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2007年05月03日

戦後レジームからの脱却

アカンボウ

安倍晋三さんが最近お気に入りらしい「戦後レジームからの脱却」というフレーズを聞くたびに不思議な気持ちになります。「安倍氏はいったい何から脱却して、どういう日本をつくりたいのだろうか?」と。

ごくごく常識的に考えれば「戦後レジームからの脱却」の意味はひとつしかないでしょう。すなわち「米国からの完全独立」です。でも、安倍氏は「日本完全独立」の意味を込めて「戦後レジームからの脱却」と言っているのか? きわめて疑わしいと私(喜八=中村順)は思います。

こんなことは改めて言うまでもない自明のことですけれど、現在の日本は完全な独立国ではありません。アメリカの実質的な「属国」です。約62年前に日本は戦争に負け、その後ずっとアメリカの占領下におかれています。いわゆる「在日米軍」そして「思いやり予算」の存在が「属国」という「見たくない現実」を如実に示しています。

※それにしても「思いやり予算」とは、なんとグロテスクなネーミングでしょうね

アメリカによる日本占領に終止符をうち、日本国は真の意味での独立を果たす。その上で日米は「対等な」パートナーとなり(言うまでもなく現在は「対等」ではありません)、世界平和のために貢献する。これが「戦後レジームからの脱却」なのでしょうか? もしそうであれば私だって賛成しますが、どうもそうではなさそうです。

「従軍慰安婦」問題でちょっとだけ強気に出たかと思うと、翌日(!)にはヘナヘナとなり、「アメリカ様」に頭を下げまくる「首相」。在日米軍に対して、日本の政治家としては珍しく「正論」をぶつけたかと思ったら、やっぱりすぐにヘナヘナして右顧左眄《うこさべん》する「防衛大臣」。「あんたら、いったい何やってんの?!」と叫びたくなるような光景です。

こんな人たちに「日本完全独立」という大業が果たせるでしょうか? 答えはあまりに明白ですね。「ノー」です。断固「ノー」です。

安倍晋三さんに対して私は個人的な恨みも悪感情もありませんが、彼が「日本完全独立」を果たせるだけの実力の持ち主だとは到底思えない。そもそも彼には日本という大国の1億2千8百万の民をたばねる行政の長としての力もないでしょう。さらに「そもそも論」を言うなら、なぜ安倍氏が「総理大臣の器《うつわ》」なんて評されていたのか、まったく分からない。言葉の綾でもなんでもなくて、心底理解できない。

もしかしたら安倍晋三さんには「日本完全独立」への意欲はあるのかもしれません。おそらくあるのでしょう。「祖国独立」の強烈な渇望が。でも、残念ながら彼にはそれだけの力はないのです。現在の閣僚にもないでしょう。子供のように考えなしに強がりを言ったかと思うと、日をおかずしてヘナヘナとなって、これまで以上の「土下座」をしまくるような人たちですから・・・。

となると、安倍氏による「戦後レジームからの脱却」とは何を意味しているのか?

「日本完全独立」への道は「宗主国アメリカ」によって強固にブロックされている。「属国日本」を手放すことはアメリカの「国益」に反しているからです。このアメリカのブロックを突破するのは大変な作業、それこそ命がけの仕事になるでしょう。何度も言うようですが、安倍晋三とその取り巻き連中にこれができるとは到底思えない。彼らは「日本完全独立」をあっさりと放棄するに違いない。

安倍氏の「戦後レジームからの脱却」は「日本完全独立」を目的としていない? 「属国」状態には「目をつぶった」上で「変革」を目指す? もしそうだとすれば、それはどういう「改革」になるのか?

「憲法改正(改悪)」への尋常ならざる情熱を見せる安倍晋三。復古主義的な姿勢、タカ派的体質を明確にしてきた安倍晋三。そんな彼の言動から判断すると「戦後レジームからの脱却」とは「戦前レジームへの回帰」ではないか? そんな疑惑が浮上します。

けれども「戦前レジーム」に戻るなんてのは、最初から無理な話です。だって現在の日本はアメリカの「属国」なのですから。「属国」の復古主義などというのは「悪い冗談」でしかないでしょう。どうしても「戦前レジームへの回帰」を果たしたいのなら、なにはともあれ「日本完全独立」というハードルを越さなければ話にも何にもなりません。しかし「彼ら」にはその力がない・・・。

「属国」のまま「戦後レジームからの脱却」を目指す。こんな捻《ねじ》くれた「変革」がまともな結果を生まないことは誰が見たって明らかです。「まともな結果」どころか1億2千8百万の日本人を塗炭の苦しみに突き落とす、「狂気の改革」と成り果てる可能性がきわめて高いでしょう。能力にも気迫にも欠ける安倍晋三とその一統に「憲法」や「国家」を弄《いじ》くらせておくのは止めよう! こう強く主張したいと私は思います。

(※画像はヘンリー・オーツさんのオリジナル作品をお借りしています)


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投稿者 kihachin : 2007年05月03日 11:21

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