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2009年11月01日

中島岳志「保守主義とは」

『脱「貧困」への政治』
脱「貧困」への政治』岩波ブックレット(2009)

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中島岳志さん(北海道大学公共政策大学院准教授)の「保守主義とは」の説明はとても分かりやすくて納得がいくものだと感じます。

そこで『脱「貧困」への政治』岩波ブックレット(2009)から中島岳志准教授の発言を抜書きさせていただくこととしました。


脱「貧困」への政治』は、2008年12月12日と19日、北海道大学大学院法学研究科の付属高等法政教育研究センターを中心に開催された連続シンポジウム「どうする? 二一世紀日本の貧困と格差」の記録です。
講演・パネルディスカッション・トークセッションの出演者は以下の方々でした。


それでは『脱「貧困」への政治』から中島岳志さんの発言を紹介します。
引用文冒頭カッコ内の数字はページ数。また、《 》 に挟まれた部分は喜八による補足です。


(19) 私《中島岳志》は「大きすぎる政府」も「小さすぎる政府」も問題だと思っています。とにかく「極端なもの」は疑ったほうがいい、というのが保守主義者としての信念です。ですから、漸進的な政策を続けながら、国家の適正規模を見極める作業を進めるしかないと思います。とにかく新自由主義とは断固決別して、労働市場をまともなものに修正し、セーフティーネットを強化する。国民生活の安定的基盤を整えることこそ、これからの進むべき政治の道だと考えます。


(22)保守主義というのは「反動」ではありません。人間の不完全性や限界を謙虚に見つめることからスタートし、極端な設計主義を批判するのが「保守」ですから、人間社会は永遠に不完全なまま推移すると考えます。だから、未来に完全な理想社会が誕生するとは考えないし、逆に過去に理想社会が存在したとも考えません。ですから、革命のような極端なレジームチェンジを排し、漸進的な改革を進めるというのが保守のスタンスです。その点から、単純に「昔に戻れ」と主張するのはおかしいと思いますし、すべきでもない。
 社会構造が変化するなか、これまでの社会的経験知などをもとに、よりよい制度の構築を目指すべきです。


(27)思い出やノスタルジーにすがることが保守ではなく、常に状況のなかで伝統を再定義し、意思をもって引き受ける再帰性こそが、近代保守の重要なポイントです。復古が保守ではありません。この点は、とても重要です。
 社会の「溜め」を再構築すべきという点において、社会民主主義と保守主義は共有する部分があるのだろうと思います。このあたりからまともな議論を立ち上げていきたいと、私《中島岳志》は思っています。


(42) 現在の状況に対しては、保守主義者こそが異議申し立てをしなければならないはずです。私たちの生存の根拠となっている中間共同体を崩壊させている現状を問題視しなければなりません。だから、私はプレカリアート運動に、重要な意味があると思っています。


(63)人間の価値観は多様です。だからこそ、諸価値の葛藤に耐えながら合意形成していく関係性こそが重要なのです。そのことに「右」も「左」もありません。「バカの壁」をつくっている場合ではありません。いま取り戻さないといけないものは、しっかりとした「言葉」と「議論」です。
 小泉《純一郎》元首相がぶっ壊したものは自民党でも官僚政治でもなく、議論です。そして言葉です。私たちは、それをもう一度取り戻すところから、この荒廃を立て直していかなければならないのではないかと思います。


いや、これは本当に惚れ惚れとする、中島岳志さん(北海道大学公共政策大学院准教授)による「保守主義(者)」の説明です。
正直に言って、不勉強な私(喜八)は中島岳志さんのことをあまりよく知らなかったのですが・・・(汗)。
上に引用した言葉に接してからは、中島さんのことを「現代日本を代表する保守思想家ではないだろうか」と認識するようになりました。

中島岳志さんは「ホームレス状態の人が売る雑誌『ビッグイシュー日本版』」の札幌での販売を支援するなど、現実に関わることを厭《いと》わない学者です。
また、私の好きな佐藤優さん(神学者・作家)や雨宮処凛さん(小説家)が中島岳志准教授と同志的関係にあるらしいのも、大変に嬉しいことだと感じています。
そういうわけですので今後は「中島岳志さんに注目!」したいと思います。


以下は「喜八の贅言《ぜいげん》」です。

政治家の先生方、特に「保守」を自認する国会議員の皆様は、中島岳志准教授のような人を「味方につける」戦略を練ったほうが宜《よろ》しかろうと思います。
堂々たる保守政治家としての道を歩む。
すなわち国民の生活・生命を「保《たも》ち」「守《まも》る」ことに全力を尽くし、実績を積み重ねる。
これこそが「本物の保守政治家」の在り方であります。
逆にいえば、国民の生活・生命を「保《たも》ち」「守《まも》る」ことができない政治家などは断じて「保守」ではないのです。
仮に口先で「伝統」や「愛国」を唱え、それらしいパフォーマンスに励んだとしても・・・。
それだけでは本物の保守政治家とはいえない(断じて)。
国民の生活・生命を「保《たも》ち」「守《まも》る」。
これ以外に「本物の保守」の在り方はありません。
そのためには、ありとあらゆる有能な人たちの協力を仰ぐ。
それがリアリズムの政治というものでしょう。
また本物の保守政治家はすべからくリアリストであるはずです。
リアリズムに徹しなければ、国民の生活・生命を「保《たも》ち」「守《まも》る」ことなどできるわけがないのですから。
さて、現在「保守」を自称する議員先生の中に、国民の生活・生命を「保《たも》ち」「守《まも》る」だけの気概と実務能力を持った人物はいかほどいるでしょうか?


鈴木宗男衆議院議員(新党「大地」代表)が雑誌『月刊日本』2009年02月号に掲載された論文から、特に感銘を受けた部分を以下に引用させていただきます。


★引用開始★

 私《鈴木宗男》が考える保守思想とは、国を憂い、愛し、国の永代に渡る繁栄を願う思想である。国の発展には、国全体の統合、言い換えれば、国民の統合、団結が必要不可欠である。
 ただし、ここで私が言う「国」とは、政府や官僚組織といった権力機構、権力体制を指しているのではない。北は北海道から南は沖縄まで、南北で約3000kmもの長さを誇る日本の国土の中で、多種多様な文化、伝統、価値観を持った国民が集合したもの、国民の集合体としての国という意味である。
 この観点から言うと、現在、年越し派遣村に駆け込んでいる人達のように、自身の努力の範囲を超えたところで生活のあり方が決められ、「絶対的貧困」とも言うべき立場に置かれてしまう日本国民がいることは、とりもなおさず、日本国家にとって大変な危機である。なぜなら、年間数億もの収入を得て、1日の生活に百万単位で金を使う富裕層がいる一方で、年収が200万円にも満たず、家族を持ち、子を産み育てる余裕が全くない貧困層がいるという、日本社会に著しい格差、ひいては格差を超える階級ができあがってしまうと、日本国民の一体感、団結意識がなくなってしまうからである。
 このまま日本国民の格差が広がり、またその格差が身分として固定してしまうようになると、多くの日本国民はやる気を失い、希望をなくしてしまう。そうなると、日本という国の国力が落ちてしまう。その結果、日本国家は衰退の一途をたどり、やがて滅亡していく。
 国民間に分裂、断裂が生じた国家が滅びることは、人類の歴史が既に証明しているところだ。
 従来、我が国の政治風土として、「弱者救済」「貧困撲滅」の旗を揚げれば、どうしても「左」というイメージを抱かれてしまう嫌いがあった。しかし、「右」の保守の人間にとってこそ、弱い者、困っている者、貧困に喘ぐ者に救いの手をさしのべることは、何よりも重要な、まさに使命というべきことなのである。
 この点、保守を自認する政治家から、このような意見があまり聞こえて聞こえてこないのは残念なことである。彼らは「日本の誇り」や「国家の名誉」というフレーズを好んでよく使うが、日本という国家は日本国民の集合から成っていることを忘れてはいけない。国民の幸福(それは国民個々人のエゴの追及という意味ではなく、最低限の生活が保障され、自身の人生設計が可能な状態にあることを言う)なくして国家の繁栄、発展はないのである。

★引用終了★


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(※上の猫画像は「ImageChef イメージクリエーター」で製作しました)


投稿者 kihachin : 2009年11月01日 20:00

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