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2008年11月07日

「リアリティツァー」事件を考える

記者会見/「麻生太郎邸拝見ツアー」参加者3名不当逮捕


2008年10月26日に東京渋谷で発生した「リアリティツァー」弾圧事件で不当逮捕された3人が釈放されたようです。
なにはともあれ、お疲れさまでした。

というわけで、私(喜八)もこれまで自粛してきた意見を述べさせていただくこととします。

警察による弾圧・不当逮捕には、まったく「とんでもない」というしかないし、あくまで反対します。
こんなことやっていたら、かけがえのない祖国をダメにしかねませんよ、と。

  • 警察力は国家機能の中枢なので、警察の暴走は国家そのものの暴走→弱体化をまねく可能性が高い。
  • 日本という国家が弱くなれば、そこで暮らす我々1億2千万人の民は、ほぼ確実に不幸になる。
  • 国家の本質は『悪』ではあるが、それは絶対的に必要な『悪』である。もし国家がなくなったら、もっと悪いものがやってくる。

警察の特に幹部の方々には「くれぐれも自重ください。下手をすると、日本国家の危機を招いた愚者として、歴史に大汚名を残しかねませんよ」と申し上げておきます。

とはいえ、「リアリティツァー」主催者側に対する批判的な気持ちも、ずっと私の中にありました。
これまでは「3人の方が逮捕・拘留されている」という厳然たる事実がありましたので、主催者側への批判は徹底的に避けていました。
「非常事態において『高みの見物的・評論家的』言動をとるのはやめよう(それはモノスゴク格好悪いことだ!)」という気持ちがあったからです。

3人の方が釈放されたので遠慮なく、いや多少遠慮しつつ(笑)、小ウルサイことも言わせていただきましょう。

今回の「リアリティツァー」に参加し、不当逮捕への抗議活動に積極的に動いた「フリーター全般労働組合」。
数ヶ月前、そのブログ「Spiders’ Nest」の記事に「あれ?」と思ったことがありました。
以下の記事です。

反撃の「暴力」を肯定する
(「Spiders’ Nest」2008-06-20)

反撃の『暴力』を肯定する」という主張には、正直にいって非常な危惧を覚えました。
当時、「喜八ログ」で反論エントリを上げようかなとも思いましたが、コトナカレ主義でナマクラな私(喜八)ですから、「まあ、いいか」と沈黙してしまいました(いまになって反省・・・)。

民主化運動における非暴力主義は「お花畑的理想論」でもなんでもありません。
それはきわめて現実的なしたたかな戦略であります。

一般に国家は警察・軍隊という暴力装置を独占しています。
その国家に対して、非力な市民の側が暴力をもって抗議活動を行なったらどうなるか?
たいていはあっさり鎮圧されるでしょうね。
しかし、仮に暴力的抗議活動が上手くいってしまったら、どうなるか?
内戦などの致命的混乱を生じかねません。
あるいは「テロリストに対抗するため」という大義名分の下、軍事独裁政権が発足し、戒厳令が布《し》かれるかもしれない。
どっちにしても、一般ピープルにとって「いいこと」など何ひとつないのです。

「私たち民主化勢力は『非暴力』でいきますから、権力者の皆さんも『非暴力』でお願いしますね。同胞同士で血を流してもなんにもいいことなんかありませんよ」
これは権力側が圧倒的優位をもっている「暴力」という切り札を、予《あらかじ》め封じようというクレバーな戦略です。
繰り返しますが、非暴力主義は現実的でしたたかな戦略なのです。

だから「フリーター全般労働組合」ブログの「反撃の『暴力』を肯定する」というエントリを目にしたとき、「これはヤバイなあ」と私は思いました。
暴力を肯定する批判勢力に対する権力者の目つきが悪くなるのは避けられないでしょう。
それが「人情」というものであります。
ひょっとしたら、今回の「リアリティツァー」弾圧・不当逮捕事件の「引き金」のひとつになったのが、この記事ではなかったか、とさえ疑ってしまいます(だからといって、警察の弾圧行為に賛成はできませんが)。

ところで、私(喜八)の立場は「反革命」であり「反維新」です。
暴力をもって国家・社会の改造を目指す勢力に対しては、断固として「ノー」を言いたい。
(もちろん「クーデター」にも反対します)
たとえば、日本で「ロシア革命」のような暴力革命が発生したら、いったいどうなるでしょうか?
数十万~数百万もの罪なき市民が死亡し、そのうち八割は女性と子供、というようなことも充分にありえます。
これはまったく私の「趣味」に合いませんね。
だから革命にも維新にもクーデターにも断固反対します。

革命・維新・クーデター、そして戦争に「ロマン」などない。
それは多数の人々の死をともなう邪悪で醜悪な行為だ。
そんなものに浪漫を覚えてしまう者こそ「空想的お花畑主義者」ではないのか。
あるいはトンデモナイ冷血漢なのか。
これが嘘いつわりのない私の本心であります。

日ごろ「反戦平和」を主張する人たちの中にも、「革命」に対して同情的な方がいらっしゃいますね。
しかし「戦争」はダメだけれど「革命」はいいというのは、あまりにも無理ではないでしょうか
それは深刻な倫理的・論理的矛盾に満ちた、ご都合主義的な「主張」だと思います。

労働/生存運動」や「プレカリアート運動」の現場でも「革命」という言葉はよく使われているようです。
しかし、これに対しても私は大いなる危惧を覚えてしまうのです。
お気軽に「革命」という言葉を使うのはいかがなものか。
無数の死者が発生し、そのうち八割は女性と子供。
というような犠牲を払っても「革命」を行なうべきだ、「革命」は絶対善なのだと心から信じられる人だけが、革命を主張されるといいと思います(もちろん、私は違います)。
もしそうでなければ「革命」という言葉の使用は控えたほうがいいのではないでしょうか。

「革命」「維新」を運動のスローガンにするのは「こっちは暴力でいくぜ!」と宣言するのも同じです。
となれば、権力の側が暴力で「革命(維新)勢力」を弾圧したくなるのも無理はないです。
深い考えなしに、浪漫主義的な(?)心持で、「革命」や「維新」という言葉を使うのは大変に危険なことだと私は思います。

とはいえ、革命の中には「無血革命」というものもあります。
1989年、チェコスロバキアでおきた「ビロード革命」。
17世紀、英国の「名誉革命」。
こういった流血・暴力なしの革命であれば、私も歓迎します。
どうしても「革命」という言葉を使いたいのなら、「ビロード革命」や「名誉革命」を徹底研究し、そこから学ぶというやり方もありそうですね。


雨宮処凛さんのブログ記事

不当逮捕に抗議する文化人声明
(「すごい生き方ブログ」2008-10-30)

文化人賛同 その2
(「すごい生き方ブログ」2008-11-01)

不当逮捕に抗議する文化人賛同 その3
(「すごい生き方ブログ」2008-11-04)

3人釈放!! &文化人賛同その4
(「すごい生き方ブログ」2008-11-06)


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投稿者 kihachin : 2008年11月07日 12:00

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