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2008年01月22日

『生き地獄天国』

『生き地獄天国―雨宮処凛自伝』
このごろは
雨宮処凛さんのことを「プレカリアートのマリア」と形容する向きもあるのだとか。どうやらこれは朝日新聞による命名のようです(「雨宮処凛 すごい生き方ブログ 2007,06,19」)。

私(喜八)の見るところでは「マリア」というのは、どうも雨宮さんのガラではありません。むしろ「観音菩薩」あるいは「マリア観音」の呼称が似合いそうな雨宮処凛さんです(「敵」にとっては「鬼子母神」か?)。

「雨宮処凛のロリータ・ファッションは甲冑《かっちゅう》だ。戦闘服なのだ」という意見もあるみたいです。これは正鵠《せいこく》を射ていると思います。悪意むき出しの輩《やから》が闊歩する「娑婆」に討って出るための鎧《よろい》としてのロリータ。雨宮さん自身も以下のように書かれています(「webちくま」反撃タイムズ第5回より一部引用)。

私がロリータを始めたのは26歳頃(微妙だ)。物書きになりたての超世間知らずだった当時、私を悩ませていたのは一部マスコミ関係者のセクハラだった。いきなりフリーターから物書きになって右も左もわからない中、よく知りもしないマスコミの人と2人っきりで飲むなんてことが多々ある。そうして、自分の身は自分で守らなければならないことを痛感した。何かセクハラを未然に防ぐ手立てはないものか……。そこで思い付いたのが、「そうだ、変な格好をすればいいんだ!」ということだ。

すると「効果はテキメン。セクハラ被害は激減」したそうです(よかったですね!)。ただし、「道を歩いていてもキャッチセールスや宗教の勧誘にさえあわなくな」り、「とにかく誰も話しかけてこない」、さらには「好きな男にも相手にされなくなった」という副作用もあったようですが・・・。

本書『生き地獄天国』は、そんな雨宮処凛さんの「自伝」です。2000年、25歳の雨宮さんの「処女作」として大田出版から刊行され、今回めでたく「ちくま文庫」の1冊として復刊されることとなりました。

内容は「凄い」の一言です。

1歳からのアトピー性皮膚炎、小学生からのイジメ被害、反動としてのイジメ加害、誘拐未遂(誘拐されかけたのではなくて、加害者になりかけた!)、14歳からはビジュアル系バンドの追っかけ、“ファック隊”への昇格、乱交、麻薬、シンナー、家出、カツアゲ、万引き(プロ級)、登校拒否、家庭内暴力、リストカット、19歳での服毒自殺未遂と胃洗浄、プレカリアートとしての貧乏生活、度重なるクビ(解雇)、新右翼団体に参加、民族派パンクロックバンド「維新赤誠塾」結成、北朝鮮旅行、ガサ入れ、イラクに渡航し国際音楽祭に出演、映画『新しい神様』主演等々、「これでもか!」とばかりの怒涛の青春記です。

でも、読後感はじつに爽やかなのですね。「ヨイショ」とかそういうことではなくて、『生き地獄天国』は本当に素晴らしい本だと思う。雨宮処凛さん自身によると、『生き地獄天国』を読んで「ひきこもり」から脱出した若者が何人もいるそうです。「そういう意味では、この本は不思議なパワーを持っている」。なるほど、きっとそうなのでしょう。

私(喜八)は『生き地獄天国』を読むことによって、「じつは自分自身がかなりダメな奴だった!」ということに気づきました。普段はなるべく見ないようにしている「ダメ人間という『現実』」。これに向き合うだけのパワーを本書は与えてくれたようです。そして「ダメでも別にいいジャン。好きなように生きればいい」と開き直る気持ちになれました。というわけで、雨宮処凛さんの『生き地獄天国』は、私にとっても「特効薬」となりました。


(『生き地獄天国―雨宮処凛自伝』雨宮処凛、ちくま文庫、2007)



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投稿者 kihachin : 2008年01月22日 12:45

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