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2006年04月01日

『マチルダは小さな大天才』

『マチルダは小さな大天才』ロアルド・ダール

ストーリー》『マチルダは小さな大天才』の主人公マチルダは、3歳になる前に自然に字を覚えてしまい、4歳にしてディケンズヘミングウェイなど大人向けの小説をすらすら読めてしまうような少女です。数学の才能にも恵まれ、さらにはある特殊な能力も発揮します。

けれどもマチルダの両親ワームウッド夫妻は娘のマチルダを「かさぶたかなにかぐらいにしか思ってい」ませんでした。それどころか「どうしようもないワル」「正真正銘の悪ガキ」と見なしていたのです。

ワームウッド夫妻はマチルダに対して心ない仕打ちを続けます。でも、マチルダも普通の子供のように黙って耐えているわけではありません。5歳になるかならずで敢然と反撃を開始するのです。飛びぬけて優秀な頭脳だけを頼りにして。

かつてナポレオンが言ったように、攻撃されたときには、反撃することだ。それがただひとつの思慮深いやり方だ(The only sensible thing to do when you are attacked is, as Napoleon once said, to counter-attack.)。

クランチェム・ホール小学校に入学したマチルダは担任教師のミス・ジェニファー・ハニーと運命的な出会いを果たします。ミス・ハニーはマチルダのことを完全に理解してくれる初めての大人、心優しい女性でした。

ところが小学校にはマチルダとミス・ハニーにとって共通の敵がいました。女校長ミス・トランチブル。「エキセントリックで血に飢えたスタッグハウンド(大型猟犬)の仲間のように見える」「図体のでかいいばり屋、すさまじい暴君的モンスター」です。

両親よりはるかに手ごわい大敵トランチブルとマチルダの戦いの火蓋が切って落とされます・・・。

感想》本書『マチルダは小さな大天才』はロアルド・ダール(1916-1990)作 "Matilda"(1988)の全訳です。『ハリー・ポッター』が出現するまでは、イギリスでもっとも「売れた」児童文学作品でした。

2005年に公開されて話題となった映画『チャーリーとチョコレート工場』の原作者もロアルド・ダールです(原作本のタイトルは『チョコレート工場の秘密』)。ただし、ダールは児童文学専門作家というわけではなくて、大人向けの『あなたに似た人』『キス・キス』など「奇妙な味」の短編作者として名を知られてもいます。

ところで本書の中で作者ダールは、登場人物の口を借りて、ささやかな児童文学論を展開しています。やはり近年映画化され話題になった『ナルニア国物語』原作者C・S・ルイスや、『ロード・オブ・ザ・リング』のJ・R・R・トールキンが批評の対象となっています。

以下に当該部分を引用します。問いかけているのがミス・ハニー、答えているのがマチルダです。

「おもしろかったのは、どんな本?」
「『ライオンと魔女』がおもしろかったです。わたし、ミスター・C・S・ルイスはとてもよい作家だと思います。でも欠点もあります。物語にこっけいみがないんです」
「ほんとにそうよね」
「ミスター・トールキンにも、あまりこっけいなところがありません」
「あなたは、子どもの本はみんな、こっけいなところがなければいけないと思うの?」
「そう思います。子どもって、大人(おとな)ほどまじめじゃないんです。笑うのが好きなんです」

「ルイス、トールキン、なにするものぞ!」というロアルド・ダールの気概が強く表れているようで、興味深いと感じました。

(『マチルダは小さな大天才』ロアルド・ダール、評論社、2005)


投稿者 kihachin : 2006年04月01日 21:14

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トラックバック時刻: 2006年04月10日 14:33

コメント

先日はコメント&トラバありがとうございました。
ヤフー以外でもトラバが可能なんですね!初めて知りました。
私もトラバ貼らせていただきす^^。
マチルダはほんとに面白いですよね。
またよろしくお願いします♪

投稿者 tamamim : 2006年04月10日 09:17

tamamim さん、こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

『マチルダ』は私も大好きな作品です。
できれば作者のダール氏には続編を書いていただきたかった! と思うくらい・・・。
70歳を過ぎた老作家の作品とは思えない、みずみずしさがありますね。

今後ともよろしくお願いします~!

投稿者 喜八 : 2006年04月10日 20:38