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2007年05月11日

赤ちゃんと平和

晴天とら日和

(※画像は「晴天とら日和」さんよりお借りしました)


先ごろ雨が降った日の夕方、混み合ったバスに乗っていると・・・。小さなお子さん2人を連れたお母さんが、途中のバス停で乗車してきました。下の子はまだ1歳くらいの乳幼児です。そして、この子がわんわん泣いているのです。

「うるさいガキだな~」、すぐ近くにいた私(喜八)は思わずイライラッとしました。けれども、あることに気づき、そのイライラは一瞬にして雲散霧消しました。

その「あること」とは何か?

何年か前に読んだ『沖縄の旅・アブチラガマと轟の壕』石原昌家、集英社新書(2000)という「沖縄戦」に関する本に書かれていた「あること」を思い出したのです。

太平洋戦争の末期、沖縄県では「鉄の暴風」とも形容される地上戦が行なわれました。そして兵士ばかりでなく、多数の民間人が戦闘に巻き込まれ命を落としました。

沖縄地上戦の最後は「摩文仁」の丘で戦われました。ここにはガマ(天然の洞窟)が多数あったため、十数万人にも上る民間人と日本軍兵士がガマの内に隠れ潜むことになりました。

民間人の中には小さな子供や赤ちゃんもいます。戦争の真っ只中で命からがら逃げてきた人々に充分な食料のあるわけもなく、大人も子供もひもじさに苛《さいな》まれました。赤ちゃんのいるお母さんたちには栄養不足と精神的ショックでお乳が出なくなる人が多かったそうです。

大人たちは「戦争」という「事情」が分かりますから、腹が減ってもどうにか我慢することができる。しかし、幼い子供たち、特に頑是《がんぜ》ない赤ちゃんには事情もへったくれもない。お腹が空けば泣き叫ぶしかありません。

戦場の真っ只中で赤ちゃんの泣き声が響く。当時の日本人は「アメリカ兵の捕虜になったら男はすぐさま皆殺し、女は強姦されてから皆殺し」という「洗脳教育」を受けていました。赤ちゃんの鳴き声で自分たちの居場所が知れたら、皆殺しになる。多くの人がそう思ってしまった。

そして何人もの赤ちゃんが「静かにさせる」ため殺されました。「友軍」の兵士によって、あるいは赤ちゃんの親たちの手によって。摩文仁の丘のガマ(洞窟)には戦後62年が経っても回収されない遺骨が何万柱ともなく眠っています。赤ちゃんたちの遺骨もまだ眠っているのです。

バスの中で子供の泣き声に「イライラッ」とした私ですが、次の瞬間には戦争で命を落としていった赤ちゃんたちのことを思い出し、イライラは静まりました。これは自分でも不思議なくらい速《すみ》やかな反応でした。

それでまた、こんなことも考えました。赤ちゃんたちは口もきけないけれど、もし自分の意見を言うことができたなら、彼ら彼女らはことごとく「絶対平和」を主張するだろう。赤ちゃんたちは「絶対平和主義者」に違いない。

「武力」という点では、赤ちゃんたちは絶対的に無力です。赤ちゃんが武力を用いて他人を傷つけたり恫喝することはできません。暴力の横行する世界では、彼ら彼女らは常に「殺される側」にいます。赤ちゃんたちは間違いなく「絶対平和主義者」だろうと思います。

そして赤ちゃんたちの平和を守るのは大人たちの役目でしょうね。周囲の大人たち・共同体・社会・国の果たすべき役目。赤ちゃんたちが殺されるのを放置するような社会や国は、機能不全に陥っている。そんな社会や国は、極論すれば「なくてもいい」存在でしょう。

私(喜八)自身は政治的には「平和主義者」「ハト派」です。しかし、個人的には結構「タカ派」的な要素があるかもしれません。女性や子供に暴力を振るうことは決してないけれど、相手が「大の男」で「正当防衛」に当たる場合なら、ぶっとばしても構わないというような心構えはあります。

というわけで、わりと粗暴な性格かもしれません(笑)。「いざ!」というときに躊躇《ためら》いなく戦えるように、日頃からダンベルやバーベルといった鉄の塊を持ち上げて、身体を鍛えてもいます。ただ、それは無闇に暴力を振るうためではありません。「赤ちゃんたちの平和」を守るため、大人の私は時として「阿修羅」のごとく戦うことも必要になるかもしれない。こう思うがゆえなのです。


投稿者 kihachin : 2007年05月11日 12:40

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