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2006年12月08日

共謀罪は「テロ対策」ではない!

『共謀罪とは何か』海渡雄一・保坂展人

今回も、海渡雄一弁護士と保坂展人衆議院議員の『共謀罪とは何か』岩波ブックレット(2006)を頼りに、共謀罪を考えてみました。

共謀罪はテロ対策として必要」。日本の政府与党は一貫してこのような主張を繰り返してきました。しかし、これは「きわめて怪しい話・眉唾物」なのです。『共謀罪とは何か』を読んで、そのことがよく分かりました。

2000年に国連が起草した「国際(越境的)組織犯罪防止条約」。この国連条約を批准するために日本にも共謀罪が必要である、というのが政府与党の説明です。共謀罪を推進する官僚・政治家は「国際(越境的)組織犯罪防止条約」をあたかも金科玉条のように掲げ、批准しないことには日本は立ちぬかぬと言わんばかり。

ところが! 「国際(越境的)組織犯罪防止条約」はそもそもテロ対策のものではないのです。この条約が規制の対象としている「国際(越境的)組織犯罪」というのは、国境を越えて活動しているマフィアや麻薬の密輸、人身売買などを行なう集団の犯罪です。平たくいえば「カネ目当て」の犯罪ですね。

テロというのは上記のような経済目的ではなく、おもに政治・宗教上の目的で市民や政府機関に恐怖を与える重大犯罪のこととされています。つまりテロは「国際(越境的)組織犯罪防止条約」の対象ではありません(国連は他にテロ対策の条約を多数策定しています)。

共謀罪推進勢力の「共謀罪はテロ対策として必要」という主張が「きわめて怪しい話・眉唾物」なのはこの通りです。そもそも最初からスジ違いの話なのです。それを無理に押し通そうとしているのは「どうせ、大部分の国民は小難しいことなど理解できないし、理解しようともしない」とタカを括っているとしか思えません。

さらに! 条約審議当初の1999年、日本政府は「共謀罪は我が国の刑事法体系になじまない」として修正案を提案していました。そこでは日本政府が共謀罪をあらたに国内法化することは日本の法制度の基本原則に反していると考えていたことが明確に記されていました。「共謀罪なんて我が国には必要ない」が日本政府の姿勢だったのです。

しかし! 日本政府は急激な方針転換をしました。米国並みの一般的な共謀罪を619種類もの広範な対象犯罪について設けるという国内法案を提出。「法律をつくらなければならない国内的な理由・根拠(立法事実)もないのに、なぜこのような広範な共謀罪の制定を提案するに至ったのか、理解に苦しむと言わざるを得ません」とは海渡雄一弁護士の感想です。

海渡弁護士によると共謀罪はアメリカやイギリスで反戦運動のデモなど市民運動の取り締まりに猛威を振るっているそうです。日本でも共謀罪が導入されてしまえば、戦争に反対する市民グループ等が狙い打ちにされる危険性は高いのです。

巨大軍需産業(死の商人)がビジネスとして引き起こす戦争に反対する。カネ儲けのために無辜の市民を虐殺することに反対する。人間としてまったくマトモな行為であるとしか言えませんね。でも、それが犯罪とされてしまう。これはもう「悪夢のような世界」「狂気の沙汰」というしかないでしょう。

究極の悪法・亡国の愚法「共謀罪」に反対します。


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投稿者 kihachin : 2006年12月08日 20:23

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