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2007年01月16日

反虐殺思想

人類の歴史の中で「虐殺」された人々の数はどれくらいになるのだろう? 戦争・内戦・民族浄化・ホロコーストなどにより殺された無数の人々がいる。そして単に殺害されるだけでなく、拷問を受けたり強姦されたりして「なぶり殺し」にされた人々もまた膨大な数に上ることは間違いない。

この事実に気づいたとき私は16歳だったと記憶しています。頭がクラクラするほどの衝撃を受けました。

「人類の歴史は武力衝突の歴史」といえるほど、人間は飽きもせず闘争を繰り返してきました。現在も世界のあちこちで戦争・内戦・クーデターが発生しています。そして武力衝突が起きたなら、多くの場合大小の「虐殺」がともないます。

人間は「虐殺」を好む性質をもっている。歴史を虚心坦懐に振り返れば明々白々な事実です。人間の歴史は虐殺につぐ虐殺に血塗られている。これは否定しようがありません。

ただし、人間には「虐殺」をやめようという良心もまた備わっている。これまた明らかな事実でしょう。人間にはともすると虐殺に傾く「性悪」な部分と、虐殺は避けようという「性善」な部分がある。すなわち「性悪」であると同時に「性善」であるのが人間なのだ。

誰でも自分の中に「けだもの」をもっている。それは「聖人君子」と言われる人であっても例外ではないでしょう。虐殺は特別な人だけが引き起こすものではない。ごく普通の人たちが自分の中の「けだもの」を解き放ってしまうとき虐殺が生じる。

ならば、その「けだもの」を外に出さないように注意することが必要になる。ともすれば虐殺を引き起こしかねない人間の性質を直視し、これを防ぐのが「智慧」だ。そして虐殺を未然に防ぐのは政治の重要な役割のひとつであるだろう。人々に虐殺をおこさせてしまうような政治は明らかに「悪い」政治です。

以上が私の虐殺観です。

正直に言って虐殺に関して考察を巡らせることは、けっして愉快なことではありません。人間には虐殺を好む性質があること。私自身の中にも「けだもの」が棲んでいること。これらは「見たくない現実」ではあります。しかし、時には正面から見つめなければならない現実でもあると考えます。

今後の「喜八ログ」は「反虐殺思想」を軸に言論活動を行なっていこうと考えています。虐殺につながるような世の動きには断固反対する。たとえば「共謀罪」はひとたび成立してしまったら、ほぼ確実に大小の虐殺を引き起こすに違いない悪法・愚法だと自分は考える。だから反対する。また、人をその出身地・肌の色・国籍・性別・障害の有無などで差別するのにも断固反対する。差別はもっとも効率的な「虐殺の道具」になり得るからだ。差別なくして虐殺なし。

排外主義的なナショナリズムは佐藤優さんも指摘するように「民族浄化」に直結しやすいきわめて危険な思想だ。だから排外主義的ナショナリズムを煽るような政府・政治家に対しては最大限の警戒を怠らないようにする。本当の愛国心、我々自身が暮らすこの国をより良いものにしようという心、は国際協調主義的な方向にこそ向かうものだと思う。

いっぽう虐殺につながらないことには反対しないことにします。ひとつだけ例を上げるなら「渋谷のガングロギャル」。あの人たちの存在はどう考えても虐殺にはつながりません。よって一切批判はしません。他人から見て「馬鹿げている」と感じられるようなことであっても、その行為が他者に危害を加えるのでなければ、基本的に「個人の自由」ですからね。

というわけです。
「反虐殺思想ブログ=喜八ログ」を今後ともよろしくお願いします。


投稿者 kihachin : 2007年01月16日 17:26

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