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2007年05月21日

『国家と神とマルクス』

『国家と神とマルクス』佐藤優

外務省のラスプーチン」こと佐藤優起訴休職外務事務官が『月刊日本』『情況』『現代』『週刊東洋経済』『週刊朝日』『朝日新聞』などの雑誌や新聞で発表した文章および対談を1冊にまとめたのが本書『国家と神とマルクス』です。

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「おや?」と思わされたのは本書を発行した「太陽企画出版」が「自他ともに認める保守陣営の論客竹村健一氏に近い出版社であることです。「絶対的なるもの─あるいは長いあとがき(240-254頁)」で書かれているように『国家と神とマルクス』は佐藤優氏と竹村健一氏の出会いから生まれました。その「佐藤・竹村」の組み合わせからして意外です。

さらには佐藤優氏によって描き出される「竹村健一」はじつに心が広くて優しい人物なのです。数十年も前から、押しが強くアクの強い竹村氏のキャラクターにTVを通じて馴染んだ者(喜八)にとっては、いささか奇妙な感じであることは否めません。だが、佐藤氏は次のようにも書いています(243頁)。

竹村氏は、自他共に認める保守陣営の論客であるが、自らの信念と異なる言説についても、最後まで耳を傾け、相手の論理をきちんととらえようとする度量がある。

おそらく、これは真実なのでしょう。本書「長いあとがき」の佐藤氏の指摘で初めて気づいたのですが、「太陽企画出版」からは反権力的なジャーナリスト斎藤貴男氏の『人間破壊列島』や『人を殺せと言われれば、殺すのか』も出版されています。佐藤氏の書くように「太陽企画出版も寛容の精神と多元主義をモットーにしている」。すなわち竹村健一氏も寛容の精神の持ち主なのでしょう。

ところで、最近になって改めて感じているのは「佐藤優氏はモラル(道徳)の高い人物なのだなあ」ということです。とはいえ、佐藤氏自身は自分がモラリストであることを断固として認めないだろうとも思います。母親の影響で幼いころからキリスト教の教会に出入りしながらも「偽善者面した人が多かったのが生理的に嫌」であったそうですから。

佐藤優氏にはあえて「ワル」ぶるところがあり、また国家の「情報屋」として実際に「ワル」の実践も多々してきたようですから、「モラリスト佐藤優」の面は簡単には見えにくいかもしれません。

たとえば、佐藤氏は複数の雑誌において一部外務省幹部の破廉恥な振る舞い(強制わいせつ・不正蓄財・飲酒運転による殺人など)を暴露してきました。これに関して当初は私も「ちょっとやりすぎでは?」という感がなきにしもあらずでした。が、佐藤優氏のモラルの高さを実感するにつれ、佐藤氏が一部外務省幹部の醜行を心から憎んでいるのが実感できるようになりました。

衆議院議員鈴木宗男氏と佐藤優氏の「同盟関係」も、「モラリスト佐藤優」を前提にするなら納得がいく点が多いのです。佐藤氏によるとムネオ氏は「自己抑制ができる人」であり「年に政治資金を数億円も集め、使いますが、私生活は質素な人」なのだそうです。これは多くの人にとって意外な証言かもしれませんが、佐藤氏はそんなムネオ氏に共感する部分が大きいのだと思います。

しばらく前のある週刊誌に、佐藤氏がモスクワの日本大使館に勤務していたころ、「売春接待」を受けなかった国会議員はムネオ氏と某大物F議員の2人だけだったという記事がでたことがあります。これは佐藤優氏の知人だというライター氏による記事ですから、どこまで本当かは分かりませんが、「売春接待」を受けないムネオ氏に佐藤氏が感銘を受けたという可能性は高そうです。

いずれにせよ、鈴木宗男議員にしても佐藤優氏にしても、長期にわたって拘留され東京地検特捜部の厳しい取り調べを受けたにもかかわらず、「カネと女」の醜聞はでてきませんでした。もし、ほんの少しでも彼らに悪行があったなら、即座にマスコミにリークされ、面白おかしく盛大に書き立てられたでしょう。ムネオ氏と佐藤氏が「自己抑制ができる人」であり「私生活は質素な人」であることは、ほぼ間違いないでしょう。

「一読者」である私(喜八)から見た佐藤優氏は「友人や同盟者をけっして裏切らない」「目下の相手も呼び捨てにせず『さん』づけにする」「おカネや女性に関する抑制ができ」「野良猫たちの運命を心配する優しさを持つ」人物です。なんだかんだ言っても、私はそんな佐藤優氏が好きなのです。だから応援する。単純に言えば、そういうことです。


(『国家と神とマルクス』佐藤優、太陽企画出版、2007)


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投稿者 kihachin : 2007年05月21日 17:19

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