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2009年03月12日

杉浦日向子「女と酒は誉めるべし」

杉浦日向子のおもしろ江戸ばなし 長屋のつきあい


とかく、女と酒は誉めるべし」。
故・杉浦日向子さん(作家・漫画家・時代考証家、1958-2005)の名言です。


このところの「喜八ログ」では「首を取る、取られる」といった殺伐《さつばつ》とした政治エントリが続きました。
現下の状況(決戦前夜)においては仕方ないこととはいえ・・・。
「春風駘蕩《しゅんぷうたいとう》系」を「詐称」する私(喜八)としては、大いに忸怩《じくじ》たるものがあります(汗)。
この辺《へん》でひとつ、政《まつりごと》とは一切関係ない話題をアップロードしておきましょう。


さて、杉浦日向子さんが日本各地の銭湯・温泉巡り体験を綴《つづ》った『入浴の女王』講談社文庫(1998)から引用させていただきます(106-107頁、一部太字化は喜八による)。

 いい酒うまい酒を、しったかぶりにきき酒するチンピラのんべえは巷《ちまた》にウンカの如し。自分もチンピラのひとりだ。
「う~ん米臭い。甘口で重いな。さっきのが淡麗辛口で良かった。やっぱ究極の酒ってのは水のようにすーっと……」
 なら水呑んどればかやろう。東京にある、全国の地酒の揃う店に入ると、そんな会話が卓上に蚊柱となって唸っている。
 酒呑んで女を品定めする奴。どんなカワイイ子でも、欠点を見付け出し、自慢らしく指摘するヤな野郎。そんなのと同じ。
「あのコは、だまってりゃカワイイけど語尾が耳障りなんだ。教養がないっていうか。あいつは押し付けがましいよ。女房気取りで馴れ馴れしいし、だいたい服のシュミがなー」
「鈴木保奈美って鼻筋が曲がってるんだよ。下唇も締まりないし。吉永小百合もさ、オバさんになっちゃったし。しゃべると口元がアシンメトリーでさ、ちょっと歪むのが厭だよな」
 てめえナニサマだと思ってるんだ。鏡貸したろか。
 とかく、女と酒は誉めるべし。批評すべからず愉しむべし。
 場数を踏んだつもりでも、たかが素人の分際。きいたふうな口はたたかぬが身のため。それより、ひとときの合縁奇縁を喜んで、千の夜を万に味わうが勝ち。江戸の戯《ざ》れ唄に「世の中に酒と女は敵《かたき》也どうぞ敵に巡り会いたい」とある。敵討ちの成功率は、万にひとつもない。返り討ちに遭ってとっとと成仏しやがれ。


この頃つくづく思います。
「自分(喜八)は杉浦日向子先生の影響を強く受けている。先生の没後もずっと受け続けているなあ」と。

杉浦日向子さんがご存命のあいだは、それほど良い読者とは言えなかったかもしれません。
なにしろ先生のご本を全て読んでいるわけではないですから。
が、いまになってみると「それでも、やはり強い影響を受けている!」と痛感します。


たとえば「浮世絵」。

昨年(2008)から浮世絵版画に妙に心を惹かれ、美術館・博物館を巡っています。

東京国立博物館」(東京・上野)
太田記念美術館」(東京・原宿)
礫川浮世絵美術館」(東京・小石川)
UKIYO-e TOKYO」(東京・豊洲)
砂子の里資料館」(神奈川・川崎)
などなど。

なお、蛇足ながら書いておきますと、美術館・博物館は「1度行けばオシマイ」というものではありません。
多くの施設が1ヵ月周期くらいで展示品を入れ替えるので、ほぼ毎週のように浮世絵見物をしているような按配《あんばい》です。
これが実に楽しいのですね。

ことの始まりは、高橋克彦さん(小説家・浮世絵研究家)の著書(複数)でした。
高橋克彦さんを通じて、私(喜八)の浮世絵への興味は掻き立てられました。
いま座右の書となっているのが高橋克彦著『浮世絵鑑賞事典』講談社文庫(1987)。
そして『浮世絵鑑賞辞典』の解説を書かれていたのが杉浦日向子さんでした。
何度読み直しても、この杉浦さんの文章には感銘を受けます。
もちろん高橋克彦さんの本文も素晴らしい。
このお2人に巡り合ったからこそ、浮世絵に目を向けることができたわけです。
結局、私(喜八)の浮世絵嗜好は明らかに高橋克彦さんと杉浦日向子さんの導きによるものなのです。


そのほか以下の点でも「自分は杉浦日向子さんの影響を受けている」と感じます。

  • 銭湯が好き。
  • 手拭いが好き。
  • 午後の蕎麦屋にて1人で酒を呑む。
  • 映画『ブレードランナー』にシビれる。
  • 忠臣蔵』嫌い。
  • プライベートでは名刺交換はしない。
  • 携帯電話は持たない。
  • 若隠居志向。

中には根拠の怪しい項目もありますが・・・(汗)。


とかく、女と酒は誉めるべし」に話を戻します。
これって素晴らしい言葉ですね。
まさに至言《しげん》です。

自分にとって歓喜の源《みなもと》である女性とお酒。
とかく、褒めるべし。
「美人」「人柄が立派」「尊敬している」「頭脳明晰」「心優しい」「粋《いき》」「気品がある」「勇気がある」「強靭《きょうじん》」「君は歩く美術品だ!」と女性を褒め称《たた》える。
酒はただ「美味い!」と飲み干す。
ひとときの合縁奇縁を喜んで、千の夜を万に味わう。
あれこれ、詰まらない「批評」なぞはしない。
そんなのはヤボの極みというものだ。
苦手な女性やお酒があったら、何も言わずひっそりと身を遠ざければそれで良し・・・。


ところで、私(喜八)は「すべての女性は美人である」という、かなり過激な思想の持ち主でもあります。
これは女性一般に対して媚《こ》び諂《へつら》っているわけではありませんよ(笑)。
口先でキレイゴトを並べててたてているわけでもありません。
ボンクラながらも(可能な限り)論理的に真剣に考えたら「すべての女性は美人」というスゴイ結論に達してしまったわけです。
とはいえ「美女論」を述べだすと、果てしなく延々と言葉は続き、どこまでも止まらなくなってしまうのであります。
ですから「また別の機会に」としておきましょう・・・。


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(※上の猫画像は「ImageChef イメージクリエーター」で製作しました)


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投稿者 kihachin : 2009年03月12日 12:00

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