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2008年05月30日

『貧困と愛国』

『貧困と愛国』雨宮処凛・佐高信
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貧困と愛国雨宮処凛佐高信、毎日新聞社(2008)から「なるほど!」と思った部分・思わず笑ってしまった部分を引用させていただきます。

まずは、今や「プレカリアート運動」の象徴的存在となっている雨宮処凛さんに佐高信さんが「労働運動をしていると『右翼』が来ませんか?」という意味の質問をするところから(『貧困と愛国』66-67頁)。


★引用開始★

佐高──昔のようにスト破りで右翼が来たり、支援者の雨宮さんに対して危害を加えるとか、そういうのはない?

雨宮──それはないですね。いまの運動は思想的な運動ではなくて、本当に食えない若者が立ち上がってやっているので、そうなると右翼の人たちも、私のところに若者の雇用問題について教えてほしいとか、話を聞きに来たりするんですよ。右翼の人たちこそ怒るべきだと私が言うと、「日本人の若者がこれほど希望の持てない難民になって、ホームレスになっていることに対して、なぜみんな怒らないんだ」と一緒に怒ってくれることもあります。しかも私の知っている右の人は本来、反グローバリズムですから、そういう意味では右の人にも期待できる。いまの運動は労働運動ですらなくて、生存運動みたいになっているので、食わせろ、生きさせろということに左右は関係ないと思います。

★引用終了★


ここで解説しておきますと、以前はバリバリの右翼(民族派)団体に所属していたこともある雨宮処凛さんの右翼人脈は全て「反米右翼」なのだそうです。いわゆる「親米右翼」の知り合いはいないらしい。これは雨宮さん自身が本書の別の箇所で発言しています(このエントリの中で後に引用します)。

なるほど。真の愛国派が「日本人の若者がこれほど希望の持てない難民になって、ホームレスになっていることに対して、なぜみんな怒らないんだ」と怒りの声を上げるのは当然といえば当然過ぎる話です。とはいえ「自称:愛国者」の中には、困窮する若者たちを「自己責任」というマジックワードであっさり切り捨て、米国発のグローバリズム(やらずぼったくり強欲非道エセ資本主義)の手先としか思えない発言を繰り返している者もいる。そんな人物が雨宮さんのことを批判しても、私(喜八)にしてみれば、「お笑い」としか思えないのであります。

さて、以下は「親米右翼」と「反米愛国」に関する部分です(本書169-170頁)。


★引用開始★

佐高──そもそも日本の右翼のなかで、反米愛国という立場は少ないですよね。
雨宮──そうなんですか。私は反米愛国の右翼としか会ったことがないんですよ。
佐高──雨宮さんの本に、池子の米軍住宅反対の行動に出かけて行った話が出てきますね。それで逆に右翼から攻撃される。右翼が右翼を攻撃する。たぶん、いわゆる戦後民主主義的な左派のなかに、池子の米軍住宅建設に反対した右翼がいるということは視野に入っていないと思う。
雨宮──私は親米右翼の人とは会ったこともつき合いもないので、どういう人たちがどういう主張をしているのかまったくわからないというか、理解不能なんですよ。親米右翼の人たちは本当に右翼なのか、右翼と呼んでいいのかという問題にもなってくる。
 このあいだ小熊英二さんと対談したんですが、小熊さんは真の右翼であればいまの日本のこの状況を見て「畏《おそ》れおおくも陛下の赤子《せきし》であるところの日本の若者がワーキングプアになって、ネットカフェ難民にまでなっているのはすべておまえの責任だ」と言って安倍を射殺するんじゃないかと言っていて、本当にその通りだと思うんですよね。

★引用終了★


ここでまた解説を入れますと、引用文中で佐高信さんが「雨宮さんの本」と言っているのは『右翼と左翼はどうちがう?』河出書房新社(2007)です。この本に掲載されているインタビューで民族派団体「統一戦線義勇軍」議長の針谷大輔さんが「池子の米軍住宅反対の行動に出かけて」「それで逆に右翼から攻撃され」た経験を語っています。

小熊英二さん(社会学者、慶應義塾大学助教授)の発言には思わず笑ってしまいました。しかし、私(喜八)は「反テロリズム」に組する者でありますから「安倍を射殺」はやめておきましょうよ、と言いたい(笑)。安倍晋三氏には「苦闘する日本の若者の力となることこそが『真の愛国政治家』への道であり、安倍さんの『再チャレンジ』の要諦であります!」と進言したい。要は安倍氏を「敵」として切り捨てるのではなくて、できるものなら「味方」にしたい、という戦略です(幼稚で甘すぎる見方かもしれませんが・・・)。

以前、「喜八ログ」でも紹介しましたが(「沖縄・女子中学生暴行事件」)、小熊英二さんは、1995年09月04日、沖縄の在日米軍兵士3名が12歳の女子小学生を集団強姦した事件(沖縄米兵少女暴行事件)が発生したときインドに滞在しており、インド人の知り合いから「なぜ、このような事件がおきたのに、日本の右翼は日本刀を引っさげて米軍基地に乗り込まないのか?」と不思議がられたというエピソードを書かれています(『日本という国』小熊英二、理論社、2006)。

雨宮処凛さんが紹介している小熊英二さんの「畏《おそ》れおおくも陛下の赤子《せきし》であるところの日本の若者がワーキングプアになって、ネットカフェ難民にまでなって~」発言と「沖縄・女子中学生暴行事件」に関するエピソードには共通するものが大きいように感じます。そこにあるのは無垢《むく》と形容するのがふさわしい純粋な「愛国感情」でしょう。なお、小熊英二さんのことを「左派」とか「サヨク」とかいう向きもあるようですが、これは「勘違い」ではないかと思います。小熊さんの大著『〈民主〉と〈愛国〉』新曜社(2002)の中でもっとも共感をもって描かれている人物は故・江藤淳氏ですから・・・。

さらに『貧困と愛国』からもう一箇所引用します。これは「右」とか「左」とかには関係のない、雨宮処凛さんの発言です(本書188頁)。


★引用開始★

雨宮──以前、片山さつきさんと話したとき、彼女は、フリーターやニートを工場で働かせても、あの人たちはすぐ辞めちゃうとか言うんですが、その下にはもっと大変な状況で働いている外国人がいるのにみたいな言い方もする。ああいう立場の人がそう言ってしまうことも非常にヤバいなと思います。

★引用終了★


これに関しては立場上「ノーコメント」とさせていただきます(笑)。読者の皆様がそれぞれに判断されてください。いわゆる「高卒」の雨宮処凛さんと「東大法学部卒」の片山さつきさんのどちらが、より良識があるか? 地アタマがいいか? より気高い人物であるか? 一目瞭然ではありますね・・・。


(『貧困と愛国』雨宮処凛・佐高信、毎日新聞社、2008)


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投稿者 kihachin : 2008年05月30日 12:04

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