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2006年07月20日

『主権在米経済』

『主権在米経済』小林興起

主権在米経済』著者の小林興起さん(前衆議院議員、「新党日本」代表代行)のことを以前は「ならず者的雰囲気の人だなあ」と思っていました。ところが、小林さんは東大法学部を卒業後、通商産業省に入省し、政府派遣留学生として米国ペンシルベニア大学ウォートン・スクール(大学院)でMBA(経営学修士)を取得している大変なインテリなのでした。

さらに小林興起氏は「地盤・看板・カバン、なにもない非世襲議員で、初当選は通産省を退職してから足掛け8年後。浪人中は「人間は月3万円で生活できる」と言えるほどのビンボー生活だったそうです。さらには落選経験が4回という典型的な叩き上げの政治家です。

 小泉政権になってから、政治家が徹底して国民を見下す look down ようになった。とくに、政権中枢 center of power にいる竹中平蔵氏、武部勤氏らのやり方は、あまりにも国民をナメており、政治家は国民の代表者 representative にすぎないということを忘れてしまっている。
 そして、彼ら政権の中枢にいる政治家がアメリカからのテキストを熟読し、政権外の政治家はそのテキストの存在さえ知らなかったのだから、国民不在政治 politics without people になって当然なのである。こんないまの日本の政治を、マスコミは「官邸主導」などと称しているが、いったいどこを見てそんなタワゴトを並べているのだろうか?
 官邸主導は表向きの顔である。なぜなら、彼らには主導 leading するにあたっての政策 policy などないのだから、主導などできるはずがない。では、本当に主導しているのはどこか? 言うまでもないが、アメリカである。つまり、いまのわが国の主権 sovereignty はアメリカにあり、わが国の経済は「主権在米経済」なのだ。

以上は『主権在米経済』167-168頁からの引用です。文中「アメリカからのテキスト」は「年次改革要望書」を指します。「年次改革要望書」は米日政府間で毎年交換されている正式な外交文書で、アメリカによる日本改造の設計書ともいわれています。また、英語表現が混じっているのは「光文社ペーパーバックス」の編集方針であって、小林氏独特の文体というわけではありません。

主権在米経済」「郵政米営化」「貢ぎ続ける日本」「日本はカネだけがあるアメリカの保護領 dependence、属領 territory」「植民地」という小林興起さんの現状認識に私(喜八)も同意します。これらの「現実」を認めるのは日本人のひとりとして憂鬱なことではありますが、現実から目を逸らしていても前には進めません。

主権在米経済』は大変な良書である、と私は思いました。思想の「右・左」に関係なく、「憂国」の情を抱くすべての方に一読をお勧めします。なお付け加えておきますと、強い調子で日本の現状を批判する小林興起さんですが「サヨク的」「反米主義者」というわけではありません。「むしろ親米であり、それ以上に日本国民として自国を愛しているにすぎない」そうです。

(『主権在米経済』小林興起、光文社、2006)


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投稿者 kihachin : 2006年07月20日 20:12

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