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2006年02月23日

「検察幻想」狙った

毎日新聞東京夕刊(2006-02-21)の「特集WORLD:東京地検とライブドア--識者2人に聞く」という記事から。
川内康範(かわうち・こうはん)さんと魚住昭(うおずみ・あきら)さんのおふたりが意見を述べられています。
そのうち魚住昭さんの部分を以下に引用させていただきます。

「検察幻想」狙った--ノンフィクションライター・魚住昭さん
 特捜検事は猟犬だ。獲物を見つけたら走り出すよう動機付けされている。悪を許さないという信念もあるだろう。ただし、彼らにとっての「正義」とはしばしば、自らの行動を正当化するために使われると言っても過言ではない。
 庶民は大きな「検察幻想」を抱いている。(92年の)東京佐川急便事件の際に検察庁の表札にペンキが投げつけられた事件があったが、あれなどは期待感の裏返しであった。
 検察もまた、官僚組織だから、いかに自らの威信と権力を維持するかに腐心している。その点で、4年前に逮捕した鈴木宗男衆院議員が復権したことには大きな危機感を抱いたはずだ。検察が標的にした政治家で、彼ほど早くに表舞台に復活した例はない。検察は「検察幻想」を維持する必要に迫られていたのだ。
 「額に汗して働いている人々」のため、ライブドアの立件に踏み切ったというのはよくできたストーリーだが、内実は違うと思う。私に言わせれば、今回のライブドア摘発はとても恣意(しい)的な捜査である。
 その理由は二つある。一つはライブドアはそれほど悪逆無道なことをしたわけではないということだ。逮捕容疑となった証券取引法違反(偽計、風説の流布)は広い意味で言えば「形式犯」だ。東横インの社長が語ったように「制限速度60キロのところを67、68キロで走ったようなもの」である。一昔前なら監督官庁による行政指導で済んだ話だろう。
 もし、堀江貴文被告らの行為が罪に問われるべきなら、検察の「裏金づくり」だってそうあるべきだ。自らの疑惑にふたをしておいて、他人の違法行為だけ摘発する組織が国民の尊敬を集めるわけがない。
 もう一つの理由は、今回の捜査がライブドアによるニッポン放送株買い占めに端を発していることだ。
 当時、フジテレビやその周辺などから「ライブドアの時間外取引は違法ではないか」という声が上がった。それをきっかけに特捜部が内偵捜査に乗り出したのだが、フジ側の行動にまったく問題はなかったのか。私は検察が紛争当事者の一方に肩入れしたという印象を否めない。
 検察の権力行使は、恣意的であってはならないし、慎重でなければならない。検察ファッショの反省が戦後法曹界の出発点となったはずだ。政治は選挙を通じて民意のコントロールが利くが、検察はほとんど利かない。独り善がりの「正義」が暴走する危険性をはらんでいる。
 本来の「正義」とは、草の根の庶民の利害にかなうことだ。近年の検察の「正義」はそこから離れて、「官僚の正義」あるいは「国家の正義」と化しているような気がしてならない。

(以下ふたたび喜八)
魚住昭さんは1951年、熊本県生まれ。一橋大学法学部卒。共同通信記者としてリクルート事件などを取材する。1996年に退社し、現在はフリージャーナリスト。著書に『特捜検察の闇』『野中広務 差別と権力』などがあります。日本国内では少数派となりつつある「本物のジャーナリスト」のひとりだと私(喜八)は思っています。

魚住昭さんの「ライブドアと検察」に関する意見は以下のページでも読むことができます。
宮崎学さん責任編集の WEB マガジン『直言』内のページです。


投稿者 kihachin : 2006年02月23日 20:10

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トラックバック時刻: 2006年02月25日 20:24

コメント

TBありがとうございました。
実は私も別ルートで魚住さんの毎日新聞記事を知り、「直言」の魚住さんの記事もあったので、今日それを書こうと思ったのですが、急遽鈴木宗男さんに変更したのです。
明日、魚住さんを書きたいと思っています。佐藤さんの公判でお顔を見ました。「直言」の写真で知りました。

投稿者 日暮れて途遠し : 2006年02月23日 22:32

日暮れて途遠しさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
また御ブログは常に参考にさせていただいています。
「月刊BOSS4月号」のことはまったく知りませんでした。
あとで書店に寄って探してみます。
新しい記事(「魚住昭さん」)にもTBを送らせていただきます。

投稿者 喜八 : 2006年02月25日 13:42

 喜八さん、今日は。
 私の「国会議員閻魔帳その1」への「ぶぶりてらす」ご教示ありがとうございました。
 実は、私もグーグルで知り、(その2)の方で記載しておきました。
 ところで、偶然喜八さんのプロフィル拝見し、意外にお若いのに少々びっくりしました。お書きになるものから落ち着いたお人柄が覗われ勝手に失礼ながら1941年生まれの私と同年代かと想像していたのです。
 なお、私のブログにブックマークとかを付けていただいて恐縮です。私の方ではお気に入りに登録してあります。
 また、よろしくお願いいたします。

投稿者 蛾遊庵徒然草 : 2006年02月27日 17:44

蛾遊庵さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

46歳で「若い」といわれるのは不思議な気持ちです(笑)。
ただ、このあいだ映画『ベアテの贈り物』を観に行ったら、観客の中で私は若い方に属することに気づいて驚きました。
蛾遊庵さんが護憲の集いに行ったとき「若い世代の人が一人も居ない」と発言したことを思い出して「なるほど」と思いました。

日本では何でも「新」がつくのが尊ばれるようですから、憲法も新しいのが好まれるのかもしれませんね。
誤解なきように付言しておきますと、私は「(当面)護憲派」です・・・。

投稿者 喜八 : 2006年02月28日 13:51