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2009年10月22日

『ハウジングプア』稲葉剛(その1)

『ハウジングプア』稲葉剛
ハウジングプア』稲葉剛、山吹書店(2009)


稲葉剛さん(「自立生活サポートセンター・もやい」代表理事)の新刊『ハウジングプア 「住まいの貧困」と向きあう山吹書店(2009)を紹介します。


稲葉剛著『ハウジングプア』は(2009年)10月24日発売予定です。
要領のいい私(喜八)は先ごろ稲葉剛氏本人から直接(割引)販売していただき、すでに2度読了しました。
う~む、『ハウジングプア』は稲葉氏の知識・経験・熱き思いがぎっしり詰まった重量級かつお買い得な本だ!
というのが素朴な感想です。
なんだか自分のアタマの悪さが露骨にでているコメントだとは思いますが、ごく正直なところなのでしかたありません。
なにはともあれ、貧困問題に関心を寄せている方、「いまのままでは日本社会が壊れてしまう」という危機感がある方は、ぜひとも稲葉剛著『ハウジングプア』を手にとってみてください。
『ハウジングプア』へのより親しみやすいアクセス法(読み方)も、当エントリ後半で紹介したいと思います(アタマの悪い喜八式『ハウジングプア』攻略法です)。


それでは版元「山吹書店」のサイトから『ハウジングプア』の目次を転載させていただきます。
紹介する本の目次を重視するのは小飼弾さん(PCプログラマ、アルファブロガー)のマネです。

■――目次
はじめに
第1章 ハウジングプアとは何か
1 ネットカフェ難民から「ハウジングプア」へ
2 「ハウジングプア」とはどういう状態か
第2章 なぜハウジングプアは拡大したのか
1 ワーキングプアの拡大
2 定期借家制度の導入
3 家賃保証会社の参入
4 派遣会社と家賃保証会社
5 公的介入の不在と居住権の後退
6 経営の論理と家計の悪化
◎ハウジングプアという体験(1)
「死ぬかホームレスになるしかない」
ワーキングプアであるがゆえにハウジングプア状態に陥り、
「追い出し屋」による取り立ての被害を受ける人々が増えている。
自分の部屋に二度にわたって侵入された三十代の男性は、
当時を「アリ地獄」のようだったと言う。
第3章 ハウジングプアに対する行政の支援策
1 「山谷対策」
2 「路上生活者(ホームレス)対策」
3 いわゆる「ネットカフェ難民」対策
4 いわゆる「派遣切り」対策
5 公共賃貸住宅の現状
6 総合的ハウジングプア対策の不在
◎ハウジングプアという体験(2)
「俺には二つの名前がある」
路上生活者のなかには戦災で家族を失ったという高齢者もいる。
現在も新宿駅周辺で路上生活を続ける七十代の男性は、
九歳の時に空襲にあい、家と家族と本来の名前を失った。
その後の人生の大部分を他人の名前を使い、
ハウジングプア状態のまま暮らしてきたと彼は言う。
第4章 ハウジングプアと生活保護制度
1 生活保護への三つの壁
2 民間宿泊所はなぜ拡大したのか
3 「施設保護」はなぜ問題なのか
4 「直アパート」の動きとその波紋
◎ハウジングプアという体験(3)
「いつも無理して働いてきた」
各地の建築現場を転々としながら働いている日雇労働者は今もたくさんいる。
現在はホームレス支援雑誌を販売する五十代の男性は
体調が悪化し、相談に行った福祉事務所の窓口で生活保護の申請をさせてもらえなかったため、
住まいを失った経験を持つ。
第5章 高齢ハウジングプア問題
1 「たまゆら」火災事件から見えるもの
2 もう一つの「ブラックボックス」
3 賃貸住宅から排除される高齢者
4 誰が生活保護行政を孤立させたのか
◎ハウジングプアという体験(4)
「この家にいるよりホームレスになった方がまし」
家出をして東京に向かう若者のなかには、
不適切な家庭環境から逃れるために家を出た人も多い。
二十代で家を出て、野宿を経験した女性は、
まわりの人々の支えもあって、自分自身の家を確保することができた。
だがその道のりはけっして平たんではなかった。
第6章 ハウジングプアに対する民間の取り組み
1 「遠心力」と「求心力」
2 借地借家人組合
3 「追い出し屋」被害への取り組み
4 自前の住宅を確保する動き
5 住まいの貧困に取り組むネットワーク
◎ハウジングプアという体験(5)
「つながりだけでは人の体は生きていけない」
一九九八年二月、新宿駅西口「ダンボール村」で火事が発生し、
四人のダンボールハウスの生命が奪われた。
「ダンボール村」を外から守ることだけに邁進していた私たちの活動は大きな転機を迎え、
私はハウジングプアという問題と向き合わざるをえなくなった。
第7章 ハウジングプアをなくすために
1 住宅政策の一元化とハウジングプア問題の全体像の把握
2 公共住宅政策の拡充
3 「追い出し屋」への法的規制と公的保証制度の確立
4 民間賃貸借住宅への家賃補助制度を
5 生活保護制度と住宅政策の連携
あとがき

一応、2度読んで、それでも大して理解度は高くない私(喜八)ですが、上の目次を読み直すと「なるほど、こういう本だったんだ!」と納得がいきます(ボンクラ)。
自分のような愚鈍な者がいうのも何ですが「よくできた目次」だと思います。
ハウジングプア』を購入しようかどうか考慮中の方は、この目次をよくよく点検したのち判断されるといいと思います。


が、しかし・・・。
『ハウジングプア』って、ちょっと内容が難しいよね
という声が少なくないのも事実です。
知り合いの誰かれに実際に『ハウジングプア』のページをめくって貰って得た感想の声(複数)です。
たしかに私自身も「取っつきにくい印象はあるかも?」と思いました。
そこで「より気楽に『ハウジングプア』に親しむ方法」を自分なりに考えてみました。
1人でも多くの方に稲葉剛『ハウジングプア』を手にとってもらいたく、喜八式『ハウジングプア』攻略法をここで紹介します。

上に転載した目次で「◎ハウジングプアという体験(1)~(5)」の部分。
端的に言って、ここが「取っ付きやすい」パートです。
実際に「ハウジングプア(住まいの貧困)」という問題に捲き込まれてしまった一人ひとりの人たち。
それら当事者たちの「声」が専門性の高い記述の合間に「間奏曲」のように紹介されています。
稲葉剛さんは当事者たちとどのように関わったのか。
さらには稲葉さん自身の「加害者性」までも言及されています。
この「ハウジングプアという体験(1)~(5)」は本の「小口《こぐち》(ページをの捲る側の断面)」が薄灰色になっているので一目瞭然です。

ぜひ書店で『ハウジングプア』を手に取り、薄灰色にふちどりされたページに目を通してみてください。
もっと具体的に言うと、178-190ページの「ハウジングプアという体験(5)」とこれに続く(191ページ以降)「第7章 ハウジングプアをなくすために」。
ここが『ハウジングプア』の「白眉」であり「読者が入り込みやすい」部分ではないかと私(喜八)は思います。

まずは「ハウジングプアという体験(5)」(178-190頁)にざっと目を通してみる。
そこで「何か感じるもの」があれば、或いは自分の中に「熱いもの」がこみ上げてくるようであれば・・・。
すなわち「『ハウジングプア』は買い」ということです。
多くの読書家が意見を同じくするように「本は迷ったら買い」「何か感じるところがあれば買い」です。

貧困問題や『もやい』の活動には興味があるが、住宅問題のことはよく分からない」という方は少なくないだろうと思います。
その場合は『ハウジングプア』が「ちょっと取っ付きにくい」と感じられるかもしれない。
そういう方は178-190ページの「ハウジングプアという体験(5)」に目を通してみましょう。
そして「何か」を感じるようであれば、迷いなく『ハウジングプア 「住まいの貧困」と向きあう稲葉剛山吹書店(2009)を買う。
これが私(喜八)の提案です。
「だまされた」と思って、どうぞお試しください。

(※「『ハウジングプア』稲葉剛(その2)」に続く)


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投稿者 kihachin : 2009年10月22日 12:00

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