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2008年03月27日

国家主義者

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質問
地下鉄サリン事件当時のオウム真理教の信者は射殺されてしかるべき「狂信者」ですか?


上は敬愛する「そいつは帽子だ!」の gon さんからTBしていただいたブログ記事「すべての国家主義者はこの質問に答えてからその言論活動を行いたまえ」の核心部分です。

はたして私(喜八)が一般的な意味で「国家主義者」といえるかどうか? gon さんが上の質問を私に(も)向けて発しているのかどうか? 判然とはしませんが・・・。とても興味深い問題提起だと思いますので、自発的に回答させていただきますね。

さて「国家」について私は佐藤優さん(起訴休職外務事務官・作家)の次のような定義を全面的に採用しています。

「国家はロクなものではない。それは本質的に『悪』である。しかし、それでも国家は必要なのだ。必要悪なのだ」

毎度毎度、佐藤さんの「思想」に頼るようで恐縮ですけれど・・・、もともとノンポリの私は「国家」について考えることもほとんどなかったので、とにもかくにも「国家は必要悪」説にのっとってブログ(およびリアル)活動を展開しています。

「国家(警察・軍隊)」など必要ない」というアナーキズム(Anarchism)的な世界観は心情的には分からないではありません。しかし、実際に国家が退場してしまえば、その後に来るのは国家より遥かに悪いものだろうと考えます。

人間の本質は「善」であり「悪」である。全ての人間は、どんなに「良い人」であろうとも、世間からは「聖人」とみなされるような人であっても、彼(女)の内部に確実に「悪」を持ち合わせている。これが私の人間観です。キリスト教でいう「原罪」に近い考え方かもしれません(私はキリスト教徒ではありませんが)。

「悪い人」に関して言えば、たとえば拷問・略奪・放火・強姦・虐殺を行なう「武装勢力」のメンバーは特殊な人たちではないと思います。彼ら彼女らの多くは文字通りの「一般人」でしょうね。あるいは第二次大戦時「絶滅収容所」で働いていたドイツ人・ポーランド人職員。彼ら彼女らの大部分も「普通の人たち」であったはずです。

ひとりひとりの人間は必ず「悪」の部分を持っている。その悪を顕在化させないためには、「好き嫌い」は別にして、「力」による統治が必要となる。そして統治を行なうのは「国家」であったほうが「まだマシ」だろう。宗教団体・思想集団・企業などの統治よりは近代国家統治のほうが、まだ悪をなす可能性が低い(ほんのわずかの違いかもしれないけれど)。このような意味において「国家は必要悪」だと考える(たぶん)私は「国家主義者」なのでしょう。

力による統治ということでは、「阪神淡路大震災」の際に聞いたあるエピソードを思い出します。あのとき大勢の被災者が学校の体育館などに避難しました。そして多くの避難所の中で「某広域暴力団」が仕切っているところは秩序がよく保たれていた。しかし、それ以外の避難所では「強い者が弱い者を押しのける」ような状態になっていたところもある、ということでした。

具体的に言えば、災害支援品としてガス式カートリッジコンロなどが支給されると、働き盛りの男性がいる家族が我先にと確保してしまい、母子家族・高齢者世帯・障害者世帯は後回しにされたという話でした。これが事実であるかどうか私には確認しようはありません。でも「さもありなん」とは思います。「人間とはそういうものだ」という諦観が私にはあります。

もちろん、国家そのものが「悪」の主体となり、個人には為せないような巨大な悪を行なうことも珍しくはありません。侵略戦争やマイノリティの虐殺などはその最たるものでしょう。だから国家はロクなものではありません。ひとりひとりの人間が必ず「悪」の部分を持っている以上、国家が本質的に「悪」を内在しているのは明らかです。しかし、国家がなくなってしまえば、少なくとも現時点では「より悪しきもの」が来る可能性が高い。国家は必要悪だ。

なんて「前置き」が長くなりましたが・・・(汗)。gon さんの質問にそろりそろりと答えていきましょう。

地下鉄サリン事件当時のオウム真理教の信者は射殺されてしかるべき「狂信者」ですか?

「狂信者」であるからと言って「射殺されてしかるべき」ということにはならないでしょうね。そもそも「狂信者」の定義がきわめて難しい。たとえば「科学的社会主義者・無心論者」から見れば、仏教・キリスト教・イスラム教・ヒンズー教・ユダヤ教など全ての宗教信者は「狂信者」となるのではないでしょうか。「神様なんていない」と信じる無神論者にしてみれば、いないはずの神様を信じる宗教信者は「狂信者」に違いない(となるはずです)。

逆に全ての宗教信者から見たら「無心論者はトンデモナイ妄念に取り付かれた『狂信者』」となるでしょうね。つまり、宗教信者と無心論者はお互いにお互いを「狂信者」と認定しあっているという構図です。正直に言うと私は「全ての人間は狂信者の面をもっているのではないか?」と思っていますが、これはこれで偏頗《へんぱ》な人間観かもしれません・・・。

というわけで gon さんのご質問への回答は以下のようになります。

地下鉄サリン事件当時のオウム真理教の信者」のうち犯罪にかかわった者たちは法の定めた手続きに従って厳正に処罰されるべきである。それ以外の(大部分の)信者に関しては無闇に排除されるべきではない。たとえ、他者からはどんなに馬鹿げているように見えても「信仰の自由」は守られるべきだ。

ついでに言っておくと、これは「ヒューマニティ」に基づく主張などではありません。「宗教弾圧」の社会的コストはあまりに大きい。したがってオウム信者を社会から全排除しようとすれば、社会そのものに大きなダメージが生じる。だから、そんな「骨折り損のくたびれもうけ」みたいなことは止めておいたほうがいい。こういう相当に醒めた判断です。

さて、gon さんの質問の後半部分に答えます。

それともアサハラに騙された一般の「被害者」ですか

これは難しいですね。実際に犯罪の実行犯となった信者たちは「加害者」であると同時に「被害者」でもあるという面を持っているでしょう。しかし、それ以外の信者たちのことはどう考えるべきか?

信者の中でも特に「幹部」の中には教団が犯罪に手を染めていることに気づいていた者たちもいただろうと思います。そして一般信者であっても「薄々気づいていた」個人も少なくはなかったでしょう。一方、ぜんぜん気づかなかったり、教団幹部の「我々こそが被害者である」という主張をまったく疑わなかった信者も大勢いたでしょう。

彼ら彼女らは「被害者」なのか? それとも「加害者」なのか? これは一概には言えないと思います。

確実に言えるのは、「加害者」であるという証明がされない限り「推定無罪の原則」が適用されなければならない、ということです。こういうことを言うと「喜八の奴がまたキレイゴトを抜かしている」と思われる方もいらっしゃるとは思います。しかし、これは「奇麗ごと」などではありません。「推定無罪の原則」が守られないような社会は結局のところ我々にとって好ましいものではない。それどころか大変な厄災を齎《もたら》しかねない危険な社会であるという認識からくる「醒めた判断」であります。

一般に「人権」の問題に関しては甘い考え方の持ち主が多いように私(喜八)には思えます。「人権を守れ」という主張は、つまるところ「自分自身がぶっ殺されたくない」からなされるわけです。人類の歴史を振り返れば「強い者」たちが「弱い者」たちを好きなように殺戮するケースがあまりに多かった。しかし、自分や家族・友人が「ぶっ殺される」のはかなわない。だから、強い者が(自分とは直接関係なくても)弱い者を殺すのを放置しておくことはできない。結局のところ人権問題とは「生きるか死ぬか」の問題なのですね。だから仮りに「人権なんてどうでもいい」と仰る方がいたとしたら、その人は自分や家族・友人がいきなり「ぶっ殺され」てもかまわないと主張しているのと同じです。

オウム信者の方々に私は一切のシンパシーを覚えません。しかし、オウム信者を全排除しようと試みるのは、我々が暮らす社会を根底から歪めかねない危険な行為だと判断します。人権問題とは「命の問題」であり、私自身・家族・友人の命を守るためには、他の者の人権が抑圧されるのを座視していてはいけないのですね。正直なところヘタレで怠惰な私(喜八)にとっては結構面倒くさいことではありますが、もし強い者が弱い者を圧殺しようとしたら(実際にしたら)、そのたびごとに「ノー」の声を上げなければならないと思っています。


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投稿者 kihachin : 2008年03月27日 12:20

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