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2009年06月29日

『汚名』鈴木宗男

『汚名 国家に人生を奪われた男の告白』鈴木宗男
汚名』鈴木宗男、講談社(2009)

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汚名 国家に人生を奪われた男の告白』は政治家・鈴木宗男(衆議院議員・新党「大地」代表)による政治闘争の記録です。
権力中枢から狙い撃ちにされ、ありとあらゆる謀略攻撃を受けながらも生き残り、いまもしぶとくしたたかに戦い続けている鈴木宗男さん。
その戦いの軌跡を書き記した1冊です。


と同時に『汚名』は「愛」を描いた本でもあります。
・親子の愛情(ご母堂、3人のお子さんたち)
・同志愛・友情(佐藤優外交官)。
・上司と部下の絆《きずな》(佐藤玲子秘書)。
これらの「愛」が描き出された本なのです。
そして『汚名』最大の主題(テーマ)は「夫婦愛」です。
「政治家・鈴木宗男」を支え続けてくれた典子夫人との「夫婦愛」を無骨ながらも繊細に(大量の涙とともに)書き綴《つづ》ったのが『汚名』なのです。


汚名』の第一章は、2002年06月19日、鈴木家の朝食の場面から始まります(同書14頁)。
鯛の尾頭《おかしら》付きの味噌汁」「おひたしや煮つけ」など「普段より豪華な食事」が食卓に並びます。
すべて宗男氏の好物ばかり。
久々の家族の団欒《だんらん》であり、幸せな朝の食卓風景です。
けれども、2002年06月19日は鈴木宗男氏が東京地検特捜部により「斡旋収賄罪」容疑で逮捕された日だったのです。
(引用文中、《 》ではさまれた部分は喜八による補足です)

 妻を見る。妻は気丈《きじょう》に振る舞い、笑顔を浮かべていた。妻は強い女だった。私《鈴木宗男》が亭主関白に見えるのは、妻がそういう態度で接してくれるからで、どちらかといえばナイーブな私に比べれば、断然、強かった。

奥様の強さを認め、自分の「ナイーブ」さを認める鈴木宗男氏。
「不撓不屈」「タフ」「獰猛」「モーレツ」といったキーワードがよく似合うムネオ氏が「妻」への愛と信頼を率直に語る場面です。
そして「強い女」典子夫人が夫への愛と信頼に応えていく。
ときに激しい気性を垣間見せながら。


以下は猛烈な「ムネオ・バッシング」を浴びていた頃のエピソードです(61頁)。

 私《鈴木宗男》の変化に気づいていたのは、妻の典子だった。
「絶対に一人にする時間を作らないように」
 典子は、秘書をする息子の行二や、私の側近の赤松真次《あかまつしんじ》秘書らに厳命していたらしい。
「家にいるときは、私が注意して見ておきますから、あなたたちは、外出先で、とくにホテルに籠もっているときは、どんなに文句をいわれても、目の届く場所にいて、絶対に一人にしちゃダメよ」

まさに、賢夫人、頼れるパートナーです。
2002年、鈴木宗男議員がほぼ全てのメディアから「疑惑の総合商社」「日本一ダーティーな国会議員」「北方領土二島返還論者」など猛烈なバッシングを浴びていた時期、典子夫人にも過酷な心労があったはずです。
しかし、それにもかかわず、夫の「変化」を察知して「絶対に一人にする時間を作らないように」と、きわめて現実的な対策を実行して、夫を守り抜いた。
まさに「女丈夫(じょじょうふ、気性が強くしっかりしている女性)」とは鈴木典子さんのためにある言葉ではないでしょうか。


次は、逮捕され拘留が2ヵ月を過ぎたころ、気弱になり、議員バッチを外そうと思い、「国策捜査」に屈する寸前まで行った鈴木宗男さんを救った典子夫人の言葉です(103頁)。

<お父さん、悪いことをしていたなら、バッジをはずして、政治家を辞めなさい。でも悪いことをしていないなら、信念を持って闘ってください。松山千春さんをはじめ、後援会の皆さんから、あなたを信じていますと、毎日、激励がきています。各事務所の秘書も歯を食いしばって頑張っていますよ。 典子>

これは凄い。
何度読み返しても、そのたびに心打たれる素晴らしい言葉です。
正直に言って、読むたびに涙があふれます。
「鬼の検察」に勝てるはずもないから、とにかく頭を下げて、許しを乞おう。
と、奥様が思ってしまっても、しかたのない局面です。
けれども、典子夫人は夫(宗男氏)に対して「信念を持って闘ってください」と言い切った。
もちろん、そこには「夫が悪いことをしていたはずがない」という強い信頼があるのでしょう。
そして「私もともに最後の最後まで戦う」という覚悟があったのでしょう。
これだけ凄い愛の言葉には滅多にお目にかかれないと思います・・・。


そんな典子夫人は夫が冷房のない独房に拘置されていることを知ると、「家中のエアコンから、すべて電源を抜」き、自分も猛暑の夏を冷房なしで耐え抜きます。
そして鈴木宗男さんには「いうな」と担当の大室征男弁護士に口止めします(102頁)。
ムネオさんはムネオさんで、奥様の誕生日に真っ赤なバラの花束を送ります(210頁)。
もちろん、拘置所から送ることはできないので、弁護士に依頼してのことです。
このバラは「ドライフラワー」となり、鈴木宗男さんが437日振りに帰宅する場面で再登場します(236頁)。


そして『汚名 国家に人生を奪われた男の告白』全編の白眉《はくび》は237頁からの次の場面です。

釈放・帰宅の数日後、地元北海道入りした際の羽田空港から中標津《なかしべつ》空港へのフライト。
夫婦で並んで座るムネオ氏と典子夫人。

「母さんにもこれから苦労をかけると思う。すまないなあ」
 私がそういうと、妻はにっこりと笑う。
「ほらほら、涙、拭いて。人が見てますよ」
 機内では、ちらほら私の存在に気づき、「あ、ムネオだ」とささやき合っている人がいる。
「後悔はしていないか」
 鼻をチーンとかみながら、つい、妻に聞いてしまった。
「もう遅いわよ」。そういうと一呼吸ついて続ける。
「お父さんは誤解されやすいし、なんだかかわいそうで、見捨てられないだけですよ」
 そうだなと私も頷き、苦笑いする。
 この妻がいるから、この妻が支えてくれるから……。
 私《鈴木宗男》は政治家になったのだ、政治家をやっていけるのだ。


汚名 国家に人生を奪われた男の告白』で描かれた鈴木夫妻の「愛」の在り方に私(喜八)は強く心を打たれました。
鈴木宗男・典子夫妻をお手本として、私も惚れた女性とのあいだに信頼関係を築き、お互いに助け合いながら、しっかりと生きていきたい。
そう思っています。

素晴らしい本を読ませていただきました。
鈴木典子・宗男様に心よりの感謝を申し上げます。
ありがとうございました。


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投稿者 kihachin : 2009年06月29日 08:00

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