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2010年01月15日

『介護労働を生きる』白崎朝子

『介護労働を生きる』白崎朝子
介護労働を生きる』白崎朝子、現代書館(2009)

(※『介護労働を生きる』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


白崎朝子さん(ライター・介護労働者)の『介護労働を生きる』現代書館(2009.03)を紹介させていただきます。

また、白崎朝子さんを囲む「映像とお話の会」(東京・高円寺、2010-01-16)のお知らせ(関連情報)がエントリ後半にあります。

白崎朝子(しらさき・あさこ)
1962年生まれ。学生時代より女性解放運動、1988年からは母子家庭の当事者運動やホームレス支援運動に関わる。
87年から家政婦紹介所ヘルパー、92年から公務員ヘルパー。99年に公務員をやめ、訪問介護事業所のヘルパーを経て、2007年から三ケ月間グッドウィルの派遣ヘルパーを経験。同時期にグループホームのパート職員。
「炭鉱のカナリア」を目指して、現場の生の声をいち早く社会に届けたいと小さな勉強会や執筆活動を続けている。
2008年、『季刊福祉労働』(現代書館)、『世界』(岩波書店)、『週刊金曜日』、『シルバー新報』等に執筆(『介護労働を生きる』著者紹介から)。


まずは『介護労働を生きる』の「目次」です。

第一章 コムスンショックからグッドウィル派遣ヘルパーへ
 1 派遣ヘルパーで働く
 2 流浪の日々
 3 直接採用された職場で
 4 現状を超える展望を
第二章 仲間たちの労働実態
 1 心に寄り添う介護がしたい
 2 サービス提供責任者という仕事
 3 天国の父に捧げるケアマネジャー合格
 4 引きこもりだった青年の革命
 5 介護現場に差し込んだ、やわらかな光
 6 三城さんの放ったメッセージ
 7 利用者の人権を守るためにも……北国で闘うシングルマザー
第三章 介護労働者はなぜ労働運動ができないか
 1 介護労働をめぐる経済
 2 介護労働者のメンタリティ
 3 生老病死に向き合う介護労働の混沌の中から
終章 介護労働に希望はあるか
 参考文献、論文・論説、関連団体
 あとがき


介護労働を生きる』で著者・白崎朝子さんは自らの体験・見聞をもとに、多くの介護労働者がおかれた「あまりに過酷な労働実態」を描き出します。

地獄のシフト」とも言われる長時間におよぶ重労働、心身ともに消耗の激しい労働。
そのわりには経済的には報われず、(常識はずれの)低収入を強いられている介護労働者があまりに多い。
日雇いの「派遣ヘルパー」なしではシフトがまわらない施設が少なくなく、無資格者が介護の現場を支えている。
そんな日本の介護の現場は事故と虐待が蔓延している。
このような憂慮すべき現実を、白崎朝子さんは淡々と(ときには激しく)明らかにしていきます。

以下、少し長めになりますが『介護労働を生きる』から引用させていただきます。
(各引用文冒頭の数字はページ数。《 》 に挟まれた部分は喜八による補足です)

 人は生まれて老いるまでの間に、誰かの手を借り、心配されたり、心を砕かれて生きていく。そんな素朴な慈しみが、人が生きていくために最も必要なものなのだ。しかしいま、その大切な営みがないがしろにされてはいないだろうか。
 いま介護は、社会から不当に扱われているけれど、人に最も必要な営みだ。にもかかわらず最近は「自立支援」という言葉で切り捨てられようとしている。それも、加速度的に……。
 反貧困運動や女性運動の中でも介護労働者はほとんどおらず、蚊帳の外に置かれているようだ。私《白崎朝子》はその疎外感からなかなか解放されない。
 そんな状況ゆえに、介護に「愛」は必要かと問われたら、やはり私は必要だと答える。何故ならば、介護労働者たちが自発的に運動している、北国のコミュニティユニオンのリーダーたちが「愛」に溢れていたからだ。むろん、その「愛」は他者を支配する「愛」ではない。そして社会的に強制された献身や自己犠牲でもない。
 そして私に「愛」がなければ、この本《『介護労働を生きる』》は書かなかった。いや書けなかった。私にとってこの本は言葉による「闘争」以外の何物でもない。私のような単なる個人が仕かける、初めから負けるのが分かっている喧嘩である。むしろ投げた石の百万倍くらいの石の礫《つぶて》が、同じ当事者である介護労働関係者からも投げられることを怖れながら、それでも書かずにはおられなかった。
 私が去ることを余儀なくされた現場。そこに残された利用者や同僚たちへの「愛」ゆえに……。


ところで、白崎朝子さんもまた「超猫好き」の方であることが『介護労働を生きる』により分かりました。
同書124-125頁、白崎さんが認知症のグループホームに勤務されていたとき「なかなかトイレに行きたがらない猫好きの利用者のトイレへの誘導介助のため、柱の陰から猫の鳴き真似をよくした」ことが書かれています。
白崎朝子さんがニャーニャーと鳴き真似をする。
そして若いスタッフが「ホラ、ネコチャン、見に行きましょうよ!」と声かけするとうまく行ったというのです。
猫好きの私(喜八)にとっては、微笑ましいとともに、介護労働の過酷さを感じ取れるエピソードでした。
(195-196頁にも白崎さんの猫への熱い思いが語られています)

そして、なんと!『介護労働を生きる』は野良猫にも感謝が捧げられている本です。
「あとがき」の終わり近く(205頁)、白崎朝子さんの母親・長男・編集者・介護労働の仲間たちへの謝辞とともに「修羅場を和ませてくれた野良猫R」への感謝が述べられているのです。


先に「喜八ログ」で書いたように、最近は出かける先々で「野良猫系」とも形容すべき人たちに巡り合うことが多くて、驚いています。

雨宮処凛さん関連のつぶやき+「野良猫を拾う人」について
(「喜八」2010-01-07)

上のエントリで紹介させていただいた5人の方々(大木晴子雨宮処凛増山麗奈ヤスミン植月千春清水直子さんたち)以外にも「野良猫系」の人は大勢います。

そういえば、ホームレス女性のグループ「ノラ」の名前は、イプセンの有名な戯曲「人形の家」主人公の名前であるとともに「野良猫」の「ノラ」でした。

このように、次々と「野良猫系」の方々に接する機会があるわけで、「これは本当に驚くべきことだ!」と感じています。
明日(01-16)はぜひとも、白崎朝子さんに直接「野良猫とのかかわり」についてお聞きしたいと思います。


2010年01月16日(土)、白崎朝子さんを囲む「映像とお話の会」が東京・高円寺「素人の乱12号店」で開催されます。

映像とお話の会」をプロデュースされるのは山口静子さん(「女性と貧困ネットワーク」呼びかけ人・「働く女性の全国センター(ACW2)」)。
女性と貧困ネットワーク」ブログから「01/16映像とお話の会」情報を転載させていただきます。


★転載開始★

<<第6回 映像とお話の会 @高円寺素人の乱>> 予告

☆ 2010・1・16 土曜 

☆ 高円寺「素人の乱 12号」 19時

[おめでとう!!白崎朝子さん『介護労働を生きる』受賞]

平和・協同ジャーナリスト基金賞の「荒井なみ子賞」を受賞しました!

「鶴が自分の羽むしり」織り上げた あの反物とおなじです。

 介護労働の現場で苦楽をともにする仲間への熱い思いの結晶です。

 2010年寅年年女の 朝子さんの次の1冊への熱い思いを

 はなしてもらいます。

☆ 過剰姉妹母プロデュース

☆ 会費   500円ー食事つき

☆ 祝辞受付 yhj01340@nifty.com

★転載終了★


高円寺「映像とお話の会」は「およそ月1」ペースで催されています。
歴代ゲストスピーカーは次の方々です。

  • 第1回 いちむらみさこさん(ホームレスアーティスト・「ノラ」)
  • 第2回 桐田史恵さん(作家・「陽のあたる毛の会」)
  • 第3回 YOYO.さん(「VEGEしょくどう」店長)
  • 第4回 上間愛さん(大学院生)
  • 第5回 石橋行受さん(「日本山妙法寺」僧侶)
  • 第6回 白崎朝子さん(ライター)

さらに今後も、非常に興味深い方たちが、ゲストスピーカーとして登場する予定です。
今後もプロデューサー・山口静子さん、白崎朝子さん、高円寺「素人の乱12号店」を「喜八ログ」は応援させていただきます。


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投稿者 kihachin : 2010年01月15日 12:00

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