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2006年07月09日

島左近

杭瀬川の戦い2

わびすけさん(※女性です)から「杭瀬川の戦い」のジオラマ模型画像を送っていただきました。ありがとうございます~。

喜八さんこんばんはー。
今テレビで放映中の山内一豊と千代の写真??と「杭瀬川の戦い」の模型を送ります。
小さな馬や人が本当に上手く作られていました。
岐阜県安八郡安八町の「歴史民族資料館」で現在展示開催中です。

(以下ふたたび喜八)
当初「杭瀬川の戦い」と聞いてもよく分からなかったのですが、有名な「関ヶ原の戦い」の前哨戦だったのですね。以下はインターネット百科事典「Wikipedia」からの引用です。

三成は家臣である島勝猛(左近)の進言により、赤坂付近を流れる杭瀬川に兵を繰り出し、東軍の一部を誘い出すと、これを散々に打ち破った。これを杭瀬川の戦いという。

じつはこの「杭瀬川の戦い」で主役を演じた島左近には以前から強い興味を抱いていました。島左近は石田三成の侍大将で、三成が自身の禄高の半分を与えて召抱えたという伝承が残っています(『常山紀談』「石田三成が事」、当エントリの最後に収録)。

杭瀬川の戦い1

関ヶ原で島左近が激しい戦いを繰り広げたことはよく知られています。おなじく『常山紀談』の「関ヶ原合戦島左近討死の事」から、石田隊を「正面の敵」として戦った黒田家家臣たちから見た島左近に関する部分を引用します。

石田が士大将鬼神《おにがみ》をも欺くといいける島左近が其日の有様。今も猶目の前に在が如しと云いけるに。其物具《もののぐ》の事をいい出して更に定かならず。

黒田長政の家臣たちは、島左近の獅子奮迅の戦いぶりはありありと覚えているが、そのいでたちはよく思い出せないというのです。恐ろしさのあまり正視できなかったということでしょう。島左近をはじめとする石田家重臣のほとんどは凄絶な戦闘ののち関ヶ原で討ち死にしました(島左近には生存説もあります)。

杭瀬川の戦い3

島左近の主であった石田三成は「東照神君徳川家康を相手に天下を争った人物であるため、江戸時代を通じて悪人視され、さらに矮小化され続けられました。現在でもそれほど高い評価はされていないようです。

虎(秀吉)の威をかる狐(三成)、己れの秀才を鼻にかけた倨傲な小人物、戦略眼の欠如により関ヶ原の合戦において西軍に敗北をもたらせた男、等々、三成は悪口雑言を浴びせられてきました。

けれども「本当かな?」と疑う気持ちが私(喜八)にはあります。石田三成が本当に詰まらない小人物であったら、島左近や蒲生郷舎のような戦国往来の「いくさ人」を家臣とすることができたかどうか、おおいに疑問を感ずるのです。

石田三成に関してはまた別の機会に書いてみたいと思います・・・。

千代と一豊

**********************************************

常山紀談』湯浅常山(1708-1781)
「石田三成が事」

石田治部少輔三成は近江国石田村の百姓佐五右衛門という者の子にして。いとけなかりし時佐吉といいしが。家貧しく近き辺りの寺にやりて在りけり。或時秀吉彼寺に行き。佐吉が明敏なる故呼出して側《かたえ》に仕えしめしが頻《しきり》に禄を増し。水口《みなくち》四万石与えられける。後三成に人数多《あまた》招きたらんと問われしに島左近一人呼出し候と申す。秀吉それは世に聞ゆる者なり。汝が許に小禄にていかで奉公すべきといわれしかば。三成禄の半分を分ち二万石与え候と答う。秀吉聞て君臣の禄相同じという事むかしより聞きも伝えず。いかさまにも其志ならではよも汝には仕えじ。ゆゆしくも計《はから》いたるかなと深く感ぜられ。島を呼出して手づから羽織を与えて。是より三成に能く心を合せよといわれけり。三成佐和山を賜りたる時。島に禄増与うべきよしいいけれども。禄更に不足にも候わず。他の人々に賜わり候えと辞しけり。左近が父もと室町将軍家に仕え。江州高宮《たかみや》の傍にかいなきさまにて隠れ居たりしを。三成招き出しけり。


底本:常山紀談 帝国文庫(第三編)
   昭和04年07月15日発行 博文館
入力:喜八
公開:2006-07-09

表記のおことわり:

新字新仮名に改めました。

つぎの語にルビをつけました。

「石田三成が事」
側《かたえ》
頻《しきり》
水口《みなくち》
数多《あまた》
計《はから》い
高宮《たかみや》

「関ヶ原合戦島左近討死の事」
鬼神《おにがみ》
物具《もののぐ》


投稿者 kihachin : 2006年07月09日 20:16

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