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2006年08月19日

少年軍属

父から聞いた軍隊の話です。

父は昭和04年(1929)生まれで、太平洋戦争中は熱烈な軍国少年でありました。「お国のために」という一念で少年兵に志願しましたが、小児結核の病歴があったため採用はされませんでした。ちなみに当時の結核は「死病」と呼ばれ、特に小児結核の死亡率はきわめて高かったそうです。父が小児結核から生還したのは大変に運のいいことでした。

少年兵を不合格になった父は「第二志望」の少年軍属に応募しました。「軍属」とは「軍人(武官または徴集された兵)以外で軍隊に所属する者」を指します。当時の日本軍には未成年の兵隊および軍属が存在したのです。

海軍の某施設(国内)に配属された父を待っていたのは・・・大いなる幻滅でした。とにかく毎日殴られる。理由も何もなしに殴られる。父は鳶の組の長男坊に生まれ、喧嘩に関してはエキスパートといえるような少年でしたが、軍隊組織では1年上の人間は絶対的優位者で逆らうことは許されない。ひたすら殴られるのを我慢していました。

昭和20年(1945)08月06日広島、09日長崎に「新型爆弾」が投下されました。いまで言う原子爆弾です。そして翌10日になると兵士・軍属たちに「一時帰省」の許可がでました。15日の午後12時までに帰営することができる者は実家に帰ってよいと言うのです。父にも「ああ、大東亜戦争は負けたのだな」ということが分かったそうです。ちなみに08月15日午後12時には「終戦の詔書」いわゆる「玉音放送」がありました。

敗戦が明確になると軍隊組織の規律は目に見えて緩みました。この時期、目端の利く者は「軍需物資」を隠匿・横流しして荒稼ぎする例も少なくなかったようです。16歳の少年軍属だった父にそんな才覚はありませんでしたが、ささやかな復讐を実行しました。毎日のように父たちを殴っていた先輩軍属を袋叩きにしたのです。

5人の仲間で語らって特に悪質だった「室長」を呼び出し「いままでお世話になりました」と念入りに「お礼」をしました。顔がぐちゃぐちゃになるまで殴ったうえに倒れた相手を短靴で踏みつけました。後刻そのことを知った上官からは「20年は誰にもいうな。20年経ったら時効だからな」と言われただけで特に咎めはありませんでした。ちなみに同じようなことは日本中いたるところであったようです。

かつて軍国少年であった父が見た軍隊とは「とことんコネと学歴がモノをいう。美味い汁を吸える奴は肥え太るけど、下っ端は容赦なく使い捨てられる」世界であったそうです。そしていまでも「戦争や軍隊を格好いいものと思ってはいけない。軍隊は理不尽がまかり通るデカイ官僚組織に過ぎない」と繰り返し言っています。


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投稿者 kihachin : 2006年08月19日 20:17

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