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2007年06月14日

『世界金融経済の「支配者」』

『世界金融経済の「支配者」―その七つの謎』東谷暁

世界金融経済の「支配者」―その七つの謎』著者の東谷暁さんは「現在もっとも信頼できる経済ジャーナリストのひとり」だとつねづね私(喜八)は思っています。

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エコノミストは信用できるか』(2003)では、日本の経済学者・エコノミストの多くが状況次第で自分の意見をコロコロ変える節操のない人たちであることを実証。『日本経済新聞は信用できるか』(2004)では、日本で唯一の経済専門全国紙が、やはり状況次第で意見を180度変える、信頼のおけないメディアであることを実証。『民営化という虚妄』(2005)では、いわゆる「郵政民営化」推進派の論拠が、いかにあやふやなものであるかを論破してきました。

と言うと、東谷暁さんは「左寄り」であると勘違いされる方もいらっしゃるかもしれませんね。けれども、違います。東谷暁さんはれっきとした「右派」論客です。西部邁氏が主催する雑誌『表現者』の編集委員をつとめ、小林よしのり氏の雑誌『わしズム』にたびたび登場し、産経新聞社発行の雑誌『正論』には連載コラムを書いています。

ただし、私の見るところでは、東谷暁さんは「いまどきの主流右派」とは一線を画しています。あえて言えば東谷さんは「正統右派」なのです。筋の通った保守の立場から、日和見エコノミスト・日和見経済新聞・日和見「民営化」論者を斬りまくってきた「サムライ(渡世人?)」が東谷暁さんなのです。

「いまどきの主流右派」と私が呼ぶのは、「とにかく日本はアメリカに従っていればいい」だけが唯一のドグマ(教義)である「対米隷従保守」の人たちです。本来なら彼ら彼女らを「主流」などとは呼びたくもないのですが、とにかく数だけは矢鱈《やたら》に多いので仮に「主流」としておきます。

この「対米隷従保守派」、小林よしのり氏の用語を借りていえば「ポチ保守」の方々は「とにかく日本はアメリカに従っていればいい」しか頭にありません。したがって、彼ら彼女らは日本の経済システムをアメリカ型に改変するのにも諸手を上げて賛成しています。いわゆる「新自由主義的」「市場原理主義的」なアメリカ式経済思想に基づく日本大改造に、つゆほどの疑いも抱きません。

「正統右派」である東谷暁さんは違います。アメリカ型「強きをたすけ弱きをくじく」弱肉強食経済システムを無批判・無節操に導入することは日本社会を根底から荒廃させるとして、真っ向から批判を繰り広げてきました。つまり東谷さんはアメリカに対して明確に「ノー」と言える保守論客なのです。このような「保守派」はいまの日本では、それほど多くはありません。

世界金融経済の「支配者」―その七つの謎』には東谷暁さんの経済記事が「プロローグ」「エピローグ」をふくめて9本収録されています。ひとつひとつは独立した記事ですが、緩やかに結合された「連作集」と見なすことができるでしょう。以下に各章の題名を挙げます。

プロローグ いま、世界経済では何が起こっているのか
第一章 M&Aは、世界経済を効率的に改造するか
第二章 世界金融を支配しているのは、本当にユダヤ人か
第三章 中央銀行という「世にも不思議な物語」
第四章 グリーンスパン前FRB議長は、「神さま」だったのか
第五章 アングロ・サクソン型経済は無敵なのか
第六章 中国経済は、アングロ・サクソン経済を圧倒するか
第七章 基軸通貨ドルが下落するのは、いつか
エピローグ 「運命の日」以後の日本経済

ここでは詳しい内容を解説する余裕がありません(と言うより、私にその能力がありません)。世界経済の動きと今後日本人が進むべき道について興味のある方は、ぜひとも『世界金融経済の「支配者」―その七つの謎』を手にとってみてください。さまざまな思考のためのヒントが「これでもか!」とばかりに盛り込まれた、素晴らしいコスト・パフォーマンスの1冊であることを保証します。

(『世界金融経済の「支配者」―その七つの謎』東谷暁、祥伝社新書、2007)


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投稿者 kihachin : 2007年06月14日 08:01

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