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2006年10月04日

『奪われる日本』

『奪われる日本』関岡英之

 衆議院特別委員会で、郵政民営化準備室が米国の関係者と十七回も会っていたという、核心に触れる重大な証言を竹中大臣から引き出した城内実前衆議院議員は、自己の良心に従い、国民の代表としての信念を貫き、総裁派閥である森派でただひとり、衆議院本会議で反対票を投じた。その結果、国政の場から追放された。

奪われる日本関岡英之、講談社現代新書(2006)よりの引用です。文中「竹中大臣」は竹中平蔵内閣府特命担当大臣(当時)です。前・小泉政権で唯一「最初から最後まで」閣僚であり続けた竹中平蔵氏が「米国金融資本のエージェントではないか?」という声は以前からありましたし、最近は公然と囁かれるようになってきました。

郵政国会」衆議院本会議の日(2005-08-05)、前記引用文に登場する城内実前衆議院議員が安倍晋三自民党幹事長代理(当時)に翻意を迫られていた映像は私(喜八)もたまたま見ました。一見「優男」風の城内実氏は情に流されることも自民党内の「空気」に同調することもなく、初志を貫徹しました。その結果、「女刺客」を送られ、僅差で落選。しかし、この過程を目撃した多くの人に「政治家の中にも凄い奴がいる」と強烈な印象を与えました。

奪われる日本』著者の関岡英之さんは1961年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。東京銀行入社。海外経済協力基金(現・国際協力銀行)出向などを経て、約14年のサラリーマン生活の後に退職。1999年、早稲田大学大学院理工学研究科石山修武研究室に入学。2001年、同修士課程を修了。著書に『拒否できない日本』(2004)、『国富消尽』(2006)などがあります。

小林興起前衆議院議員もまた『奪われる日本』に登場する愛国派議員のひとりです。小林興起氏も先の城内実氏とおなじく「郵政民営化法案」に断固として反対し、「女刺客」を送られ議席を失いました。最近届いた小林さんのメールマガジンによると「これまで支援してくださっていた中小企業及び各種団体からことごとく支援を断ち切られるという」厳しい状況下で奮戦されています。

じつのところを言うと、私(喜八)は城内実・小林興起の両氏とは政治的信条で異なる点が少なくありません(もちろん共通する点も少なくありません)。「平時」であれば、城内実・小林興起両氏とは激しく対立するかもしれないし、場合によっては戦うべき相手なのかもしれません。しかし、現在は「平時」ではない。

ある方の表現を借りれば、日本は「元寇以来、最大の危機」にあります。「日本みたいな大国がなくなるはずがない」なんて根拠のない楽観論に浸りつづけるならば、我々1億2千万人が拠るべき祖国「日本」を失いかねない、厳しい状況なのです(もしこれが杞憂であっても失うものはありません。「備えあれば憂いなし」です)。

太平洋戦争の敗戦から60年以上が過ぎ、また小泉・竹中政権の身も蓋も知恵もない「イエッサー外交」が5年も続いた結果、「アメリカ様のおっしゃることなら、何でも丸呑みにします」という買弁政治家・買弁官僚が激増した。彼ら彼女らは「宗主国アメリカ」にいい顔をするためには自国民の生活を犠牲にすることすら厭わない・・・。

現在の日本は「対米迎合派」対「国益擁護派」が熾烈な戦いを繰り広げる「戦時」にあると私は考えます。そして、この戦いにおいて、関岡英之・城内実・小林興起さんたちは明らかに「国益擁護派」であり「味方」なのです。昨年(2005)の「郵政民営化選挙」の際、関岡英之・城内実・小林興起の3氏に比べれば遥かに小さな声ではありましたが、私自身「郵政民営化反対」の声を上げることができたのを誇りに思っています。

 改革だ、国際化だと美辞麗句を並べながら、保身や自己目的のために米国の専横にあざとく迎合する者たちと、時代錯誤と揶揄されながらも、体を張って抵抗する者たちと。畢竟どちらが真の国益の擁護者なのか。どちらが真の愛国者か。
 今こそ、日本国民が、その慧眼を以て見定めるべき時だ。

(『奪われる日本』関岡英之、講談社現代新書、2006)


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投稿者 kihachin : 2006年10月04日 17:06

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