダンハッサン王子、南アフリカデ・クラーク元大統領、アンチ・グローバリゼーションの旗手フランス人のジョゼ・ボベメキシコサパティスタなどが紹介されます。彼ら彼女ら「非覇権主義」者たちに学ぶことは多そうです。

圧倒的なアメリカの武力・経済力を前にして「非覇権主義」に何ができるのか? はたして「もうひとつの世界」「アメリカ抜きの世界」は可能なのか? 「非覇権主義」は超空想主義に過ぎないのか? 現在地球上に生きるすべての人間に突きつけられた重たい問いです。もちろん、あなたや私も例外ではありません。

(『「アメリカ抜き」で世界を考える』堀武昭、新潮選書、2006)


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投稿者 kihachin : 2006年02月27日 20:28

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コメント

これもひとつの非米同盟ですね。私も反米ではなく非米が一番いいと思います。向こうも孤立主義が基本だからちょうどいいように思います。自動車メーカーは北米市場なしに存続は考えられない、その代わりアメリカから不必要でも武器を買うという関係にありましたが、今後は購買力の中心が中国やインドに移っていくかもしれませんのであまり非現実的な話ではないかもしれません。

投稿者 luxemburg : 2006年02月27日 22:08

luxemburg さん、はじめまして。
ご訪問ありがとうございます。

最近はこのブログでもアメリカ批判の記事が多くなってきました。
ご指摘のように「反米」というわけではないのですが・・・。

ところで日本人の中にはアメリカ批判に拒絶反応を見せる人が少なくありませんね。
「なぜ日本人がムキになってアメリカを擁護しなければならないのだろう?」と不思議な気がします。

今後ともよろしくお願いします。

投稿者 喜八 : 2006年02月28日 13:52

はじめまして。華氏451度といいます。
『アメリカ抜きで世界を考える』、私もつい最近読みました。おもしろい本でした。非覇権主義は理想論かも知れません。でも理想は持たないより持った方がいいし、理想と空想は違うのだとも思います。非常に難しい、そして遠い道ではあるけれど、辿りつけない地平ではない……。

アメリカという国を眼の敵にするつもりはありませんが、世界で1つだけ巨大な国があり、グローバリゼーションという美名のもとでその国の価値観が「唯一正しいもの」のように喧伝されていく時、私たちはどれほど警戒心を持っても持ちすぎではないと思います。

これからよろしくお願いします。ご挨拶ついでに、TBを送らせていただきました。

投稿者 華氏451度 : 2006年02月28日 20:55

華氏451度さん、はじめまして。
ご訪問ありがとうございます。

ハンドルネームはレイ・ブラッドベリの小説からでしょうか?
フランソワ・トリュフォー監督による映画もよかったですね。私はどちらかというと映画のほうが好きです。
「焚書」「思想統制」に反対するというニュアンスのハンドルネームでしょうか?

華氏451度さんのお名前は、とくらさん、お玉さんのところで拝見していました。
『アメリカ抜きで世界を考える』も読まれたのですね。

> 非常に難しい、そして遠い道ではあるけれど、辿りつけない地平ではない……。

同感です。
たとえ「空想的」「理想論」と言われようとも、到達不可能だとは思えません。
たとえば数百年前の人たちに「普通選挙」を説いても「なんだ? それ?」となったでしょう。

今後ともよろしくお願いします。

投稿者 喜八 : 2006年03月01日 12:07

HNはおっしゃる通り、ブラッドベリの小説からとりました。特にこれでなければというほどではないのですが、まあ発作的に(笑)。

人が人を支配する手段の中で、本を読むことと、ものを考えることに対する規制が最も恐ろしい(少なくとも、最も有効で、恐ろしいもののひとつ)と思っています……。

> 数百年前の人たちに「普通選挙」を説いても「なんだ? それ?」となったでしょう。

人種差別が当たり前であった社会、すべて人間が平等の権利を持つなどと言えば嗤われた時代、……もあったのですよね。私たちは後戻りするわけにはいきません。

またTBをお送りいただけると嬉しく思います。

投稿者 華氏451度 : 2006年03月01日 22:29

華氏451度さん、こんにちは。
なんだか映画『華氏451』をまた観たくなってきました。

> 人が人を支配する手段の中で、本を読むことと、ものを考えることに対する規制が最も恐ろしい(少なくとも、最も有効で、恐ろしいもののひとつ)と思っています……。

いまは「規制と感じさせない規制」の技術が発達しているから、より怖いですね。
「ブログに規制の網が被される日は近いかも?」
と戦々恐々としながら記事をアップしています・・・。

投稿者 喜八 : 2006年03月02日 13:43

アメリカ合衆国(USA)は、1913年に民間企業(FRB)によって収奪された国です。

決して独立国ではなく、FRB株主の傀儡政権です。

歴代の大統領は、彼ら株主のセールスマンのメッセンジャーボーイに過ぎません。

USAの覇権主義は、自国にではなく、彼ら株主に忠誠を誓う売国奴の成せる技です。

つまり、USAの国益を損なうものです。

彼ら株主は「自分の商売」だけを考える商人に過ぎません。
USA国家に寄生している寄生虫です。

投稿者 斉藤一治 : 2006年03月22日 23:20

斉藤一治さん、はじめまして。
ご訪問ありがとうございます。

普段よりアメリカ合州国に批判的な私ですが、アメリカ政府、独占資本と「一般のアメリカ人」は区別しないといけないと思っています。
「一般のアメリカ人」つまり庶民を敵視してはいけないと。

投稿者 喜八 : 2006年03月23日 05:00