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2007年08月19日

佐藤正久氏への公開質問状(転載)

佐藤正久氏


弁護士ら約150人が「ヒゲの隊長」こと佐藤正久参議院議員に送った「公開質問状」を、杉浦ひとみ弁護士のブログから転載させていただきます。

(※杉浦ひとみさんのブログには他に「小泉純一郎氏への公開質問状」と「安倍晋三氏への要望書」が掲載されています)


★引用開始★

公開質問状

 2007年8月16日

参議院議員佐藤正久殿

 私たちは、平和を希求し、あらゆる戦争を廃絶することを願っている市民の有志です。

 貴殿は、集団的自衛権に関する政府の有識者懇談会に関するJNNの取材に対して、イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官だった立場から、当時現場では、事実上の「駆けつけ警護」を行う考えだったことを明かしました。

 JNNの取材結果を伝えるTBSニュースによると、貴殿は、「自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」と述べた上、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだったと説明し、その理由として、「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」と発言しています。

 上記報道が正しければ、貴殿の言う「巻き込まれる」行動は、外形的には、正当防衛・緊急避難の状況下での攻撃を導くものですが、それは意図的に緊急状態を作出したうえでの攻撃であり、実質的には、正当防衛・緊急避難の要件を満たさず、自衛隊法に違反するばかりか、憲法9条をないがしろにするうえ、自衛隊派遣の国会決定の意図を超えた行動を行うものでありシビリアンコントロールをも無視する許し難い行為というほかありません。

 しかも、貴殿は、「日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろう」と発言しているとおり、貴殿は「巻き込まれる」行為が違法であることを認識しつつ、法を犯す決意でいたことは明白です。

 そこで、貴殿に対し、次のとおり質問します。
 
 1)TBSのニュースでの貴殿の発言は報道のとおりで間違いないでしょうか。
 2)その場合、貴殿は、貴殿の予定していた「巻き込まれる」行動を現在でも肯定しますか。
 3)なぜ、貴殿は、巻き込まれてまで攻撃しようとしたのですか?その狙いは端的に何なのでしょうか。
 4)貴殿の予定していた「巻き込まれる」行動は、違憲違法なもので、シビリアンコントロールにも反するものだと思われますが、貴殿は違憲違法なもの、シビリアンコントロールに反するものだと考えますか。考えないという場合、その根拠をお示し下さい。
 5)貴殿は、国会議員として、自衛隊が海外に派遣された場合、今後も、「巻き込まれる」行動をとることに賛成しますか。
 6)「巻き込まれる」行動によって攻撃を開始すれば、当然、貴殿の部下の生命が危険にさらされることになりますが、自衛隊法に違反してまで、現地の部隊長の判断で部下の生命を危険にさらす行為について、貴殿は肯定されるのですか。
7)満州事変のきっかけとなった柳条湖事件は、旧日本軍の関東軍が自ら南満州鉄道の線路を爆破しながら、中国側の犯行だとして、中国東北地方の占領を開始する口実としたものですが、貴殿の予定していた「巻き込まれる」行動は、まさに柳条湖事件を彷彿させます。貴殿は、柳条湖事件の関東軍の暴走についていかに評価しますか。

★引用終了★


以下ふたたび喜八

佐藤正久氏の「巻き込まれ警備」発言を知ったとき、私が最初に思ったのは「なんて、口の軽い人なんだろう」ということでした。

これって「軍人」としては「墓場まで持っていかなくてはならない」はずの機密事項ではないでしょうか? たとえ「敵」に捕らわれて拷問にかけられようとも、絶対に漏らしてはいけない秘密でしょう。それをペラペラとマスコミに話してしまうとは!

(※もちろん「巻き込まれ警備」自体が自衛隊法・憲法違反のトンデモナイものであることは言うまでもありません)

  • 佐藤正久氏は自分を「大物」に見せたいという虚栄心を抑えることができなかったのだろうか?
  • 形《なり》はいかにも「サムライ」風の佐藤氏だが、その実は単なる「軽薄才子」ではないのか?
  • こんな人(軽薄才子)が「隊長」では、ともにイラクに派兵された「部下」の自衛官たちは大変な迷惑を蒙《こうむ》ったのではないか?
  • こんな人(虚栄心が強く口が軽い)が「参議院議員」で日本は大丈夫か?

私(喜八)は強く疑ってしまいますね。

佐藤正久氏に関してはまた別のエントリで触れたいと思っています。現在、佐藤氏の著書『イラク自衛隊「戦闘記」』をドロナワ式に読んでいるところです)

なお、この件に関しては志葉玲(シバレイ、フォト・ジャーナリスト)さんのブログ記事がとても参考になります。

 「民主主義にケンカを売った「ヒゲの隊長」の問題発言

 だが一方で、佐藤発言がどこまで本気のものなのか、疑問な点もある。佐藤氏がサマワでの任務についていた04年1月から8月の間、オランダ軍は死亡者も出す激しい衝突をサドル師派民兵との間で繰り返していた。それにも関わらず、佐藤氏の勇ましい言動とは裏腹に、彼の指揮下にある自衛隊員がオランダ軍兵士と「共闘」する場面は最後までなかった。だから、今回の発言も「パフォーマンス屋のリップサービス」と言う部分もあったのではないか、と私は観ている。
 陸自イラク派遣部隊の先遣隊および第一次イラク復興業務支援隊の隊長としてメディアの注目を集めた佐藤氏は、軍人というよりも、むしろスポークスマンであり、パフォーマーであった。アラブ民族衣装を着て地元テレビに出演、現地の人々に「パフォーマンスはいいから復興支援の仕事をちゃんとしてくれ」と失笑されるなど、時にはパフォーマンス先行という様相さえあった。ともかく、活動の実態はさておき*、日本およびサマワ現地での自衛隊イラク派遣に対しての警戒感を和らげ、理解を得るのが、佐藤氏の役割だったのである。
*拙著「たたかう!ジャーナリスト宣言」(社会批評社)で自衛隊のサマワでの活動のお粗末ぶりの一端について触れているので、ぜひご一読いただければ。
 佐藤氏の参院への初登院の様子も観たが、さすがに自衛隊の制服は着ていなかったものの、国会に対して敬礼するなど、旺盛なパフォーマンス精神は健在のようだった。今回の「自ら巻き込まれて応戦」発言も、「駆けつけ警備」を認めさせたい政府に媚びたリップサービスだったのかもしれない。しかし、例えそうだとしても、あまりに軽薄で無神経な発言であり、やはり国会議員としての資質を欠くと批難されてしかるべきだろう。

(※上記ブログ記事より一部引用)

う~む、なるほど。「佐藤氏は、軍人というよりも、むしろスポークスマンであり、パフォーマーであった」と考えると、諸々の点に納得がいく・・・。だが、そういった人が紛争地帯に派遣された部隊の「隊長」であったかと思うと、慄然とせざるを得ませんね。「パフォーマー」に率いられた自衛官たちが、もし現実の戦闘に巻き込まれたら? 想像するだけで身の毛がよだちます。

最後になりますが、志葉玲さんはイラク取材経験も豊富で、なんと!米軍に逮捕拘禁され拳銃を突きつけられたこともあるという若きジャーナリストです。私(喜八)はシバレイ氏のことを(勝手に)「反虐殺思想」の仲間だと思っています。


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投稿者 kihachin : 2007年08月19日 10:15

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