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2009年01月27日

『ムハマド・ユヌス自伝』

『ムハマド・ユヌス自伝』
ムハマド・ユヌス自伝

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バングラデシュの経済学者・銀行家ムハマド・ユヌス博士の『ムハマド・ユヌス自伝』早川書房(1998)から、強い印象を受けた部分を紹介します(ユヌス博士は2006年ノーベル平和賞をグラミン銀行Grameen Bank》と共に受賞しています)。
引用文冒頭カッコ内の数字はページ数です。


(023) グラミンで働いた経験から、私は、人類の創造力に対する揺るぎない信念を抱くようになった。その信念からさらに発展して、私は、人類は悲惨な暮らしや飢えや貧困に苦しむために生まれてきたわけではないと信じるようになった。人々が今も昔も苦しんでいるのは、私たちがこの問題から目を背けてきたからなのだ。
 望みさえすれば、貧困のない世界を作り上げることは可能だと、私は深く確信するようになった。これは偽善的な夢から生まれた結論ではない。グラミン銀行の活動を通して蓄積した経験から導かれた、具体的な根拠のある結論なのである。


(028) 人の死に方にはいろいろあるが、とにかく飢え死にほど悲惨なものはない。じつに恐ろしい死に方だ。飢え死はスローモーションで起こる。一秒一秒、生と死との間がどんどん小さくなっていくのだ。
 生と死の境界というのはそれほど曖昧《あいまい》なものであり、違いを見出すことすら難しい。地面に倒れた母と子の姿が、この世の出来事なのか、それともあの世の出来事なのかも、誰にもよく分からなかった。死はそれほどすばやく、容赦なく、気づかれないうちにやってきた。
 こういうことが起こった原因はただ一つ、多くの人々が、ほんの一つかみの食べ物すら食べることができなくなったからなのだ。この豊かな世界においても、彼らには、生きるのに必要な、ほんのわずかな食べ物を得る権利がなかった。世の中のほとんどすべての人が十分に食べているというのに、彼らはそうではない。小さな赤ん坊は、まだ世界のそんな不条理を十分に理解していないけれど、激しく泣いた。そして泣き疲れて、ほしがっていたミルクも飲めないまま、ついには眠りにつく。翌日には、泣く力すら失っていた。


(129) 私たちの経験からすれば、貧しい女性たちは男性よりもずっと早く、しかも上手に自立することができる。
 貧しい女性たちは、最も苦しんでいる人である。だから、彼女たちはビジョンを持ってより遠くを見つめ、貧困から抜け出そうと自ら進んで一生懸命働くのだ。
 女性たちは、子どもたちが今よりももっといい生活ができるようにといつでも心を砕いている。そして、彼女たちは男性よりも行動的だ。
 全体的に見ても、女性を通じて家計に金を行き渡らせた方が、男性を通じて金を入れるよりも、家族の利益という点ではよっぽど効果的なのだ。
 ところが、家族の一番上の場所にいる男性には、他の家族とは違う優先順位を持っている。貧しい父親は、もし特別の収入があったら、まず自分のことを真っ先に考えるのだ。こうしたことが分かっているのに、なぜグラミンがわざわざ男性を通して家庭に近づかなければならないのだろうか?
 もし、貧しい母親に特別の収入があったなら、彼女たちは例外なく子どもたちのことを真っ先に考えるだろう。
 一般的に、母親が収入を得た時に、一番優先順位の高いところにいるのは子どもたちだ。次に優先するのが家庭だろう。彼女は新しい家庭用品をいくつか買いたいと思ったり、屋根をもっと頑丈なものにして、家族の生活状況をもっとよくしたいと考える。


(302) 経済学者は、今日私たちが暮らしている世界を作り上げるのに多大な貢献をした。だが社会科学の見地からは、彼らは失敗を犯したことを非難されるだろう。彼らが何年もかかって構築してきたエレガントな経済理論は、現在の経済を作り上げた力を理解するのには役立ったが、それは貧しい人々を最初から除外し、社会的良心など微塵もないままに貧困緩和の課題を見捨てたにすぎない。
 ほとんどの経済学者の知恵と熱意は、国家の富についてと、その富がどこから来るかということの探求に向けられてきていた。彼らはその方向をさらにもっと調査し続けている。しかし、なぜ家庭に貧困が生じるのだろうかという単純な疑問すら覚えないのだ。
 貧困についていかなる注意が向けられたとしても、それは明らかに、第二次大戦後にできたいわゆる“発展した経済”と呼ばれる経済学上の概念の一項目として捉えられている。しかし、“発展した経済”それ自体も、植民地支配から新たに独立した国々の状況に合わせて、旧来の経済理論を部分的に変更したり、焼き直したものなのである。
 重要な経済理論が抱える欠陥は、いまだに修正されていない。

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付記:The Green Children

The Green Children Live from LA

Opening The Green Children Hospital!

The Green Children」はノルウェー出身のミラ・サンド(リードシンガー)と英国出身トム・ベバン(作詞・作曲・ピアニスト・ギタリスト)による音楽ユニットで、グラミンの活動を支援しています。
ムハマド・ユヌス著『貧困のない世界を創る』早川書房(2008)の264-265ページに「The Green Children」についての記述があります。


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投稿者 kihachin : 2009年01月27日 12:00

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