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2008年07月22日

「もやい」のセミナーに参加しました

特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター・もやい
特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター・もやい


先日(07-29)、生活困窮者をサポートするNPO「もやい」のセミナー(学習会)に参加してきました。

 「7月度 もやいセミナーのお知らせ!

というわけで「もやい」理事長・稲葉剛さんのお話を2時間ほど聞いてきました。当日の参加者は50人前後。普段は十数人程度のようですが、このところマスメディアで「もやい」が紹介されることが多く、それで参加者が増えたのではないか、と稲葉氏は感想を述べていました。

稲葉剛さんがどういう人かというと、当エントリトップのバナーで左から3番目(というか右端)、メタルフレーム眼鏡の青年です。「実物」も写真のイメージとほとんど変わりはありません。身長は 168cm の私(喜八)と同じくらい。体重は(中年太りの)私より 15kg 以上は軽そうです。スマートな方です。

バナー写真のように笑顔が印象的な人ですが、ときおり眼光が鋭くなります。本人は意識されてはいないと思うけれど、セミナー参加者との質疑応答の際、質問者を一瞥する目つきはちょっと怖いかも(笑)。ワルが未知の人物と出遭ったとき、相手の「戦闘力」を値踏みする感じ、といったら稲葉氏に失礼でしょうか。

とはいえ、稲葉剛さんが一筋縄でも二筋縄でもいかない不敵な人物であることは間違いないですね。にこやかな笑顔の下には非常に激しい戦闘的な気性が秘められている、なんて想像をします。そりゃそうでしょう。あしかけ15年にわたって「激戦地」新宿で路上生活者支援を行なってきた、まぎれもない「ストリートファイター」なのですから。

当日のセミナーで稲葉剛さんも言及していましたが、「役所の福祉課」というのは非常に大変な職場です。福祉の現場は「奇麗ごと」ではとてもいかないことが毎日のように発生し、それに対応する職員は非常なストレスに晒《さら》され、そのためウツ病になることも多い。私(喜八)には地方公務員の知人が少なくないのですが、彼/彼女らに聞いても「福祉課がいちばん大変だった」という声が多いのです。

役所の福祉課より遥かに劣悪な条件の下「路上生活者支援」を継続してきた稲葉剛さんや「もやい」の人たちが巨大なストレスに晒されていることは間違いありません。なんともはや頭が下がる思いです・・・が、私のハゲ頭など下げても一文にもなりませんから(笑)、今後はボチボチとサポーター会員・資金カンパ・物資の寄付等で応援したいと思っております。

 「もやい 寄付をお願いします

今回はカンパもかねて『もやい5周年記念文集・日日是好日』を千円(代金8百円+2百円カンパ)で購入しました。そのほか『貧困襲来湯浅誠(付録CDなしバージョン)を千円で購入。『貧困襲来』は以前図書館で借りて読んだことがあり「そのうちちゃんと購入しなければ」と忸怩《じくじ》たる思いでいたので「渡りに船」状況でありました。

名著『貧困襲来』はともかく『もやい5周年記念文集』のほうは「お付き合い&カンパ」のような軽い気持ちで購入したのですが、これが大違い! 帰りの電車の中で読み始めたら、もう止められなくなりました。読むのに熱中して途中乗換えを忘れ、自宅方面とは別方向に何駅か行ってから気がつくといった有様でした。

どのページも興味深いのですが、特に心惹かれたのが「聞きとりインタビュー」の部分。「もやい」利用者、多くが路上生活経験者なのですが、その方たちのライフストーリーが鮮やかな筆致で描かれています。「これはどこかで経験した感じだな」という思いが湧き上がり、しばらく考えてみて、宮本常一の名著『忘れられた日本人』の読後感に近い!と気づきました。

『忘れられた日本人』がどういう本かを説明するのは、ボンクラ者の私にとっては、きわめて困難なことであります。というわけで岩波文庫のカバーにある解説文を引用させていただきます。

昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907-81)が、文化を築き支えてきた伝承者=老人達がどのような環境に生きてきたかを、古老たち自身の語るライフヒストリーをまじえて生き生きと描く。辺境の地で黙々と生きる日本人の存在を歴史の舞台にうかびあがらせた宮本民俗学の代表作。(解説=網野善彦)

昨年「生誕100周年」で話題になった民俗学者・宮本常一の『忘れられた日本人』は私(喜八)の愛読書のひとつです。これまで10回近くは通読したでしょうか。『忘れられた日本人』では老いた放浪者の色ざんげ「土佐源氏」が有名です。素晴らしい文学作品だと思います。が、私が同書でもっとも感銘を受けたのは「八卦見《はっけみ》」「大川さん」のエピソードです(岩波文庫版252頁-)。そして、この八卦見・大川翁と佐藤優さん(起訴休職外務事務官・作家)の在り方に相通ずるものを私は感じるのです。

以下、ノンフィクション作家佐野眞一さんの『宮本常一が見た日本』NHK出版(2001)から引用させていただきます。宮本常一がどういう人物であったかが端的に言い表されていると思います。

宮本は七十三年の生涯に合計十六万キロ、地球をちょうど四周する気の遠くなるような行程を、ほとんど自分の足だけで歩きつづけた。その旅はのべにして四千日におよび、泊めてもらった民家は千軒を超えた。一生の七分の一は旅から旅の毎日だった。よごれたリュックサックにコウモリ傘をつり下げ、ズック靴で歩く姿は、しばしば富山の薬売りに間違えられた。

なんて、いささか脱線してしまいましたが・・・。なにはともあれ『もやい5周年 記念文集』はおすすめの1冊ですよ、と申し上げたいと思います。路上生活を経験された方々が、どのような人生を送ってきたのか、今後どのように生きて(死んで)いきたいのかが、上品なユーモアをまじえて淡々と描きだされている。こんなことを言うのは失礼かもしれませんが、この「聞きとりインタビュー」を執筆された方は相当な「筆力」の持ち主だと思います。

『もやい5周年記念文集・日日是好日』の販売に関しては以下のページをご覧ください。

 「もやい 5周年記念文集『日日是好日』ができました!

路上生活者問題と「もやい」のような支援者団体に関しては今後ボチボチと勉強していきたいと思っています。とはいえ、今回は長くなってきたので(?)この辺で一旦終わりということにしましょう。

といいつつ、いま思い出したことを付け加えておきます。07月19日のセミナーの帰りJR総武線・飯田橋駅に歩いて帰る途中、セミナー参加者の2人の男性(60代・30代)と「歩き話し」をしたところ、年長の方は神奈川県横浜市で活動されている福祉関連NPOの理事さんでした。そして30代青年は東京高円寺を拠点として大騒ぎをまきおこしている「素人の乱」のメンバーでした。30代青年は生活に困窮する友人のために役所と交渉した経験があり、先日の洞爺湖サミット反対キャンプで「もやい」事務局長の湯浅誠さんと知り合い、「一度『もやい』に遊びにきてください」とお誘いを受けたそうです。なにげなく「歩き話し」をした方たちが、そのように「現場」で活躍されている!という事実に少なからぬ感銘を受けた私でありました(それに比べて自分は何にもしていないなあ、と・・・汗)。


付記

「素人の乱」代表・松本哉さんが今年(2008)06月にだした『貧乏人の逆襲!―タダで生きる方法』筑摩書房は痛快にして抱腹絶倒かつきわめて実用的な本です。平たく言えばサイコーに面白い! これまた別の機会に紹介したいと思います。


郵政民営化凍結宣言

郵政民営化凍結」TBキャンペーンを行なっています。

(※上のバナーは「或る浪人の手記」さん作成です)


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投稿者 kihachin : 2008年07月22日 08:00

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