【お勧めの本】深尾葉子『魂の脱植民地化とは何か』青灯社(2012) 更新!

« 03-04~03-10の運動 | メイン | 『国富消尽』 »


2006年03月11日

国民を「使い捨て」にする外務官僚

先日(2006-03-04)、弊ブログの記事『直言』で外務省職員がシロウトの中国残留孤児二世を諜報活動に引きずり込み、工作が失敗するとあっさりと見捨てたという件について触れました。この事件について追加情報をアップします。

この事件をスクープしたのは「産経新聞」。同紙朝刊で2006年02月21日から23日まで3回に分けて「外務省 機密情報収集」というタイトルの記事が掲載されました。一部外務官僚の腐敗ぶりが如実に現れている事件だと思います。以下に産経新聞記事の内容をまとめます。

*********************************************

東京都在住のさん(産経新聞の記事では実名)は中国残留孤児だった母親ら家族とともに1991年に日本に帰国。都内で情報紙を発行するなどしていた。1994年、外務省国際情報局のキャリア官僚氏が接触してくる。やがて氏より情報提供を依頼されたさんは仕事で中国に出張した機会などを利用して十数回にわたり情報を集め、謝礼を受け取った。

その後、さんは本業(情報誌発行)も軌道に乗り始めたため「情報収集の仕事をやめたい」と氏に相談した。すると氏はかなりあわてた様子で「あなたが今やめても、外務省のために仕事をした事実は消えない。今後、もしあなたが中国で逮捕されるようなことがあったら、日本国政府があなたを守れなくなる」と強く反対し、さらに「あなたのやっていることは日本の国益につながります」とくり返した。

氏はこの「日本の国益につながる」という言葉をそれまで何度も口にしていた。26歳で初めて「日本人」になった中国残留孤児二世のさんが「国益」という言葉に弱いことを氏はよく知っていたのだ。

1996年06月29日、さんは北京空港で中国当局により逮捕された。取調べの際は外務省との関係をあくまで否認した。外務官僚氏よりつねづね「万一、逮捕されても、外交ルートであなたを救出するから心配しなくてもよい。ただ、外務省との関係を絶対に話してはいけない。『日本政府が中国にスパイを送り込んだ』となれば、問題はややこしくなる」と言われていたためだ。

さんは中国の国家秘密探知罪で懲役8年の判決を受け、2003年まで約7年間にわたり北京の刑務所で服役。氏による「外交ルートであなたを救出する」という約束は守られなかった。さらに服役中に田中眞紀子外務大臣(当時)が訪中した際「中国の国家秘密探知罪で北京の刑務所に服役している。何とか助けてほしい」という内容の嘆願書を書き、面会に来た北京大使館員に託したが、この嘆願書は外相に届けられることがなかった。

2003年01月、刑期を終えたさんは日本に帰国後、外務省を訪問する。中国での体験を報告するとともに仕事を紹介してもらいたいという希望があった。しかし外務省の対応は冷淡だった。氏の後任で逮捕当時の担当者だった氏からは「もう過ぎたことだから。担当者もみな異動した。生活に困っているなら、地元の市役所に行って生活保護を受けたらどうか」と言われた。

しばらくして(さんの逮捕にもっとも大きな責任をもつと思われる)氏から携帯に電話がかかってきた。氏は「外国にいるので会えないが、体に気をつけて」と言って、どこにいるかも連絡先も告げず、電話は1分ほどで切れた。これが外務省関係者との最後の会話だった。

*********************************************

以上の事実に接するだけでも心底あきれ果ててしまうのですが、この話にはまだ続きがあります。

外務省国際情報局で氏の後任となりさんを担当したのは上記の氏の前にもう1人いるのですが、この某氏(産経新聞記事中ではイニシャルも示されていません)はなんと2002年に児童買春禁止法違反で逮捕され、懲戒免職処分となっているのです。

雑誌『週刊新潮』2006年03月09日号に「中国残留孤児二世を「スパイ」に使っていた「買春」外務官僚」という記事があります。以下に一部を引用します。

 このキャリア、仮に名前を佐野肇としておこう。現在、年齢は38歳になるが、東大経済学部を卒業したエリート官僚だった。当時の外務省の内部資料「処分説明書」によると、処分理由として、
「女子中学生(15才)に対し、同女が18才に満たないと知りながら、同女の面前で猥褻な行為を見せ、更に、同女に現金1万円を供与して猥褻な行為をさせ、もって児童買春を行なった」
 とある。
 つまりは、少女に金を支払って自慰行為を見せつけ、その後……ということ。

ちなみにこの「佐野肇」氏は週刊新潮の同記事によると「昨年、司法試験に合格し、執行猶予が切れる6月から司法研修生となる」のだそうです。

二枚舌を使って素人の残留孤児二世を諜報活動に巻き込んで、工作失敗の後もいっさいの責任を取らない外交官。15歳の少女に「1万円」を支払って醜悪な行為にふける外交官。たとえ例外的少数であっても、こういう人たちが外交を担当しているのであれば、日本国の「国益」が毀損される可能性はきわめて高い、といえるでしょうね。

というわけで当ブログは今後も鈴木宗男衆議院議員と佐藤優さん(外務省職員・起訴休職中)を応援します。


関連ページ


投稿者 kihachin : 2006年03月11日 20:15

« 03-04~03-10の運動 | メイン | 『国富消尽』 »



トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://kihachin.net/klog/mt-tb.cgi/656

このリストは、次のエントリーを参照しています: 国民を「使い捨て」にする外務官僚:

» 私たちにできることは怒り続けること-民主党は一刻も早く出直して。 from とくらBlog
 世に倦む日日がガセネタメール騒動にこだわってくれていますが、テレビが意図的にこの問題をとりあげないようにし始めたと感じているのは私だけでしょうか?私は、ぜった... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年03月12日 11:40

» 今日は、岩国の住民投票の投票日です。 from とくらBlog
 今日は3月12日。米空母艦載機の岩国基地への移駐案受け入れの賛否を問う住民投票の投票日です。「岩国市住民投票条例」では、投票率が50%未満のときは住民投票は不... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年03月12日 11:41

» 世の中は… from のり市民の世界観
本日は鈴木宗男氏の闇の執行人です。 あるサイトの知り合いから勧められてようやく読み終えたところです(^〜^;)ゞ私は宗男氏が叩かれているときから少しお... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年03月12日 13:47

コメント

最近、政治家レベルで、日本の外交が変わろうとしている事を感じます。
しかし、日本は、明治以来優秀な官僚によって支えられてきた国なわけで、今この時に、外務官僚が腐っていたら、せっかくのそういう「方向転換」も、さしたる意味をなさずに終わってしまうでしょう。
「樽から腐ったリンゴを取り除く」作業の成功を願ってやみません(汗)。

投稿者 とら : 2006年03月11日 22:09

とらさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

日本の官僚の大部分は真摯に誠実に職務に取り組んでいると思います。
特に若い人たちは。
ただ、外務省などは「出世」をするためには「悪い人」にならないといけない、という構造があるように思えます。
もともとは「いい人」でも組織に馴染んでいくうちに「悪い人」になってしまう。
これは怖いことだと思います・・・。

ところで、幣ブログではここのところ政治関連の記事が増えてきましたが、そればかりでは面白くないので、「ホラー映画」「ミステリ小説」「児童文学」といったジャンルも充実させていきたいと考えています。
TBもどんどん送りますので、よろしくお願いします~!

投稿者 喜八 : 2006年03月12日 10:33

はい。ひどいものですね。
またまたTBさせて頂きます。
本もいろいろ紹介してくださいね。
当然政治以外も。。。

投稿者 のり : 2006年03月12日 13:59

今晩は。上記の記事興味深く読みました。記事の通りであるとすればこんな官僚達が跋扈する日本は、中国政府汚職官僚国家同様行く末が案じられますね。
 それにも増して驚いたのが、「佐野肇(仮名)」のことです。法務省は、司法試験で、ただ筆記試験、口頭試問、論文試験の成績だけで合否を判定するのでしょうか?。
 いくら、執行猶予が切れたとはいえ、破廉恥罪で有罪となった人物を、わざわざ国費を使って法曹に加えなくても、他に人材はいくらでも居ると思うのですがどうなってるのでしょうか?。
 こんな男が裁判官や検事になったらどうなるのでしょうか。たとえ弁護士になったところで依頼人の財産を着服したり、悪徳弁護士と言われる輩になるのは火を見るよりもあきらかではないでしょうか。
 試験官関係者は、多分男性が大多数のため、「まあ、人を殺したわけじゃあなし、頭の弱い女の子をちょっとなにしたぐらいで、まだ先のある奴の将来をダメにすることもあるまい。頭は良いしもったいないよ。」と言った感じなのでしょうか?。
 今、公務員改革がいろいろ論議されていますが、私は先ず人間としての品性を第一に問う試験とすべきではないかと考えます。もっとも試験技術的には難しいでしょが、少し時間をかけてもいくらでも方法はあると思いますがいかがでしょうか?。

投稿者 蛾遊庵徒然草 : 2006年03月12日 22:08

試験官関係者は、多分男性が大多数のため、「まあ、人を殺したわけじゃあなし、頭の弱い女の子をちょっとなにしたぐらいで、まだ先のある奴の将来をダメにすることもあるまい。頭は良いしもったいないよ。」と言った感じなのでしょうか?。
こんな考えの人が自分が被害者になったらどんな態度をとるのでしょうかね

投稿者 わびすけ : 2006年03月12日 22:58

喜八さん、こちらこそよろしくです(笑)>TB
思えば、喜八さんとことは、扱っている記事のテーマがあんまりかぶらないのに、不思議と親しくさせていただいていますね。
こういうところが、面白い。

投稿者 とら : 2006年03月12日 23:14

のりさん、こんにちは。
TBありがとうございました。
違う記事のほうのトラックバックを送信させていただきました。
のりさんの本の紹介を楽しみにしています!

投稿者 喜八 : 2006年03月14日 13:20

蛾遊庵さん、こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

> 法務省は、司法試験で、ただ筆記試験、口頭試問、論文試験の成績だけで合否を判定するのでしょうか?。

そうなのでしょうね。
もっとも、これは大変に難しい問題だとは思いますが・・・。
いわゆる「前科」がある者が法曹関係の仕事につけないというのも、問題がありそうです。
いったん罪を犯しても、深く悔い改めた人であれば、優れた弁護士になる可能性はあると思います(「極道の妻」から弁護士になった女性のように)

ただ、上の記事の「佐野肇(仮名)」氏の場合は、15歳の子供を相手に買春行為を行なったというのですから、なんとも陋劣な印象ではあります。
また子供にとって1万円は「大金」でしょうけれど、大人からみたら「小遣い銭」ですからね。そのような価値観の格差につけこんで、子供を弄ぶ態度には強い嫌悪を覚えます。

投稿者 喜八 : 2006年03月14日 13:21

わびすけさん、こんにちは。

> 試験官関係者は、多分男性が大多数のため、「まあ、人を殺したわけじゃあなし、頭の弱い女の子をちょっとなにしたぐらいで、まだ先のある奴の将来をダメにすることもあるまい。頭は良いしもったいないよ。」と言った感じなのでしょうか?。

鋭いご指摘です。
おそらくそういうことなのでしょう。

以前、プロ野球選手が女子小学生相手に性犯罪を犯し、服役後にプロ野球に復帰したことがあります。
あのときは強い違和感を覚えました。
被害者の少女がテレビで「犯人」を見たら、どう感じるか心配でした。
いったん罪を犯した人にチャンスを与えるのは必要だと思うのですが・・・。

投稿者 喜八 : 2006年03月14日 13:23

とらさん、こんにちは!

> 思えば、喜八さんとことは、扱っている記事のテーマがあんまりかぶらないのに、不思議と親しくさせていただいていますね。

虎と猫で同じ「ネコ科」だからではないでしょうか(笑)。

とらさんのブログは毎日チェックして、トラックバック&コメントの機会を窺っているのですが、なかなかチャンスがありません。
でも、今後も気長にお付き合いをお願いします~!

投稿者 喜八 : 2006年03月14日 13:23