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2007年04月20日

『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』

『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』

先にアップした記事「防衛庁元幹部の「護憲論」」に続き、『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』かもがわ出版(2007)を紹介します。結論から言えば、これは大変な良書だと思います。憲法を守り平和を守りたいという方はぜひとも手にとって読んでみてください。

今回は防衛庁官房長をつとめた竹岡勝美(たけおか・かつみ)さんの発言を紹介します。

竹岡勝美さんは1923年京都府亀岡市生まれ。1948年京都大学法学部卒業。国家地方警察本部に上級職として入庁。岡山、鳥取両県の県警本部長を歴任。1976年、防衛庁人事教育局長。その後、官房長、調達実施本部長を経て1980年に退官された、いわゆる警察・防衛エリートです。

それでは『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』の65-66頁から。

 沖縄戦争の末期、自決した大田海軍司令官は県民総ぐるみの戦闘支援に感涙を拭いきれず「沖縄県民かく戦えり。後世格別のご高配を賜わらんことを」との海軍次官宛の烈々たる決別電報を送りました。
 戦後六〇年、今なお続く在沖米軍の重圧に、沖縄県民、戦死した兵士、県民の亡霊に、歴代首相、防衛庁長官、外務大臣は何のかんばせ(顔)あって会いまみえる所存か。「沖縄県民を守るため」と在沖米軍司令官が弁明したこともあるが、それは虚言です。沖縄県に侵攻してくる隣国はどこにも存在しません。
 日本の国恥とも言うべき敗戦以来存続している広大な米軍基地の撤廃どころか縮小すら言挙げできない日本に対し、先に米軍を撤収させたタイやフィリピンはもちろん、米国から敵視されている中国や北朝鮮の思いは複雑でしょう。
 本土でも戦前の六〇年帝国海軍の鎮守府が存在した栄光の軍都、横須賀、佐世保の市民は、戦後の六〇年、米空母をふくむ米機動艦隊に母港を提供する恥辱に泣いていませんか。かつて孫文は「日本は、西洋覇道の走狗となるのか、東洋王道の干城となるのか」と戒めました。日本は今も在日駐留も含む米軍の庇護が本当に不可欠なのでしょうか。軍事的隷属が不可避なのでしょうか。
 まさか永遠ではありますまい。かつて訪米した鳩山由紀夫氏は、「他国の軍備に未来永劫守られるということでは、独立した国民の心にとって障害になる」と訴えました。政府は、どのようになれば米軍の撤収を求めると、国民に明示すべきです。このままでは一〇〇年以上も駐留されそうです。南北朝鮮の和平こそがそのチャンスだと私考します。

引用文中「干城《かんじょう》」は「《干》は楯(たて)の意、楯となり城となって、国家を守護する武人。軍人」の意味です。「日本は、侵略者である西洋諸国の手先に成り下がるのか? それとも東洋諸国を守る正義の士となるのか?」と孫文は問うたのです。

はたして現在の日本はどちらの道を歩んでいるのか?

日本の国恥」とは引用文を読めば明らかなように「在日米軍基地」のことです。ここを読んだとき、私(喜八)は思わず快哉を上げました。「ここに『同志』がいる!」と。竹岡勝美さんと私は年齢も異なり、また優秀な竹岡さんとは違い平平凡凡たる私ではありますが、在日米軍基地が忌まわしいものであるという認識において一致しています。

以下は「喜八ログ」過去記事からの引用です(「日米関係」)。

日米関係こそ重要である」なんて書くと心ある方たちから「喜八の奴もポチだったのか! 正体見たり!」なんて誤解されてしまうかもしれませんね。もちろん違います(笑)。私が考える「日米関係」は今後いかにして在日米軍に撤退していただくかが中心問題です。すなわち「日本完全独立論」ともいうべきものです。
まず第一に「戦後は終わっていない」という認識が私にはあります。1956年(昭和31年)の経済白書に「もはや『戦後』ではない」と謳われましたがそれは違うでしょう。外国の軍隊(アメリカ軍)が日本国内に存在する限り、日本にとっての「戦後」は決して終わりません。と同時に日本のみならず朝鮮半島からも米軍が撤退しない限り「戦後」は終わらないと考えます。
現在、日本人の多くが在日米軍の存在に慣れきってしまっているように思えます。「米軍基地があって当たり前」と錯覚されている方が多いのではないでしょうか? 実際にはきわめて異常な状態であるにもかかわらず・・・。長い日本の歴史において外国の軍隊がこれだけの期間(60年以上)駐留したことはありません。そして今後どれだけの期間にわたって米軍の駐留が続くのか? 考え始めると気が重くなります。
「在日米軍にはすみやかにお引取りいただきたい」という素朴な気持ちが私にはあります。中長期的に見て日本国にとって最大の課題は「米軍の撤退」であると考えるのです。このままずるずると米軍の駐留が続いたら・・・将来は日本国の独立さえ危うくなりそうです。私自身は「国家はなにものにも優先する」というような国家主義的な立場をとりませんが、日本という国がなくなることは望みません。

上で私(喜八)が主張しているように、外国の軍隊(米軍)が60年以上も駐留しているのは「きわめて異常な状態」なのです。にもかかわらず、これを「異常」と感じる日本人は非常に少ないように見える。反面「米軍基地があって当たり前」と思う日本人の数は膨大でしょう。竹岡勝美さんはここに「国恥」を見た。そして「このままでは一〇〇年以上も駐留されそう」という危機感を抱かれている。おそらく100年以上もの外国軍隊駐留が続いたら、日本という国は形式ばかりのものになり実質的な米国統治領化するか、法的にも消滅するかどちらかでしょう。

我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』の紹介に戻ります。竹岡勝美さんは「憲法」と「安全保障」に関連して次のように書かれています。これは竹岡憲法論の「結論」と言っていい部分です。

 今、「平和憲法」「専守防衛」の金看板を廃棄するのは、わが国の安全保障と徳義のため、かつ、周辺隣国への影響からも余りに惜しい。改憲に何のプラスがあるのか。どの国と戦うつもりか。それで世界から賞賛されるのか。日本は現在その徳義上かつ安全保障上からも朝鮮半島の平和に最大限の貢献を尽くすべきであり、改憲などはその後の問題と私考します。

改憲をして日本を「戦争ができる国」とし、アメリカの「走狗」に成り下がり、侵略戦争をする。アメリカが戦争相手に選ぶのは有色人種の国であることが多いので「日本軍」は有色人種の兵や民を殺すことになる可能性が高い。有色人種である日本人が白人の手先になり、有色人種を殺す。もちろん、これが「世界から賞賛される」わけもありません。それどころか、世界中の人々から凄まじいばかりの侮蔑を買うことになるでしょう。100年経っても200年経っても消えることのない汚辱。まさに究極の「国恥」です。

このような方向に祖国日本を誘導しようとしている者たちに「美しい国」や「愛国」を標榜する資格があるのだろうか? これが私(喜八)の根本的な疑問です。


(『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』かもがわ出版、2007)


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投稿者 kihachin : 2007年04月20日 12:14

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