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2007年07月30日

ホームランド・セキュリティTシャツ

HOMELAND SECURITY FIGHTING TERRORIZM SINCE 1492


上の画像は「THE HOMELAND SECURITY T-SHIRTS」のホームページ(英語)からお借りしています。画像をクリックすると当該サイトにジャンプします。表示されたページ左下の「ENTER the WORLD...」をクリックしてください。

このサイトはネイティブ・アメリカンの内いわゆる「インディアン」の方により運営され、Tシャツをネット販売しています。そして上の写真とロゴは、現在の米国の在り方に対する、強烈きわまる「皮肉」になっているのです。

写真上部のロゴ「HOMELAND SECURITY」を直訳すれば「国土安全保障」です。これは、2001年09月11日に発生した「同時多発テロ事件」以来、アメリカ合州国で急速に発達した概念です。2003年01月には「国土安全保障省(DHS、Department of Homeland Security)」も新設されました。

建国の前から現在に至るまでほぼ途切れることなく戦争を行なってきた「戦争国家」アメリカ。その本土が初めて「敵」による直接攻撃の対象となった。衝撃のあまりに多くのアメリカ人が(大袈裟ではなく)半狂乱となり、「HOMELAND SECURITY(国土安全保障)」パラノイアとなった。

「同時多発テロ」直後に、テロ対策と称して悪名高い「愛国法」を制定し、テロ容疑者(多くはテロとは無関係の非キリスト教徒や非白人)を問答無用で拘束する。電話や電子メールの盗聴、ほぼ無制限の個人情報の収集など、まさに「やりたい放題」です(最近ではブッシュ大統領の支持率が低下するとともに「愛国法」への批判も高まっているようですが・・・)。

そんな主流アメリカ人たち(多くは白人)に「この程度でオタオタしないでくださいよ」と揶揄《やゆ》の眼差しを向ける。それが「THE HOMELAND SECURITY T-SHIRTS」の作者です。トップ画像下段の「FIGHTING TERRORIZM SINCE 1492」は「俺たちは1492年以来、テロリズムと戦い続けてきた」という意味です。

1492年とはコロンブスによるいわゆる「新大陸の発見」の年です。1492年10月12日、コロンブスの一行は西インド諸島に到達した。先住民にとって白人の到来はまさしく「大厄災」でした。1492年以降、白人による「開拓」「(先住民から見れば)侵略」が続き、南北アメリカ大陸で数千万人ともいわれる先住民が虐殺されました。驚くべきことに現在でも虐殺は続いています。

南北アメリカ先住民にしてみれば、白人こそが「テロリスト」だ。我々先住民は世界最悪のテロリストたちと1492年以降ずっと戦い続けてきたのだ。「THE HOMELAND SECURITY T-SHIRTS」には、このような強烈なメッセージが込められています。

写真に写った4人の男は北米先住民の中でも勇猛で知られたアパッチ族の戦士です。向かって右端の黒っぽいジャケットの男が歴史上もっとも有名なアパッチ戦士「ジェロニモ(ゴヤスレイ)」。この写真はジェロニモがアメリカ合州国政府に投降した1886年に撮影されたもののようです。

(白人の側から見た場合の)西部開拓時代末期にかけて抵抗戦を続けたジェロニモが率いた戦士はせいぜい数十人程度だったと言われています。そのジェロニモ隊を追うアメリカ合州国陸軍兵士は数千人以上。さらにはメキシコ陸軍もジェロニモ追撃に加わりました。

しかし、ただのひとりもジェロニモ隊戦士を逮捕または殺害することはできなかったのです。逆にアメリカ陸軍側には数百人以上もの死傷者が発生しました。そうして果敢に抵抗を続けたジェロニモでしたが、先にも書いたように1886年に米国政府に投降しました。軍事的に敗北したというよりは「居留地」に囲い込まれた先住民族の弱体化で抵抗の基盤が消失したのが投降の理由でした。

北米先住民から見たジェロニモ(ゴヤスレイ)は「悪魔のような白人侵略者=史上最悪のテロリスト」と勇猛果敢に戦い数々の勝利を収めた大英雄です。「THE HOMELAND SECURITY T-SHIRTS」の「FIGHTING TERRORIZM SINCE 1492(俺たちは1492年以来、テロリズムと戦い続けてきた)」とは、そういったメッセージなのです。

アメリカ白人が戦った有色人種には、ネイティブ・アメリカン、フィリピーノなどと並んで我々日本人の名も挙がります。アメリカ白人がもっとも「手を焼いた」有色人種はといえば、以上の3民族かもしれません。そして戦争国家アメリカが最大の人的被害をだした戦争は「対日戦争」でしょう。

北アメリカの先住民は先祖代々暮らしてきた大地を白人開拓(侵略)者たちに乗っ取られてしまった。民族としての名誉と尊厳を根こそぎ奪い去られ、アメリカ合州国「二級市民」のような扱いを受けている。私たち日本人はといえば国土の全てをアメリカ軍の監視下におかれ、「属国市民」として態よくあしらわれている。いまのところ待遇はアメリカ先住民よりは「マシ」なようだが、今後はどうなるか分からない・・・。

  • 白人ではない。
  • アングロサクソンではない。
  • キリスト教プロテスタントではない。
  • アメリカ白人を戦争やテロで殺害したことがある。

これらに該当する者は「アメリカの敵」にされやすい者たちだ。そして多数派日本人(およびネイティブ・アメリカン)は上の項目に該当する。おそらく「水に流す」などという観念はアメリカ白人にはないだろう。アメリカ白人にとって日本人とは今もって潜在的な「敵」であることは間違いない。ネイティブ・アメリカンの歴史は日本人の未来であるのかもしれない。「日本とアメリカは一心同体」などという「お花畑」的妄想ほど危険なものはないと私(喜八)は思う。

アメリカに占領され続けている「日本」を祖国とする私はアパッチ戦士ジェロニモに強烈なシンパシーを覚えます。自由のために圧倒的な敵と対峙し身命を賭して戦い続けた男に畏敬の念を覚えざるを得ないのです。


(※「THE HOMELAND SECURITY T-SHIRTS」のことは『悪あがきのすすめ辛淑玉、岩波新書(2007)で知りました。143頁)


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投稿者 kihachin : 2007年07月30日 20:13

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