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2006年10月10日

鈴木宗男・佐藤優対談

『北方領土「特命交渉」 』鈴木宗男・佐藤優

北方領土「特命交渉」』講談社(2006)。鈴木宗男衆議院議員(「新党大地」代表)と佐藤優起訴休職中外務事務官の対談本です。非常に興味深いことが多く語られています(とくに「北方領土ビジネス」「悪のサンタ」など)。けれどもまだ1回読んだだけなので、正式の(?)「感想文」は後日あらためてアップすることにします。今回は気になった部分をいくつか紹介するにとどめます。

鈴木 抗議や非難のFAXやメールが大量に送られてきて、電話は一日中鳴りっ放しでした。そして、いまでも不思議なのですが、同じ文面の抗議文が大量に送られてきたのです。
 明らかに組織が動いているとしか考えられません。国民の声が自然発生的に生まれたわけではなくて、意図的な狙いがあったと考えるのが自然です。
 それに、文面にはいくつか共通する言葉がありました。そのなかのひとつが「売国奴」だった。時を同じくして、「鈴木宗男は、政府の方針に反する二島返還で動いている」という話が一人歩きし始めました。

上記は鈴木宗男さんの発言です。2001年06月20日、「外務委員会」で、鈴木宗男対田中真紀子外務大臣(当時)の「はじめての衝突」が発生。「私は、これは鈴木宗男の人権にもかかわる話だし、間違ったことはいけないと思っているんですよ」と声を荒げて反論するムネオ氏の姿がテレビのワイドショーで繰り返して報道されました。その直後の鈴木事務所の様子が説明されています。

組織的な「メディアスクラム」によって「鈴木宗男はワル」という”世論”が形成されていった。現時点から振り返れば、これは明らかなように思えます。それまでは広く知られているとは言えなかった(だろう)鈴木宗男議員が、にわかに「極悪人」として国民の前に現出した。正直なところを言えば、私(喜八)自身もメディアの罠にまんまとひっかかった1人でした。「ムネオは議員辞職するべし!」なんて知人と話し合った記憶があります。

2001年の「ムネオ・バッシング」が加熱していた時期に鈴木宗男氏が「明らかに組織が動いているとしか考えられません」なんて言っても誰も相手にしなかったでしょう(私自身も含めて)。しかし、いまは違います。その後、辻元清美安田好弘といった権力側にとって「目の上のタンコブ」のような人たちが、次々とメディアスクラムの対象とされていきました。

また、インターネットの世界でも「ブログ炎上」という現象をいくつも目撃し、そして小規模ながら私自身もコメントスクラムを仕掛けられた経験(「安田弁護士を応援します」)からも、「組織的な言論封殺は確実に行なわれている」と確信しているからです。

「鬼の東京地検特捜部」は、その気になれば何でもできる。テレビドラマの刑事物で「おい! しらばっくれるんじゃない。証拠はあがっているんだぞ」というと、何か拳銃や麻薬などの物証《ブツ》が出てくるのが相場だが、特捜案件の場合、証拠とは供述調書のことである。調書には警察がつくるものと検察がつくるものがあるが、特に業界用語で「検面調書」と呼ばれる検察官面前調書の内容を、よほどのことがないかぎり、裁判所は事実とみなす。私も事件に巻き込まれるまでは夢にも思っていなかったのだが、この検面調書はほとんど検察官の作文で、被疑者の役割はそれに署名し、指印《しいん》(左手人差し指の先を黒い印肉につけ判をつく)することだけなのである。「検察官のいいなりになるフニャフニャの証人を三、四人つくれば、どんな事件だってつくることができる」と、取り調べを担当した西村尚芳特捜検事(現最高検察庁検事)は率直にいった。それだからこそ、日本の裁判所で起訴された事件の九九・九パーセントが有罪になるのである。
 日本の裁判所は有罪無罪を決める場ではない。江戸時代の「お白洲」と同じで、連行されたときには有罪が決まっているのである。

佐藤優さんによる「エピローグ」からの引用です。佐藤優さんと鈴木宗男さんが現在係争中の「刑事被告人」だという事実を前提に読めば、ずっしりと腹に響く重みのある文章です。2人は「九九・九パーセントが有罪になる」日本の裁判所で闘っている。さらには法廷で争うだけでなく、法廷外でも精力的に著書を出版する(佐藤・鈴木)、テレビ出演する(鈴木)などの情報戦を展開されています。「凄いど根性だ」と嘆息せざるを得ません。

鈴木宗男・佐藤優のような人たちが、つぶされたら? そのときは我々の「祖国」日本がいよいよ危なくなるときだと、私の動物的直感は告げています。だからこそ、鈴木・佐藤両氏を応援するのです。正直なところ「ノンポリの自分にはシンドイなあ」とも感じているのですが、「気づいてしまったからには、しかたがない」という心境でもあります・・・。

(『北方領土「特命交渉」』鈴木宗男・佐藤優、講談社、2006)


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投稿者 kihachin : 2006年10月10日 17:06

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