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2007年05月08日

「日米同盟」

徳川家康


このごろでは新聞でもTVでも矢鱈《やたら》に「日米同盟」なる言葉が使われています。私(喜八)はこの「日米同盟」という表現には非常な違和感を覚えてしかたがありません。そもそも「日米安全保障条約(安保)」はどこに行っちゃったんだ~!(笑)

自民党代議士や御用学者・御用評論家先生の仰《おっしゃ》ることのみを聞いていると、「日本と米国は対等な同盟関係にある」なんて大いなる勘違いをしてしまう方も出てくるのではないでしょうか? 特に年端も行かない子供たちのことが心配ですね。子供たちに嘘いつわりを教えてはいけないと思う。

こんなことは敢えて言うまでもありませんが、「日米同盟」は対等な同盟なんかではありません。米国を「主」として日本を「従」とする、いわば「主従同盟」とも呼ぶべき関係です。日本人なら「戦国時代」の織田信長徳川家康の「清洲同盟」を思い浮かべればよろしいでしょう。

織田信長と徳川家康は対等な同盟関係にあったのですか? もちろん、違います。一例だけ挙げると、家康の正室・築山殿と長男・信康は織田信長から「謀反」を疑われ、そのため家康は自らの妻と長男を殺害しなければなりませんでした。「同盟」とは名がつくものの、実質的には「主従関係」でしかありませんでした。

もし信長が「本能寺の変」でたおれることがなかったら、着実に実力を蓄えつつあった家康は「主君」信長の疑惑を掻きたてる存在へと成長していったはずです。その結果、かなり高い確率で信長により攻め滅ぼさることになっただろうと思います。いちおう名目上は「同盟者」であった者(家康)に妻と長男を殺させるような男(信長)が、「ライバル」殲滅《せんめつ》をためらうわけもありません。

徳川家康は戦国往来の「いくさ人」であり、したがって極端なプラグマティスト(実利主義者)であったでしょうから、信長と自分が「対等な同盟者」であるなどという幻想は一瞬たりとも抱かなかったでしょう。家康がそれほどまでに「甘い」男であったら、あっという間に領土も首も失ってしまったに違いないのです。「見たくない現実」から目をそむけ幻想に浸《ひ》たる者は生き残れない時代。それが「乱世」です。

現在の「日米同盟(と呼ばれる主従同盟)の有様を説明するには、すでに多くの方がされているように「スネオ」と「ジャイアン」の比喩を使うのもよいですね。これまた説明するまでもないとは思いますが、「スネオ」と「ジャイアン」は某有名SF漫画『ド○エモン』の主要キャラクターです。「ジャイアン」は身体が大きく喧嘩が強い、自他ともに認める「ガキ大将」小学生。「スネオ」はその一の子分で「虎の威を借る狐」を体現したような少年です。

それで「米国」は「ジャイアン」、「日本」は「スネオ」に該当します。ガキ大将「ジャイアン」は「スネオ」をいいように使いたいがために「俺たちは同盟関係にあるんだ」と強調する。「スネオ」も「僕とジャイアンは『スネジャイ同盟』にあるんだ」と嬉々として触れ回る。「もし、ジャイアンがほかのヤツに殴られたら、僕(スネオ)がジャイアンを助けてやるんだ」と。

つまり「スネジャイ同盟」における「集団的自衛権」ですね(笑)。周囲の人々はこの「スネジャイ同盟」をどう思うでしょうか? 「ジャイアンがほかのヤツに殴られたら、僕がジャイアンを助けてやる」と喧伝してまわる「スネオ」のことを「健気な少年だ」とか「偉い奴だ」などと評価するでしょうか?

これはきわめて怪しいですよ。逆に「なに言ってるんだ、おっちょこちょいのゴマすり野郎」と軽蔑される可能性のほうが遥かに高いと思います。過保護な「スネオのママ」なら「スネちゃまは友達思いざます」なんて感涙にむせんでくれるかもしれませんが・・・。同級生たち、特に「ジャイアン」に殴られたことがある少年少女たちにしてみれば、「スネジャイ同盟」で有頂天になる「スネオ」などは憎悪と侮蔑の対象にしかならないでしょう。

そもそも「ジャイアン」は自他ともに認めるガキ大将ですからね。ガキ大将を相手に「先制攻撃」を仕掛けるような者がやたらに現れるとも思えない。逆に「ジャイアン」の方から無法な先制攻撃・一方的攻撃を行なうことはしょっちゅうあるのです。どうも喧嘩は「ジャイアン家」のシノギ(商売)となっているらしく、定期的に「弱い相手」を選んでぶっとばさないと、「ジャイアン家」の生計は成り立たないらしい・・・。

というわけで「弱いはずだった」イラクに嘘の理由をでっちあげ国際法を無視して攻め込み、その挙句に(予想外の)強力な抵抗を受けて、ボロボロになっているのが今の米国なわけです。世間の皆様(国際社会)が米国に同情するわけもなく、「自業自得だ」と冷たい目で見ているのです。「自分で引き起こした戦争の始末は自分でつけてくれよ」と。

米国のもっとも強力な「同盟国」であった英国でも「ブッシュのプードルトニー・ブレア首相の人気はガタ落ち。まだ若い(1953年生まれ)のに、その政治生命は風前の灯火《ともしび》だと言われています。近い将来「塀の中」に入ってしゃがまなければならないという観測もちらほら。英国人が某人気SF漫画『ド○エモン』に馴染んでいれば、「トニー(スネオ)ブレアの哀れな末路」なんていう見出しがタブロイド紙面を飾ることになったかもしれません。

そんな中で、我が日本の自民党代議士や御用学者・御用評論家先生ばかりが「日米同盟の強化」とか「集団的自衛権」なんてことを仰ってくれているわけです。本当に有難いことでしょうね。(落ち目の)米国指導者たちにとっては! けれども、このような選択が1億2千8百万の日本国民にとって「有難い」かどうかは、きわめて疑わしい。「スネジャイ同盟」で有頂天になる「スネオ」と同様に、周囲からは憎悪と侮蔑の目で見られるのがオチではないでしょうか。

希代のプラグマティスト(狸爺)でありサバイバルの達人でもあった「東照大権現」家康公が蘇《よみが》って、今の政治の有様を見たなら・・・。「ふん、国を滅ぼす奴らは皆おなじことをするな。常に悪いほうの選択肢を選ぶ」と嘆息されるに違いない。こんな「妄想」が頭から離れない私です。


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投稿者 kihachin : 2007年05月08日 12:51

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