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2007年04月11日

防衛庁元幹部の「護憲論」

『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』

我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』かもがわ出版(2007)から、小池清彦さん(新潟県加茂市長)の発言を紹介させていただきます。小池清彦さんは「防衛庁元幹部」の立場から憲法第九条の大きな意義を認め、「平和憲法は国の宝」であり「今こそ平和憲法が国を守る」のだと訴えています。

小池清彦 1937年新潟県加茂市生まれ。1960年に東京大学法学部を卒業し防衛庁入庁。イギリス王立国防大学留学後、防衛局計画官、官房防衛審議官、防衛研究所長、教育訓練局長を歴任し、1992年退官。1995年加茂市長に当選し、現在3期目

まずは「イラクの自衛隊」について(37-38頁)。

 自衛隊員全員がまず心配しておるのは、劣化ウラン弾のことなんですよ。これは、自衛隊員一人残らず心配していますよ。劣化ウラン弾がまず心配だと。それから、砲弾が落ちる。一発砲弾が落ちたらですよ、塹壕を掘っていない限りは、少なくとも半径五〇メートル以内の人は全員即死するんですよ。これが近代戦争の、大砲の弾が出来てからの現実なんですよ。戦争にロマンチシズムはないんです。
 そういう危険なところへ、「万骨枯らす」べきではない。やっぱり、「一将功成る」側の人たちは、まずもって、自衛隊員を慈しんで。彼らは自衛隊に入る時にそういう約束で入っていないじゃないか、自衛隊員は。日本国の平和と安全を守るために、入ってきた人たちなんですから。これを海外へ出すことは契約違反であり、人権侵害だということをですね、まず、自衛隊の幹部とOBが言わなければいけないんですよ。我々がまずもって隊員を守らずして、だれが守るんですか。と、私は思います。

そして次のように結論付けます(39頁)。

 即座に自衛隊を撤兵すべきであると。そうでないと、自衛隊員もどんどん犠牲になりますし、家族が悲しみます。日本の国内の人たちも、犠牲になる。そして、その結果、いいことは一つもない。

戦争にロマンチシズムはない」という言葉に強い共感を覚えます。自衛隊のイラク派兵が決定したとき、私(喜八)がまず一番に感じたのは「自衛隊員と家族が気の毒だ」ということでした(もちろんイラクの人々も米兵も気の毒です)。自衛官たちをあたかも「人身御供」のような犠牲として、我々日本国民が平和を享受するようなことがあっては絶対にいけないと思う。

さらに小池清彦さんの発言から「平和主義」について(42頁)。

 今、海外に兵を出すことによって何事か、ためにしようとたくらんでいる勢力が日本にはある。非常にミリタリズム(軍国主義)の方向を志向している勢力が間違いなくある。そういう勢力の、「ためにする」議論を真に受けてですよ、どんどん自衛隊を海外に出すようになったら、日本は一体どうなるんだ、ということを考えてみたら、結論はおのずから明らかである。我々はあくまでも平和主義の根本の上に立って、日本の前途を絶対に誤らないように気をつけながら、持っていかなければならない。

軍国主義の方向を志向している勢力。自らを絶対安全圏におきながら、いっぱしの「タカ派」を気取り、無責任な好戦論をぶつ者ども。私(喜八)は彼ら「チキンホーク(chicken-hawk)」を心の底から軽蔑し、憎悪します。そんなに戦争がやりたかったら、自分で銃をとって勝手に殺し合いをやってくれ!

武士道」について(42-43頁)。

 最後に武士道の話です。剣は磨くべし、されど用うべからず、これが古今の兵法の鉄則であり、日本武士道の本義に合致するわけであります。剣聖、上泉信綱(室町時代末期の剣客・兵学家)が、到達した世界は「無刀《むとう》」、剣を捨てた形でありました。武の本質は和である。これが日本の、東洋の武の鉄則であります。
 武士道というものはまず、軍事の指揮官はですね、一番大事なことは、部下を殺さないということなんですよ。部下を慈しむ、これが卓越した指揮官の、一番大事なことなんです。従って、総理たるもの渾身《こんしん》の力を振るって、二四万の自衛隊員とその家族一〇〇万の苦しみを救って、直ちにイラクから撤兵されるべきであると思います。

以上の発言は2004年03月25日、朝日新聞社開催のシンポジウム「どこへ行く自衛隊」におけるものです。したがって「総理」は当時の小泉純一郎首相のことです。

その小泉氏は独断で多くの自衛隊員をきわめて危険な任務に送り込んだというのに、最後まで現地を慰問することさえしませんでした。米国ブッシュ大統領、英国ブレア首相、韓国盧武鉉大統領もそれぞれのイラク駐留部隊を慰問しています(当たり前ですね)。小泉氏の無責任ぶりは各国首脳のなかで突出しています。そして、彼の「非道」を批判しない日本のマスメディアと国民も「どうかしている」としか思えません。

そもそも自衛隊イラク派兵というのは、小泉氏がアメリカのボス=ブッシュに「いい顔」をしたいがため、強引に実行されたオペレーションでしょう。それなのに「後は知らぬ」と言わんばかりの酷薄な態度を取り続ける。こんな人物が「純ちゃん人気」とやらで5年以上もの長期政権を実現したとは、私はいまだに信じがたいのです。

小池清彦さんの発言に話を戻しますと、「武の本質は和である」という「鉄則」には新鮮な驚きがありました。たしかにこのような思想によるなら憲法第九条と自衛隊は両立します。非武装中立論の方には抵抗があるかもしれませんが・・・。本気で憲法と平和を守りたいのなら、小池清彦さんのような「護憲タカ」ともいうべき人たちとも手を取り合い、共闘してゆく必要があると私は思います。


(『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』かもがわ出版、2007)


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投稿者 kihachin : 2007年04月11日 12:12

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