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2008年12月17日

土井たか子さん「私は共和制論者ではありません」

平和と豊饒の猫
(猫の画像は「EyesPic」さんよりお借りしました)


週刊金曜日」2008年10月31日号に掲載された、土井たか子(憲法学者・社民党名誉党首)・佐藤優(作家)対談の一部を紹介します。
土井たか子さんが「私は共和制論者ではありません」と明言する部分です。
平たくいえば「私(土井たか子)は天皇制を支持します」ということですね。


★引用開始★

佐藤 土井さんへのひっかけ質問では決してないんですけど、国権の最高機関である衆議院議長をやられた土井さんは天皇に対する感覚というのが、いわゆる左翼とは違ったのではないかと思うんです。

土井 ああ、そう。どういう具合にですか?

佐藤 現在の象徴天皇制に違和感がない。つまり、共和制論者とは違うのではないかと……。

土井 私は共和制論者ではありません。

佐藤 いわゆる左翼か右翼かという図式からすると、共和制か立憲君主制かというのはきわめて重要な問題だと思うんですよね。

土井 しいて言えば憲法主義ですね。

佐藤 憲法原理主義ですね。

土井 憲法のある部分は強く解釈して、別の条文は弱く解釈するというのでは通用しませんからね。憲法に対して正確に、定められている条文に対して誠実に、ということだと思いますよ。
 第一条で「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定し、また第九九条では「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」ことを明記している。ということは、天皇は基本原理である「平和主義」を尊重する義務を負っています。
「護憲」という以上、この部分は生かし、別の部分は外すという考え方を私はとらないのです。

★引用終了★


大変に興味深い、土井たか子さんの発言です。
一部の勢力からはあたかも「サヨクの権化」のように看做《みな》され、盛大に批判されてきた土井たか子さんは、じつは天皇制を支持する人であった!
これには驚きましたが、論理的に考えれば「当たり前」のことではあります。
猛烈な「憲法原理主義」者である土井さんは、必然的に、猛烈な天皇制原理主義者でもあるわけです。
なお、この「週刊金曜日」の対談で土井たか子さんは、同志社大学での恩師にあたる田畑忍元同志社大学学長が「尊皇主義者」であったことも証言されています。
あくまで想像ではありますが、おそらく土井たか子さん自身も「尊皇主義者」なのでしょうね。
そういえば、土井たか子さんの「初心忘るべからず──初当選まで」という文章には以下のような一節がありました(『護憲派の一分』土井たか子・佐高信、角川書店2007、118-119頁)。


★引用開始★

 京大の滝川幸辰《たきがわゆきとき》先生も《同志社大学に》特別講義に来ておられた。戦前の「滝川事件」の当事者である先生に、学生たちは、
「新憲法制定のときにわが国が、完全共和制になることを期待されていたのでは」
 と質問した。ところが先生は案に相違して、
「完全共和制になって選挙で大統領を選べば、今の日本では人気投票になってしまう。それで良い政治が期待できるかね」
 といわれるのである。共和制支持の学生たちは猛烈に反論し、ついに先生は「君たちと愚論を繰り返す暇はない」と席を立ってしまわれた。

★引用終了★


完全共和制になって選挙で大統領を選べば、今の日本では人気投票になってしまう。それで良い政治が期待できるかね」というのは、現在の政治状況にも完全に当て嵌まる卓見だと思います。
君たちと愚論を繰り返す暇はない」という台詞も最高です(笑)。

そういえば、しばらく前、ある方から「自分は天皇制を支持します。もし日本が共和制に移行したら、小泉・石原のような程度の低いポピュリストが大統領になってしまう可能性が高い。それは文字通りの悪夢ですから」というご意見を聞いたことがあります。
しかし、この方は普段「反日」とか「サヨク」とか心無い中傷を受けることが多いのです!
また、ごく最近には別の方から「心優しい平和主義者の天皇皇后両陛下を尊敬しています」と聞いたこともあります。
なんと! この方もネット上では「サヨク」と決めつけられることが多いのです。

こうしてみると、以下のような仮説を立てることができそうです。
いわゆる「サヨク(左翼)」と呼ばれる人々の中には、天皇制支持者がかなりの割合で含まれているのではないか?
これは私(中村順=喜八)の偽らざる実感でもあります。
反面、「自分は『尊皇主義者』である」と普段からおおっぴらに公言されている自称「保守」の方が、小泉純一郎による「皇室は最後の抵抗勢力」発言を「完全スルー」していたりする。
まことに錯綜した奇妙な光景というべきでしょうね。

最後に私自身の立場を明示しておきます。
私(中村順=喜八)は「憲法愛国主義者」です。
憲法という「国の最高法規」を土台として、平和と豊饒の日本を築いていく。
祖国から全世界に向けて平和と豊饒を発信する。
反戦と反貧困の「現場」で(なけなしの)頭脳と身体とおカネを使って戦う。
日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」としての皇室を断固応援する。
(正直なところを申しますと、9条のみを重視し1~8条を軽視する方々には違和感を覚えます。とはいえアタマから排斥はしませんが)
このような「憲法愛国主義者」にして「尊皇主義者」が私です。
なんて、これも「自称」ではありますけどね(笑)。
まあ、肩ひじ張ることなく、のぼせ上がることなく、ボチボチと自分なりの「愛国」を実践していきたいと思っております。


付記:土井たか子さん

ふと気づいたのですが、土井たか子さんはお名前がいいですね。
「どい」という姓と「たかこ」という名が絶妙の取り合わせになっています。
土井たか子さんが政治家として大成されたのも、お名前の良さがかなり影響しているのかな、なんて愚考しています。
それと、どいさんは身長が168cmで、ちょうど私(喜八)と同じです。
長身の法学者&政治家、「闘う女」。
う~ん、格好良いですね。(^_^)


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投稿者 kihachin : 2008年12月17日 20:00

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