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2008年06月05日

いまさらながら「赤木問題」

『若者を見殺しにする国』赤木智弘
若者を見殺しにする国』赤木智弘


「赤木問題」とは赤木智弘さん(フリーライター)が月刊誌「論座」2007年01月号で発表した論文『「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。』を嚆矢《こうし》とする数々の論争・批判をまとめて、こう呼ぶようです。

希望は、戦争」。赤木智弘さんのこの論文は大きな反響を呼びました。「論座」2007年04月号では福島みずほ(社民党代表)・佐高信(作家)・斎藤貴男(ジャーナリスト)・森達也(映画監督・作家)・若松孝二(映画監督)・奥田紀晴(「赤旗」編集局長)。鶴見俊輔(哲学者)・吉本隆明(思想家)・鎌田慧(ノンフィクション作家)という錚々《そうそう》たる面々が反論。それに対して赤木さんが『けっきょく、「自己責任」 ですか 続「『丸山眞男』を ひっぱたきたい」「応答」を読んで──』と再反論。

・・・まあ、この辺は「論座」編集部による「マッチポンプ」臭いのですが、その後も雑誌メディアやインターネットを中心に「赤木問題」は論争の的になりました。赤木智弘さん自身が加わった論争、および第三者間の論争、単なる冷笑・罵倒、「2ちゃんねる」のスレッド・・・。さらには赤木智弘さんを批判する掲示板なども設置されたようでした。「ネット上の論戦」には赤木さん自身も参戦し、各所のブログコメント欄に出没されていたようです。

「論争」においては、当然のごとく、赤木智弘さんに賛同する人・反対する人がいたわけですが、「反対する人」の声が圧倒的に大きかったのではないか? という印象でした。特に「リベラル派」「左派」からの拒否反応には凄いものがありました。実際、知り合いの「リベラル派」「左派」に「赤木智弘さんの意見をどう思うか?」と尋ねたところ、厳しい批判的意見を聞くことが多かったのです(ちなみに「伝統保守派」「右派」の知人に同じ質問をすると「赤木って誰?」「興味なし」という人がほとんどでした)。

とはいえ、赤木智弘さんの意見に賛同した人、強く心を動かされた人もけっして少なくはありません。特に赤木さんと同世代の「フリーター」や「派遣労働者」には「赤木シンパ」といえる層が形成されていきました。現在の日本社会は一見したところ平和で安定しているようだけれど、その平和・安定は一部の人たちの大きな犠牲の上に成立しているという赤木さんの指摘は、実際に犠牲になっている人には「まったく、その通り」と肯《うなず》くしかないものだったのでしょう()。

※実際、赤木智弘さんの主張には「たしかに正論だ」と思える部分が少なくありません

と、ここまで「見てきた」ように書いてきましたが、私(喜八)は「赤木問題」の初期をリアルタイムで見聞したわけではないのですね。朝日新聞社の「論座」は、なんとなく私の体質に合わないというか、一度も購入したことがなく、ごくごくたまに(数年に1回程度)図書館でざっと眺めるくらいの雑誌です。というわけで「赤木問題」を知ったのは、2007年も08月になってからのことでした。

雨宮処凛さん(作家)と福島みずほさんの対談本『ワーキングプアの反撃』七つ森書館(2007)において雨宮処凛さんが「赤木智弘さん」に言及しているのを読んで、初めて「赤木問題」を知ったのです。そしてネットで検索して、赤木さん自身がアップした『「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。』を見つけました。というわけで、私(喜八)は最初から、赤木智弘さんのことを雨宮処凛さんの目を通して見ていることになります。

その「雨宮処凛さんの目」とは、どのようなものか? 雨宮さんは赤木さんの「希望は、戦争」には「自殺願望」があるとはっきり指摘しています(『ワーキングプアの反撃』34頁)。雨宮さん自身(薬物による)自殺未遂歴があり、多くの友人知人を自殺で失った上での発言ですから、これは重い。「なるほど、赤木智弘さんは自殺願望をもつ人か」という刷り込みが、ここでなされました。

じつは私も何人かの友人知人を自殺で失っています。1人は十代から二十代にかけて最も親しかった「友だち」でした。近親者にも自ら命を絶った人が複数います。私が子供のころから親しんでいた人たちでした。私自身は本心から「自殺したい」と思ったことはありませんが、「おそらく自分のしたくないことを(他人にあわせて)やっていたら、とことん自分を追い込むのではないか」という気持ちは、小学生のころからありました。それで大抵のことは「自分のやりたいようにしかやらない」きわめて自分勝手な人間になりました。

「赤木智弘さんのことはよく知らないけれど、なにはともあれ自殺はして欲しくはない」と思いつつ、赤木さんの(旧)ブログを覗くと・・・、以下のようなイラストが目に入ります。

縊死

ずっと後に『若者を見殺しにする国赤木智弘、双風舎(2007)を読んでみると、「首をつる」という表現が繰り返して出現します。「なるほど、雨宮処凛さんは慧眼《けいがん》だ」と思いつつ、赤木智弘さんの掲示板(現在は書き込み停止)まで赴き、以下のようなコメントを書きました。

タイトル : 『若者を見殺しにする国』
投稿日 : 2008/04/11(Fri) 21:32
投稿者 : 喜八
参照先 : http://kihachin.net/klog/
こんばんは。
『若者を見殺しにする国』読んでいます。
大変に刺激的な本ですね。
「私にとって利益になりそうなこと」が沢山書かれています。
赤木さんは社会にとって非常に有益な存在なので、「首をつる」のは当分ナシにしてください(笑)。
なお、蛇足かとは思いますが、このコメントに「皮肉」等はいっさい含まれておりません。
今後益益のご活躍をお祈り申し上げます。


なお、この書き込みに関して現在は「反省」があります。『赤木さんは社会にとって非常に有益な存在なので、「首をつる」のは当分ナシにしてください(笑)』とありますが、それでは「社会にとって無益な存在なら、首をつってもいいのか?!」ということになります。前述『ワーキングプアの反撃』で私(喜八)がもっとも感銘を受けた雨宮処凛さんの言葉は「役立たずがのさばるぞ」と「役に立たなくても、生きていっていい」でした。だからこそ『赤木さんは社会にとって非常に有益な存在ですが、それとは関係なく、「首をつる」のはナシにしてください』と言うべきでした。「当分」と「(笑)」も余計でしたね。

(『続・いまさらながら「赤木問題」』に続きます)


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投稿者 kihachin : 2008年06月05日 12:06

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