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2009年10月24日

『ハウジングプア』稲葉剛(その2)

『ハウジングプア』稲葉剛
ハウジングプア』稲葉剛、山吹書店(2009)


稲葉剛さん(「自立生活サポートセンター・もやい」代表理事)の新刊『ハウジングプア 「住まいの貧困」と向きあう山吹書店(2009)の読書感想文エントリ第2弾です。


ハウジングプア』の版元「山吹書店」のサイトから内容紹介を転載させていただきます。

■――どんな本
「ホームレス」「ネットカフェ難民」「派遣切り」「たまゆら火災」「宿泊所ビジネス」「追い出し屋」・・・
みんな「住まいの貧困」が問題だ!
ワーキングプア(働いても働いても抜け出せない貧困)と手をたずさえて、ハウジングプア(住まいの貧困)が、生活を不安定で困難なものにしている。
―――〈もやい〉で生活困窮者の自立支援を続ける筆者が、ハウジングプアという概念で貧困の実態をとらえ、解決への展望を語る。
四六版・並製、228頁
ISBN978-4-903295-24-4 C0036
定価 1800円+税
発行=山吹書店
発売=JRC


というわけで、後は『ハウジングプア』を手に取って読んでみてください。
・・・というのはあまりに手抜きなので(汗)、引き続き同書のプロモーションを「勝手に」続行させていただきます。
著者の稲葉剛さんには『ハウジングプア』を格安で譲っていただいたという恩義もありますからね。
割引分のうちかなりの部分は稲葉氏の「ポケットマネー」のようでした。
稲葉剛さんも私(喜八)もれっきとした「貧困の当事者」同士でして、けっして経済的にラクではありません(すみません、勝手に決めつけています)。
ですから割引販売の恩義はきわめて大きいと感じるわけです。


さて稲葉剛著『ハウジングプア』から「ハウジングプア」の定義を紹介します(14頁)。
引用文中 《 》 に挟まれた部分は喜八による補足です。

 そこで私《稲葉》は、「ハウジングプア」の定義を「貧困ゆえに居住権が侵害されやすい環境で起居せざるを得ない状態」としたい。路上生活やネットカフェ生活の特徴は住まいの不安定性であるが、本人の視点から見た不安定性とは、仮小屋の強制立ち退きに代表されるように、「居住権が侵害されやすい」ということである。すべての人々に居住権が保障されるべきだという観点からこの問題をとらえていくためにも、あえて「居住権」という語を定義に入れておきたい。

ハウジングプア』のいわゆる「本の帯」に『「ホームレス」「ネットカフェ難民」「派遣切り」「たまゆら火災」「宿泊所ビジネス」「追い出し屋」……みんな「住まいの貧困」が問題だ!』とあります。
これらはひとつひとつが独立しているわけではなくて、結局「地続き」の問題なんですね。
「住まいの貧困(ハウジングプア)=貧困ゆえに居住権が侵害されやすい環境で起居せざるを得ない状態」の人たちが存在していて、さらに景気の悪化とともに増加している。
この「ハウジングプア」問題をこのまま放置していれば、社会全体の底が抜けてしまう。
我々が暮らす社会が壊れてしまう。

したがって「住まいの貧困(ハウジングプア)」解消こそが貧困問題の「本丸」である。
これが稲葉剛氏の根本的な主張だと私(喜八)は理解しました(間違っているかもしれませんが・・・)。
なお「貧困問題の『本丸』」という言い方は、かつて小泉純一郎首相(当時)が「郵政民営化こそが『改革の本丸』だ!」と絶叫した光景を(苦々しく)思い出しながら、あえて使っています。
誤解を避けるために付言しておきますと、私(喜八)はいわゆる「小泉・竹中改革」をまったく評価しておりません。
というより「全否定」に近い批判的な立場をとっています。
「小泉・竹中改革」によって貧困状態に追いやられた無数の人々の怒り・苦しみ・悲しみを言霊《ことだま》に取り入れることを意図して、あえて小泉的な表現を使っています。


「ハウジングプア=貧困ゆえに居住権が侵害されやすい環境で起居せざるを得ない状態」という定義から始まり、・稲葉剛さんは『誰もが「安心して暮らせる住まい」を確保できる社会』の実現を目指し、生活困窮者支援を長年続けてきた実務経験を元に、「現場からの問題提起」を行ないます。
すなわち『ハウジングプア』は「問題提起」の書です。
稲葉さんの目指すところはきわめてスケールが大きい。
以下は同書結論部分「第7章 ハウジングプアをなくすために」の191ページからの引用です。

 ハウジングプア問題解決のためには、日本の住宅政策を貫く基本的な理念自体を転換する必要がある。

日本の住宅政策を貫く基本的な理念自体を転換する」というのは、つまり「社会の在り方を変える」「この国の形を変える」ということでしょう。
これまでの日本の社会の在り方は、標準的な生き方を優遇し、そこから外れた人たちが「遠心力」によって社会の周辺に追いやられやすく、貧困に陥りやすいものだった。
そんな社会を根本的に変えよう、というのが稲葉剛さんの「問題提起」です。
そして稲葉剛さんは、政治家に「ハウジングプア」当事者の声を届け、政治家を動かし、現実社会を変えようとしている。
巨大な夢(ビジョン)を抱いたリアリスト・実務家。
私(喜八)の目にはそう映ります。
と、同時に稲葉剛「もやい」代表理事は現在も1人ひとりの生活困窮者と個別に向き合い、自らも「当事者」であるという意識をもって、「自立生活サポートセンター・もやい」というきわめて困難な事業を指揮しています。
そんな稲葉氏の姿に強い共感を覚えるとともに「非力な自分(喜八)だけれど、なんとかして応援したいものだ」と思わせられるものがあるのです。

(※「『ハウジングプア』稲葉剛(その3)」に続く)


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(※上の猫画像は「ImageChef イメージクリエーター」で製作しました)


投稿者 kihachin : 2009年10月24日 08:00

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