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2007年10月18日

植草一秀『知られざる真実』より

『知られざる真実 勾留地にて』植草一秀
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植草一秀さんは「小泉・竹中政権」の政策をもっとも厳しく一貫して批判してきたエコノミストです。しかも植草さんは旺盛な執筆活動のかたわらテレビにも頻繁に出演していたため、大きな社会的影響力を持っていました。不可解な「事件」の前までは・・・。

植草一秀さんの近著『知られざる真実 勾留地にて』イプシロン出版(2007)から気になった部分を抜書きしてみました。引用文中「」は植草さんです。なお、太字の「見出し」とページ数の表示は私(喜八)が便宜的につけました。

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★引用開始★

 【郵政民営化を渇望したのは米国】(47-48頁)

 小泉政権発足後の2年間で日本の株価は半値に暴落した。地価も同様だ。不良債権の処理加速とは、具体的には企業の破綻推進と銀行における不良債権の内部処理を意味した。貸出先企業の状況が危なくなる時、銀行は企業破綻に備えて内部処理を進める。具体的には「引当金」を積み立てる。貸出金と同額を積み立ててしまえば貸出先が破綻しても追加の資金負担は発生しない。銀行は内部処理を終えた債権をまとめて外部に売却する。「バルクセール」と呼ばれる。
 景気の深刻化、企業倒産の広がり、銀行の貸し渋りなどにより、日本企業の資金力は枯渇した。この時期に小泉政権は海外諸国に「対日直接投資倍増計画」を政策公約として示した。日本政策投資銀行などの政府系金融機関が資金援助して外国資本による日本の実物資産底値買い取りを積極的に支援した。
 生命保険、損害保険、銀行などが次々に外国資本の手に渡った。郵政民営化を渇望したのは米国だ。米国は郵便貯金、簡易保険の350兆円の資金に狙いをつけ、米国の意向を反映した民営化法案を小泉政権に策定させた。日本の金融市場開放と競争促進政策は方向として間違っていない。だが実行に際しては日本国民の利益を優先するのが当然だ。私が異を唱えたのは、小泉政権が日本国民の利益でなく、米国政府や米国企業の利益を優先したことだ。


 【郵政米営化】(113-114頁)

 日本企業の資本力が枯渇したなかで、「ハゲタカファンド」は安心して日本を買い漁った。「安心」の根拠は彼らが入手した極秘情報にあったと考えられる。「ハゲタカ」は6、7年で売り逃げる「出口戦略」を描いて日本買占めを実行した。彼らはいま「収穫祭」を迎えている。
 最後の標的が「郵貯・簡保」と「医療保険」だ。1993年のクリントン米大統領・宮澤首相会談の結果、「対日年次規制改革要望書」が生み出された。94年以来、毎年発表されてきた日本の制度改革に関する米国政府の要望書だ。その全文を米国大使館HP(ホームページ)で閲覧できる。文書の存在は関岡英之《せきおかひでゆき》氏の著書『拒否できない日本』(文春新書)によって世に知らされた。
 「規制改革要望書」と「郵政民営化政策」の関わりを私も指摘した。2003年、2004年の年次改革要望書で米国が最も強く要求した項目が「郵政民営化」だ。規制改革要望書は露骨な内政干渉の文書だ。植民地支配を彷彿《ほうふつ》させる。  米国は350兆円の郵貯・簡保に狙いを定めて収奪に乗り出した。日本には郵政に「私的怨念=ルサンチマン」を抱く小泉純一郎首相が在任した。小泉首相は政治活動の大半を「大蔵族」議員として行動した。「郵政民営化」は大蔵族議員の庇護《ひご》下にある銀行業界の永年の悲願だった。「郵政民営化」は小泉元首相の私的怨念、銀行業界の熱望、米国の対日金融収奪戦略の「三位一体」の意思によって推進された。


 【隷属外交】(104-105頁)

 米国が日本にとって最重要の国であることは、日本が米国の言いなりになるべきことを意味しない。日本は良心と尊厳を失うべきでない。小泉首相は2006年6月に訪米した際に、エルビス・プレスリーの旧宅を訪問し腰を振って踊った。国賓《こくひん》として来日し石原裕次郎記念館でモノマネをして踊る外国元首はいない。批評家のビル・トッテン氏はテレビで、「ローマ帝国の時代、白人社会には貴族がパーティーで素直な奴隷を皆に紹介する習慣があったが、それに習ったのでは」との辛辣《しんらつ》なコメントを発した。小泉政権時代の日本外交は「隷属外交」だった。


 【テレ・ポリティクス】(165頁)

 小泉政権は政治におけるテレビ・メディアの威力を見抜き、最大限に活用した。シュミット元西独首相が「テレビ・メディアの浅薄《せんぱく》さが政治を覆っている」と看破した、近年日本の軽薄な文化風土が、テレビを操り大衆を扇動する「テレ・ポリティクス」を可能にした。テレビに登場する顔ぶれが固定化された。政権応援団を自認する者が報道番組を占拠《せんきょ》し、政権を批判する論客が排除された。


 【法務省職員】(201頁)

 東京拘置所職員の仕事を大変だと感じた。勤務時間も不規則で仕事も厳しい。それでも温かな心を持った方がいた。警察や検察は組織として人権に対する意識が非常に低いと思うが、法務省職員の中には人としての温かみを感じさせてくれる人がいた。人間は心の生きものである。人間としての心を忘れないことが大事だと実感した。公務員制度の改革について述べたが、高級官僚の特権が問題なのだ。善良な一般公務員の問題にすり替えてはならない。


 【冤罪を防ぐ】(209-210頁)

冤罪《えんざい》は今後も生まれると思う。冤罪を防ぐ方策が不可欠だ。5つの提案を記す。第一は、取り調べでの脅迫、拷問《ごうもん》を排除することだ。東京地検地下にある警視庁同行室への押送《おうそう》、逆送《ぎゃくそう》も拷問の一種と言って差し支えない。第二に、否認する被告人に対する不当な長期勾留《こうりゅう》を排することだ。長期勾留に伴う多大な不利益が事実に基づかない自白を生み出す強い誘因になる。第三は被疑者の署名や指印のない警察官の一方的な供述に証拠能力を認めないことだ。存在しない会話が創作されて証拠として採用されるなら、国民は警察権力の思うままに犯罪人に仕立て上げられてしまう。第四は、取り調べに録画、録音を義務づけることだ。密室での取り調べには客観的な監視が絶対に必要だ。第五は刑事裁判における「疑わしきは罰せず」の根本原理を確実に遵守することだ。
 日本の刑事裁判における有罪率は99・9%に達する。「疑わしきは罰する」に等しい実務が横行している。被告人が否認する事件でも有罪率は97%だ。「それでもボクはやっていない」を制作した周防正行監督は外国特派員協会での講演で、英国での否認事件の有罪率が約50%であることを紹介した。日本の刑事裁判の異常さを数値が示している。いわれなき犯罪の訴追から市民を守り、無実の者が誤って処罰されないように、刑事裁判は「疑わしきは被告人の利益に」の原則を採用したはずだった。有罪に合理的な疑いがあれば、罪に問われた者は無罪が鉄則である。この大原則が踏みにじられている。

★引用終了★


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(『知られざる真実 勾留地にて』植草一秀、イプシロン出版、2007)


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投稿者 kihachin : 2007年10月18日 12:06

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