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2007年06月06日

『護憲派の一分』

『護憲派の一分』土井たか子、佐高信

元衆議院議長であり社会(社民)党党首もつとめた土井たか子さんと経済評論家佐高信さんの対談集です。土井たか子さんによるミニ自叙伝ともいうべき「初心忘るべからず ── 初当選まで」と、親しい政治家・出版社社長への追悼文「盟友たちへの誓い」も収録されています。

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正直に言うと、土井たか子さんという人は何となく苦手でした。土井さんが戦後日本の社会に大きな貢献をしてきた凄い方であることは重々承知なのですが、その生真面目さに圧倒されてしまうのです。これは小中学校時代に学級委員をつとめる優等女子生徒が苦手だったのと同じ構図なのでしょう。

ところが本書『護憲派の一分《いちぶん》』を読むと、土井さんはユーモアのセンスに恵まれたチャーミングな方であることが分かってきます。たとえば自分が「大飯食らい」であることを説明するのに「カレー屋さんに行くと、お代わりする」と明言する(!)。そのため「女性秘書なんか恥ずかしがって一緒に行きたがらない(笑)」のだそうです(本書82頁)。

モテてモテて困った時期もある」と本人が証言されている(15頁)のもユーモアの一環かな? と一瞬思ってしまったのですが、これは真実のようです。本書を読んでいるうちに思い出したのです。1986年、土井たか子さんが日本社会党委員長に就任したころ、土井さんのテレフォンカードが売れに売れて一種の社会現象になったことを。

当時20代だった私が「しかし、土井さんのテレフォンカードを誰が買うのかなあ?」と会社の同僚と話していると、40代後半の先輩社員が「ひと昔前、土井たか子さんは財界人の『アイドル』的存在だったのだ」と教えてくれました。なんでも、財界人の「お歴々」の中には土井さんとペアを組んでテニスをするのを一種の「勲章」のようにみなしていた人々もいたのだそうです。

私自身、1986年前後の時期に雑誌のグラビア・ページで土井たか子さんがテニススコート(ショートパンツ?)を穿いてラケットを振っている姿を拝見した記憶があります。「財界人のアイドル」であったというのは、まず間違いなく真実なのでしょう。

護憲派の一分』を読むと、土井たか子さんが先輩後輩を問わず多くの政治家に信頼されてきたことが良く分かります。三木武夫宇都宮徳馬大平正芳伊東正義橋本龍太郎野中広務亀井静香・・・(敬称略)。なかでも驚いたのは「ハマコー」こと浜田幸一さんとの関係です。

「ハマコー」氏といえば70歳台後半になられる現在でも、バラエティ番組「TVタックル」で毒舌暴言の限りを尽くされています。けれども土井たか子さんによると、お2人は国会議員の「同期」で「仲良し」だったそうなのです。土井さんが社会党委員長であったころ、議会で自民党議員から猛烈に野次られるのですが、それを静めてくれたのが自民党で「野次将軍」と呼ばれていた浜田幸一議員(当時)でした。また、誕生日になると花を贈ってもくれたそうです(171頁)。

これを読んで、浜田幸一氏のイメージがガラリと変わりました。これまでずっと単なる「ガラの悪いオヤジ」だとばかり思っていたのですが(ハマコーさん、すみません)、いいところがあるではないですか! そういえば故・田中角栄元首相の「金庫番」と呼ばれた佐藤昭子さんが浜田幸一氏を「ハマちゃん」と呼んで信頼していたことも思い出しました・・・。

土井たか子さんに話を戻します。1989年の第15回参議院議員通常選挙で社会党が大躍進し「マドンナ旋風」と呼ばれ、土井さん自身の「山が動いた」発言があったころ、社会党も土井たか子党首も最高に輝いていました。しかしその後、「バブル」の崩壊があり、90年代は日本にとって「失われた10年」と呼ばれる停滞期となりました。それに足並みを揃えるように社会党は衰退の一途。土井さんも不遇の時期に入ります。

ところが、この頃は「アメリカからの『押しつけ改憲』をおめおめと甘受したら、日本はトンデモナイことになるぞ!」と覚醒する日本人が激増し、本来の「自主憲法制定派」までが「現時点での『改憲』には反対」と声を上げるようになってきました(「現時点での憲法改正には反対」小林よしのり)。それとともに、土井たか子さんも再評価されつつあるようです。「やっぱり(あのウルサイ)土井さんは日本にとって必要な人だったんだ!」と。

憲法という「国の最高法規日本国憲法第98条)」を外国勢力(米国)の要請に従って蹂躙しようとしている人たちがいる。それも信念や確信に基づいてのことではなくて、単に「宗主国」アメリカへの機嫌取りくらいにしか思っていない「軽~い」人たちが「改憲」を叫んでいる。ここで彼ら彼女らを押し返さないと日本は大変なことになる! こういう激動の時代、「おたかさん」にはまだまだ活躍していただかなければ!


(『護憲派の一分』土井たか子、佐高信、角川書店、2007)


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投稿者 kihachin : 2007年06月06日 12:05

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